プロジェクトに失敗した日本企業について

東芝・シャープが勝ち目のない案件に挑んだ理由
大失敗の共通項を神戸大学の三品和広教授に聞く(2017/11/13 日経ビジネスオンライン)

が面白かったので、エニアグラムのタイプ6日本文化に当てはめて我田引水で・・・つまり、自分に都合良く書いていきます。

 日本人の国民性と言われているタイプ6のあだ名は、『忠実な人(ドン・リチャード・リソ)』『疑念者(ヘレン・パーマー)』『慎重な人(レニー・バロン/エリザベス・ウエイゲル)』など、

 これらのあだ名がバラバラでピンと来ないのは、欧米にとってタイプ6が異質だからです。つまりこれらのあだ名は、欧米人から見たタイプ6の姿となります。

 タイプ6を、私なりに説明すると、安心・安全・安定が大切な人です。

 安心・安全・安定が損なわれる、未知や混沌が嫌いで、これらに対しては、『疑念者』として、疑う姿勢を見せますし、
新しい未知なことに対しては、『慎重な人』として、慎重な姿勢を見せもします。
 日頃は、安心・安全・安定を所属する集団に求め、その中で『忠実な人』として振る舞い生活しています。

 では、これらを前提に、引用文を解説していきます。

―――日本企業の経営者は、「石橋を叩いて渡らない」イメージがありますが。

三品:ところが全然違うのです。プロジェクトに関するリスクを、2つの側面から考えてみましょう。

 1つ目は「損失の期待値」。思い通りに進まなかった場合、どれぐらいの「持ち出し」が発生する可能性があるかという考え方です。「失敗する確率」と「投下金額」のかけ算で、損失の期待値は計算できます。

 米国企業は、投下金額を小さくすることで期待値をコントロールしようとします。ベンチャー投資が1つの象徴ですね。失敗する確率は高くても、少額なら経営を揺るがすような損失にはなりませんから。その中で成功が出てきたら、徐々に金額を増やしていきます。

 一方で日本企業は、まずは失敗確率を低くしようと考えます。この傾向が強いので「リスクテークが足りない」と批判されるのでしょう。半面、失敗確率が低いと判断したら、一気に巨額の資金を投じて勝負に出る。私から見たら、ものすごいリスクを取っているわけです。単純に経営が「乱暴」と言っていいと思います。

 「石橋を叩いて渡らない」は、安心・安全・安定を揺るがす未知な新しいことが苦手だからです。
 「失敗確率を低くしよう」という態度も、安心・安全・安定を揺るがす事態になる「失敗」を何よりも避けたいからです。
 その上で、「巨額の資金を投じて勝負に出る」のは、巨額を投資することにより、安心感を得ようとしている可能性があります。
 それとも、失敗確率が低いし、大丈夫だからと、どーんと行こうと、ある意味、安心・安全・安定を信じ切って、神経が麻痺しているのかも知れません。

 引用している話を中断してしまいましたが、話は続きます。

 ここで、リスクのもう1つの側面を考えねばなりません。最悪のケースに陥ったら、最大でいくらの損失が発生するかということです。

 仮に発生確率が0.1%程度に過ぎなかったとしても、不運が重なることはあり得ます。そうした時に、財務が耐えられるのかを考えておかないといけません。(略)

 堺市に巨大な液晶工場を建設したシャープと巨費を投じて米ウエスチングハウスを買収した東芝は、(略)文字通り社運を賭けたわけですが、大きく転んで債務超過に転落してしまいました。

 一度、安心・安全・安定となると、不安を見ようとしない、不安を考えようとしない、社運を賭けるようなことでも大丈夫だと思うタイプ6の姿がここにあります。

 シャープの場合は液晶を長年手掛けてきたので、テレビ事業なら何とかなると考えていた。東芝は数十年間にわたって原子力ビジネスを手掛けてきたので、米国でも原発建設をこなせると思っていた。

 三菱重工業のMRJも同様です。米ボーイングの下請けで経験を積んでいますし、防衛省向けの戦闘機も手掛けている。航空機に関しては全くの素人ではないという自負があるでしょう。

 つまり、自分たちが経験を積んでいる事業ならば、まさか手痛い失敗にはならないだろうと思い込んでいるわけです。失敗の確率が低ければ巨大な投資をしても大丈夫。そういう理屈なのです。

 「自分たちが経験を積んでいる事業」とは、タイプ6にとっては、未知では無く、既知となります。既知となれば、なんとなく安心・安全・安定だとタイプ6は思ってしまいます。そこで安心して慢心(自信過剰)して楽観します。
 だから『大丈夫』となるのです。

 この手のタイプ6日本の『大丈夫フラグ(大丈夫じゃないフラグ)』は、あちこちに潜んでいます。

 タイプ6の楽観ほど、怖いものはありません。

 同じテレビ事業でも、ブラウン管と液晶ではビジネスのやり方が全く異なります。原発でも(略)

 失敗した企業はこうした違いを過小評価したのでしょう。目の前に流れる川の「深さ」を確かめないまま、渡れると思い込んで足を踏み込んでしまった。過去の成功体験から自信過剰になっていたのだと思います。

 「過去の成功体験から自信過剰になっていた」
まさにその通りだと思います。
 過去に、
タイプ6国家・日本の困ったパターン
で取り上げたのと同じパターンです。

 「楽観で始まって、痛ましい結末が訪れる」というパターンです。

 引用した文章の本文を読まれると、また違った感想を持つかも知れませんが、
危機感を持つことが苦手なタイプ6日本の弱点が、よく説明されている文章だとみて、今回、取り上げてみました。

参考
『騒動か麻痺か それしかできない日本なのです
フラグが立ったなと思うとき
タイプ6国家・日本の困ったパターン
日本型組織の長所と短所(『三菱自動車・益子CEO、「燃費不正事件」を語る』を読んで)
ネガティブ、ポジティブ、日米の違い

日本に関する記述を『日本人はタイプ6 』というマガジンにまとめました。

2017/11/14 文章を一部変更しました。
(1)文章を訂正
 安心・安全・安定が損なわれる、未知や混沌が嫌いで、これらに対しては、『疑念者』として、疑う姿勢を見せますし、『慎重な人』として、新しい未知なことに対しては、慎重な姿勢を見せもします。

 安心・安全・安定が損なわれる、未知や混沌が嫌いで、これらに対しては、『疑念者』として、疑う姿勢を見せますし、
新しい未知なことに対しては、『慎重な人』として、慎重な姿勢を見せもします。

(2)文章を追記
 「自分たちが経験を積んでいる事業」とは、タイプ6にとっては、未知では無く、既知となります。既知となれば、なんとなく安心・安全・安定だとタイプ6は思ってしまいます。そこで安心して慢心(自信過剰)して楽観します。
 だから『大丈夫』となるのです。


最後に感想
 つまり、日本の会社であれ社会であれ、既存の延長線上に、安心と慢心と楽観から物事がスタートされ、外的要因によって、前提条件や、現状に変化が出ても、危機感を持つことも、不安感を持つことも、無意識の恐怖ゆえにできず(安心・安全・安定が崩れた世界を正視できないから現実を受け入れられない)、なすすべ無く、というか、対応の必要性すら感じず、傷口を広げて広げて広げていくのが日本の"いつものパターン"ということになるようです。

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