タイプ5・レベル2の「当を得た基本的な疑問を提起」の、一例(たぶん)

エニアグラムは性格学であり、そのタイプは1から9まであります。

9つある性格タイプの中で5番目にあたるタイプ5は、
『考える人(ドン・リチャード・リソ)』『傍観者(ヘレン・パーマー)』『観察者(レニー・バロン&エリザベス・ウエイゲル)』とも言われる性格タイプです。
私的エニアグラム解釈では、『知をもって内に向かう人』。『思考者』であり、『考えにハマる人』です。

タイプ5は、学者タイプなんて言われています。

このエニアグラムに、レベルという概念を持ち込んできたのは、リソとハドソンです。
同じ性格タイプでも、レベルにより見え方が違い、
タイプ5で言えば、確かにレベルが高いときには、タイプ5は「学問的な専門家」ですが、
レベルが低ければ、「挑発的な皮肉家」なんて指摘をしています。

レベルは、一番高いものがレベル1で、一番低いものがレベル9。
高が1~3、中が4~6、低が7~9と分けていて、私たちは通常、レベル4からレベル6の間にいるとしています(そういうふうに分類表示されています)。


それでやっとここで本題に入るのですが、
タイプ5のレベル2の記述で、リソとハドソンは、
「当を得た基本的な疑問を提起」
と書いています。

これ、分かったようで、分からない記述ですよね?
エニアグラムの講師でも、これに(自分の言葉で)答えられる人は少ないと想像します。

その一例に、たぶんなると思われる話がネットであったので、それを今回は紹介したいと思います。

という記事に対する、はてな のコメントにそれはありました。

昔、子どもの質問で「なぜ夏の正午が昼間なら、地球が公転軌道上で太陽の反対側の位置にある冬の正午が夜じゃないの?」というのを見たことがあるけど、その答えがこれだ。

すごい。子供がこんな質問をするなんて。
タイプ5レベル2の「当を得た基本的な疑問を提起」は、このようなものを指しています。たぶん。

蛇足になるかも知れませんが、
それでいうと、昔、2ちゃんねるで見た。「卵胎生メダカが胎生で無いというのは嘘だと思う。だって、おなかが膨れていくもん」というのも、「当を得た基本的な疑問を提起」だと私は思っています(少なくとも、そのころの卵胎生の説明は、「卵を産まず、おなかの中で孵(かえ)すだけ」だった)。


蛇足ついでに、もう一つ書きます。
1907年(明治 40年)生まれの湯川 秀樹(ゆかわ ひでき)さんは、日本人として初めてノーベル賞を受賞した物理学者です。

から、その晩年のエピソードを引用します。

(前略)
 
 晩年の湯川は、駆け出しの若手が初めてやる研究発表などにも、ひょっこり顔を出すことがよくあった。
 顔を出すだけならまだよいが、いつも必ず質問をする。
 質問するだけならまだよいが、それが決まって愚にもつかない質問なのである。
 ノーベル物理学賞の大先達からの質問に、ルーキー物理学者はほとんどパニックに駆られるが、しかも質問内容が目が点になるようなものなので、別の意味でも度肝を抜かれる。
 何とかその質問に、おそらく会場の誰もが分かりきった答えを返すと、湯川ははっと気付いたように
「あかん、またやってしもた」
と頭を抱え、己が発した愚問に大いに落ち込むのである。

 しかし湯川は止まらない。

 そんなことも忘れたかのように、また研究発表に顔を出し、必ず質問し、それもほとんど必ず愚問なのである。
 しかし愚問も、とことん数打つうちには当たる。
 それも、当たりどころはとことん悪く、今度は発表者のみならず会場にいる誰もが気付かなかった大愚問だったりする。
 会場の空気がざっと変わる。
 的には当たらぬが、その土台をガツンと震わせる。
 ちょっと待て、今のどうなんだ? もしかしてこうか? そんな馬鹿な話があるか。ああでもない、こうでもない。
 場は騒然となり、侃侃諤諤の議論が巻き起こり、時には新しいアイデアだって生まれたりする。
 
 座敷わらしがいる家が盛えるかのごとく、湯川が顔を出し愚問を発する会はいろんな意味で盛り上がるようになる。

これも、たぶんタイプ5レベル2の「当を得た基本的な疑問を提起」にあたり(引用文中では「的に当たらぬ」とは書かれているものの)、
そういう人が、集団に一人でもいれば、そりゃあ、全体としてのレベルも、引っ張られて上がるってモンです。
もちろん、その疑問に対応して活かすことができる知力ある人が必要とはなってくるのですが。


ちなみに、リソとハドソンのレベルの解説では、レベルは大体3つくらいのレベルの間を行き来するそうです。だからレベル2の状態であれば、レベル1・レベル2・レベル3か、レベル2・レベル3・レベル4ということになります。
ここで言いたいことは、「常にレベル2の高いところに留まることは難しいものの、たまにレベル2になる人はいる」ということです。

以前、リソ・ハドのワークショップでレベルの話を聞いたときには、受講者が確か「ある部分ではレベルが高くて、ある部分ではレベルが低いことがある」のような話(質問)をされて(記憶で書いているので、間違いがあるかも知れません)、それへの答えが肯定的であった記憶があるので、レベルのあり方は、もうちょっと複雑なのかも知れません(普段の言動はレベルが低く、仕事の質の面では高め、とか)。

それと湯川さんは、タイプ5ウイング4のようなので、アインシュタインと同じ、1パーセント・ホームランバッターな面もあると思います。

アインシュタインはこう言っています。
「私は何ヶ月も何年も考える。100回中99回は間違えるが、100回中1回は私が正しい」

※ 『同じ『思考者』である タイプ5ウイング4 と タイプ5ウイング6 はどう違うのか?』湯川さんのことも書いています。


今回は、
『タイプ5・レベル2の「当を得た基本的な疑問を提起」の、一例(たぶん)』
を書いてみました。

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