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エンカレッジの子どもたち -4

現在、エンカレッジは16の市町村で通塾支援と、居場所型学習支援教室の運営を行っています。
その中でも、今回は特に事業規模の大きい那覇市にスポットを当ててお話しします。

人口最大、と、いうことは・・

こんにちは、広報担当のシロです。
県庁所在地であり、国際通りを中心に地元民や観光客でいつも賑わっている那覇市。現在はコロナ感染症拡大防止に伴い静かな日々が続いておりますが、それでも街を歩けばやはり沖縄で一番人が集まっているのを感じます。
もちろん人口は県内トップ、現在はおよそ32万人が住んでいます。
今年3月に那覇市ホームページで公表された人口統計では、5歳から19歳の子ども・若者の人口数は49,208人と5万人近く。
小学校は36校、中学校は17校あります。
その中で、仮に3人に1人の子どもが貧困にあるとすると‥15,000人もの子どもが該当すると考えられます。
この数字はあくまで憶測ですが、子どもの貧困問題に向き合う私たちは、常々その数も念頭におかねばならないと思います。

現在エンカレッジは、那覇市より受託した、中学生が対象の教室を3つ、自主事業として高校生のフォローアップを行う教室を1つ、計4教室を運営しています。現在はおよそ300名の中高生が通っています。
ここからは、那覇の1教室目の立ち上げから携わってきた、照屋先生に話を伺います。


沖縄・社会を良くしたい

生まれ育った沖縄が好きで、沖縄、社会のためになる何かを職業にしたいと漠然と考えていました。
公務員になれば、それが叶うのかと迷った時期もありましたが、塾講師が思い浮かびました。学生時代の、学習塾や予備校でのアルバイト経験を活かせるんじゃないか。
元々私自身、勉強が好きなわけではありませんでした。大学まで進めたのは、良い講師や夢・目標を共有できる友人との出会いがあったからこそだと思っています。
子どもたちへ、そういった良い環境を提供できる人になりたいと思いました。

そんな時、「悩む君を一人にしない」をモットーに、沖縄の学力の底上げを掲げていた意伸学院を知りました。併せて、代表の坂先生が、NPO法人エンカレッジとしても活動していることも。
坂先生の活動にかける思いを聞いて、この人の元でなら、自分も成長しながら、沖縄のために活動したいという夢を叶えることができるかもしれないと感じました。

10月からの受験対策

那覇市内1教室目である泉崎教室が開校したのは2011年の10月。0から教室の立ち上げに関わりました。
当初は生活保護世帯の中学3年生のみを対象とし、高校受験へのサポートを行いました。
しかし、一般的にも10月から受験対策開始は正直遅いです。また、不登校気味や非行など、学習外の問題もありました。

そして、無気力さを感じました。
目標や志望校を聞いても、「ない」、話す時に目が合わない。
「自分が行ける高校なんてない」、「夢を持ってもどうせ叶わない」
一度来たきりで来なくなる子も。高校進学への準備以前の支援の必要性を感じました。

那覇市も初めての事業ということもあり、関わる人皆が試行錯誤する毎日。役割分担や、連携の重要性を感じる日々でした。
那覇市の支援員は、エンカレッジへ繋ぐ必要のある子の状況を把握する。私たちは、繋がった子たちが継続して通塾でき、成長できる環境を整える。
教室でも、小さな変化や言動に注意を払い、私たちだけでは解決できない課題を見つけた時には、すぐに報告、相談できるように連携を取りました。この連携が、今日の実績に繋がっていると思います。


成長は学習だけでない

家庭環境が難しい、けど学校の友達にそれを話せない。中学生の多感な時期、そんな歯痒さを勘違いされて、友人と敵対しがちの子も少なくありませんでした。

ある女子生徒は、家でも学校でも居辛さを抱えていました。友達ともうまくいかない、常にイライラしている状態。
教室でも、講師によって好き嫌いが激しく、強く当たることもありました。「先生変えてほしい」とも。
合わない、嫌いという理由でそうはできません。この環境で、お互いに歩み寄りながら、一緒に学んでいかねばならない。それは家でも学校でも社会でも同じだと思います。愚痴を溢す彼女の話を聞き、そして何度も伝えました。
だんだん変わってくるのが見て取れました。最終的に、教室に所属する講師皆になつくように。
学習だけでなく、人間的な成長も多く見られました。彼女自身、その経験は思い出に残っているそうです。
現在、25歳。残念ながら経済的事情で、高校卒業後の進学は諦めましたが、就職したところに今でも勤めています。
就職面接では、エンカレッジのことも話したと言っていました。
家庭も築き、もうすぐ二人目が生まれるそう。


エンカレッジがなくても大丈夫なように

これまで学校などではなかなか自分が抱える悩みを言えなかった子たち。
同じ空間にいる、バックグラウンドがお互い厳しいことがなんとなくわかってくる。
私たちスタッフへはもちろんですが、境遇が似ていたりで、生徒同士で悩みを相談し合う姿も。エンカレッジを通じて絆ができたことを感じました。
受験終了後の春休みも毎日来るほど。それから進学後もちょくちょく顔を見せに来てくれました。
1期生が高校3年生になった時、声をかけて教室で進路相談を実施しました。
進学したいけど金銭面が厳しい、そう言った悩みを、生徒同士が相談できる機会を設けました。

エンカレッジが一時の居場所となっても、いずれ卒業する。
毎日通っていた場所がなくなっても、彼女たちが助け合えるように絆を作ることも運営する上での目的の一つだと思います。
その思いはゆくゆく、高校進学後のフォローアップ事業の立ち上げにつながりました。

ちなみに、彼女たちが20歳になった時は、皆で集まってお祝いをしました。関われてよかったと、改めて思った一時でした。


まだまだ拾えない現実

開所したとき、那覇市内に生活保護世帯の中学生は300名と言われていました。開所1年目の受け入れ人数は30名。全然カバーできてないね、と話したのを覚えています。
準要保護世帯はその10倍とも言われる中、もちろん一般塾に通ったり、塾に通わずとも自力で頑張っている子はいると思いますが、まだまだ拾えていない現状があります。

また、当初は学力が向上し、進学することで、子どもたちの将来がより良くなる、つまり貧困状態から脱すると考えていましたが、関わるうちに、家庭環境の問題などから自己肯定感が低い傾向にあったり、発達障害などの課題を抱えている子が多い現状を知りました。
学習以外に、各々の性格や口癖、表情、行動から、本人も気づいていないような好きなことや嫌いなこと、得意不得意を汲み取り、自信を持つ、自己肯定感が上がるような関わり方に力を入れています。

様々な子たちと関わる中で、「継ぎ目のない支援」や「ライフステージにあった支援」の必要性を感じています。
そして負の連鎖を解消するためには、より多くの仲間が必要だとも。
現状も実績も、もっと伝えていかないといけない。長年携わってきたからこそ、そう思います。

早くから、行政との連携を構築してきた那覇市とエンカレッジ。次回は、今日の運営規模に至るまで、引き続き照屋先生に話を伺っていきます。



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