エキノコックスについて

『寄生虫「エキノコックス」、愛知県で犬の感染相次ぐ』のニュースが出ました。

エキノコックスは、きつね、タヌキ、犬、ときたま猫が広める寄生虫病です。
寄生虫病にかかるのは、人、ネズミ、馬、豚、サル(動物園のゴリラを含めたサルが死亡しています)など。
これが広がると、野外の果物などをそのまま食べられませんし、水も飲めません。川遊びも難しくなってきます。水や土が汚染されるということです。
今年(2021年)、国立感染症研究所は、愛知県の知多半島内で定着したとの見解を示しています。


私は、このエキノコックスへの対応が生物系テロに対応できるか否かの試金石になると見ています。
これへの対応ができないならば、どこかの国や組織が、生物系の災害を静かに日本国中にばらまくことができるわけです。
日本はなすすべもなく、「当座しのぎの根拠のない楽観性」を示し、厄災とwithすることでしょう。ただ見ているだけ。自分のオールを手放して拡大を止められないということです。

※ 『ウィズ・コロナに危険を感じるわけ

この外からの負荷テストは、安心・安全・安定を求める日本人の精神を削っていくでしょう。

新しい「静かな戦争」の形は、なにもネットのサイバー空間だけではないわけです。
サイバー空間で攻撃があるのであれば、当然、リアルでも「静かな戦争」は行われるでしょう。
ですが、そういった不安を感じる未知や混沌に対する想定が日本人は苦手です。その可能性を見ないことにします。
未知や混沌は、日本人が大切にする安心・安全・安定が失われた状態なのでストレスなのです。それで、未知や混沌を正視できなくなるのです。

安心・安全・安定を求める日本人は、それが損なわれると騒ぎ出しますが、簡単に元の状態に戻らないとなると、今度は楽観に傾きます。臭い物に蓋をして、火中の栗は拾わず、見ざる聞かざる言わざるとなります。
そうやって結果的に自分の首をしめていきます。

これはいつもの日本の症状です。

「エキノコックスの被害数は少ない」という意見もあります。ですが数で比べるのであれば、刺殺事件だって たかだか数人か十数人でしょう。交通事故に比べたらわずかなものです。
刺殺事件が騒がれるのは、それが対応できるものだという暗黙の了解があるからです。だから数に関わらず、問題視されます。基本的には安心・安全・安定を守ろうとするのが日本人です。
ですが、それが無理そうになると死者・被害者の数に関わらず、過小評価し、楽観視し、大丈夫と言い出すのです。
たとえ被害が大きくとも、です。

今回、エキノコックスの被害者(北海道では対策した上で毎年約20名が感染。北海道で600匹の飼い猫を調べたところ1匹の猫からエキノコックスの虫卵が見つかった程度です。飼い猫の感染は、当たりやすい宝くじ程度ですが、わずかなものです。東北では人、犬、馬、豚の感染がありますが、わずかな数です)の数を言っている人がいますが、それは「当座しのぎの根拠のない楽観性」の方便のひとつにすぎません。こういう人は数が増えたら別の言い訳を探します。

池のハスが倍々に増えていくとき、池を埋め尽くす前日、前々日の状態を想像してみてください。
エキノコックスが倍々に増えているとまでは言いませんが、途中から増えるスピードは増すでしょう。増えてからでは遅いのです。

エキノコックスが広がった北海道でも、十二匹の狐プラスアルファが最終的には北海道全土まで影響をおよぼしているわけです。
ちなみに、汚染した狐をもってきて真っ先に被害にあった礼文島では、1963年までに島民約200名が死亡しましたが、現在では狐を根絶し、またイヌの飼育を止めるなどの努力をした結果、非汚染地域となっています。
ネットで検索をかけると「狐はもちろん、島内のすべての犬や猫の絶滅をはかった。処分された飼い犬は242頭にもおよび、昭和45年に感染終結が宣言されるまで、島民は犬や猫を飼ってはならない方策が続いた」なんて話が出て来ます。その苦難や努力は『日本住血吸虫症|ウィキペディア』の話に似たものを感じます(リンク先のページは全部は読んでいませんが・・)。

とりあえず、四国や九州は本州からの犬の持ち込みを禁止し、ネズミの往来を監視し、犬の検査の義務付けを行ったらどうでしょうか? 本州に本格的に広がった場合は、靴の泥の検査や洗浄も必要になるでしょう。
特に四国には清流があります。安心して川遊びができ野山の探索ができることを売りに観光客を呼べるようになる未来があるかも知れません。
ただ、これも判断や責任を嫌がる国民性のせいで、原発政策で素早く大きく舵を切ったドイツのような決断力は行政には無いと見ています。


今回のエキノコックス問題では、愛知県の大村秀章知事の手腕に頼りたいとろですが、
これは、日本全体の問題ともなるので、汚染箇所を調べて重点的に駆虫薬の入ったエサをまきつつ、他の場所でもランダムに駆虫エサをまくなど、仕組みとして作り上げて欲しいところです(駆虫薬の場合、ゼロにはならないものの、狐の感染率が62%から20%まで減るようです)。
ちなみに駆虫薬による対策は、ドイツで最初に試された方法だそうで、これをまねることを否定はしませんが、いつものタイプ6日本の「正解のコピー」なのかな?という気もしています。タイプ6は依存的なので、自ら考えず、正解をコピーする傾向があります。できれば先頭に立って試行錯誤して、他国の見本になってもらいたいものです。


追記

繰り返しになりますが、エキノコックスへの対応は、これからくる生物系テロへの対応の試金石になると思っています。
テロでなくとも、海外とのつながりが増えれば生物系の厄災は日本にやってきます。
セアカゴケグモやヒアリの件がそうなります。
新型コロナもこれに類します。

1833年にアメリカ合衆国で初めて発生が確認された豚熱ぶたねつ(=とんコレラ)も同様です。
豚熱は、1992年(平成4年)の熊本県での感染以後は日本で確認されていなかったのですが、2018年(平成30年)9月に岐阜県岐阜市の養豚場で発生が確認された後は・・・。現在も・・・。
ちなみに現在のアメリカは豚熱清浄国だそうです。
中国は、これにより、直接・間接を問わず、日本からのブタ・イノシシの輸入を禁止しています。


これから、こういった生物系の厄災に対して日本というものが(日本人が)無力か否かが分かってくると思います。

皆さん、『混沌』から目をそらさずに対応しましょう!!!


参考
寄生虫に汚染された世界はどのようなものか?


日本においての寄生虫による土壌汚染の事例、苦難を乗り越えた話(文中で取り上げていたリンクと同じもの)

紹介したのは寄生虫の話です。
ただ、冒頭で危惧した生物系テロは何も寄生虫に限らないわけで そこが深刻であったりします。

2017年7月に書いた文章
日本はヒアリ(火蟻)を止められるのか? 日本は『混沌』に対応できるのか?
あのころもエキノコックスを調べて書いたのだなあ、と思いつつ。

追記


2021/10/19 23:00 独り言です。
思った通り、閲覧数が伸びません。今後もう少しは読まれるでしょうでど・・・。
まあこういった話はタイプ6日本人は嫌がりますからね。

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