「日本の大企業からイノベーションが生まれなくなった理由は・・・」を読んで

について、少しだけ、感想です。

例えば、電柱をテーマに大規模なアイデアソンを関西電力さんと一緒にやったことがあるんですが、審査員として新規事業部門の副社長と既存事業(この時は電柱を管理している部門)の副社長の2人と、外部からは当時ヤフーの執行役員でいらした村上臣さん(略)にも来てもらい、外部の知見を入れながら一緒に審査をしました。そうすると副社長お2人は専門外のことだったとしても、この人がこう評価をするんだったら妥当だろうという共感が生まれてくるはずです。そうすると今までは新規事業で決断がしにくかったかもしれないけど、最終的に優秀なアイデアは事業部門の副社長に選んでもらえたんです。

『群衆の英知もしくは狂気』(https://ncase.me/crowds/ja.html)
をやった後だと、この意味が理解できます。
意志決定を変えるのに、外部の人を入れて、別のつながりを持たせるのは有効だということです。

日本の大企業は意思決定する人がいない

タイプ6日本人は、判断が嫌いですから、これは過去に『「PDCAが日本の病の原因だ」を読んでの感想 ーーー 「日本企業は、"決められない病"にかかってる」と言われても』で取り上げています。
また『伊藤祐靖の言葉から、日本の国民性な箇所を抜き出してみる』でも、伊藤氏から外国とは違う日本の特徴として指摘されています。

例えば1970年代とかは日本でもバリバリ、イノベーションが起こっていて、エレクトロニクス関係で面白い製品は日本からしか出ないと言われるほどでした。でも、1980年代に日米貿易摩擦があって、日本製が不正に安いと言われて叩かれまくった。その貿易摩擦を解消する管理の手法としてISO(国際標準化機構)が導入されたりして新製品を世に出すプロセスまで規格化してしまった。その結果、何をやるにも多くの「関所」を通らなくてはならなくなった。それまでは社長が「面白い!」と言えばパナソニックでもシャープでも製品化できていたけど、今は新しいものを生むための関所が多すぎる。ハードルがどんどん高くなってしまいました。

これは知りませんでした。ISOが足かせになっているなんて。
これは、CIAスパイマニュアルの、『愚者の心得』ですね。
スパイが敵の組織に潜入して、この愚者の心得』を実践すれば、相手の組織は機能不全におちいるというものです。

https://gigazine.net/news/20160829-simple-sabotage-field-manual/ より一部、抜粋(一度読んでいる人も、リンク先で改めて全部読んでみることをお勧めします。私は改めて読んで気が付いたところがありました)

許認可、指示、確認などあらゆる手続きを複雑化せよ。一人で決められる事でも3人の承認が必要なように取りはからえ。
何をするにも「指揮系統」を主張せよ。意志決定を早めるためのいかなるショートカットも認めないようにせよ。
相対的に重要ではない仕事に完璧さを要求せよ。ささいな点でも修正するように突き返せ。
やるべき重大な仕事があるときこそ、会議を開催せよ。


https://chikawatanabe.com/2015/11/04/cia_sabotage_manual/ より

なお、日本企業については「古来からずっとこうだった」と思っている人も多いと思うが、1960年代、70年代は全然違ったみたい。

まあ、1960年代、70年代なら、大企業でも自ら安心・安全・安定の外の『未知』に飛び出していった創業者がまだ生きていて現役でしょうから、今とは違うでしょうね。

http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-9400.html より

 「相対的に重要ではない仕事に完璧さを要求せよ」を読んで、厚切りジェイソンさんの以下の記事を思い出しました。
(略)
―― それは日本とアメリカの風土の違いかもしれません。上司に無駄なことを指示されたときに断ることが許される風土が、アメリカにはあるのですか?
【ジェイソン】いや、その質問おかしいよ。超おかしいよ。言い方を変えると、日本の会社は上司が部下に無駄なことをさせているのをわかっているのに、それを断る人を怒るんですか? 日本人のそういう感覚は本当にわからない。無駄なことを断わるのは当たり前じゃないですか。なんで断れないんですか。Why Japanese people? 不思議でしょうがないですよ。目上の人が頼んだからといって、無駄をする方が正しいんじゃ、会社は破産するよ。そんなんだから台湾の企業に買収されるんだよ。

ISOとか、検査とか、ルールは守らなくてはいけませんが、もし、省けるのであれば、主張した方が良いと思います。
それが無駄だと思うのであれば、なおのこと積極的に。

え?
無駄だと思っていても主張していない?Why Japanese people? 不思議でしょうがないですよ。超おかしいよ。(以下略)

社員は上司に、会社は監督省庁に、官僚は政治家に、政治家は国家間の交渉でよその国に、
そうやって無駄を省き、日本社会の成長のために有利に事を運ぶ。それが戦略というものでしょう。
そういう意味での交渉って日本はやっているのでしょうか。というか、下から上がってきているのでしょうか。

タイプ6日本人論書いてます。

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