日本の破壊的イノベーションは創業者の個性で引っ張るしかないものの

それにしても、変化が苦手、判断や決断が苦手で、未知や混沌に連なるモノ(物・者)やコトに拒否反応を示す、減点思考のタイプ6な日本は、
どうやったら、イノベーションと仲良くなれるのでしょうかね?

日本では「破壊的イノベーションを!」なんてことだけ言われていて、「これこそ日本の破壊的イノベーションだ!」という話(実例)はあまり聞かないように思います。
世界が「破壊的イノベーション」と言っているので、「そうだ そうだ!」とだけ言っているようです。タイプ6は多数派に付きますから。


イノベーションについて言えば、この前 引用したこれが全てだとは思います。

 事業ライフサイクルで考えるとわかりやすいです。導入期は一人の「天才」がキーです。天才は、まだ世にない新しい価値をゼロから生み出すことが出来ます。そこで市場の掴み方が分かり、一発当たると成長期に入ります。ここからは秀才の出番です。仕組み化して組織を大きくしていくのです。そして安定期になると完全に秀才と凡人の世界です。改善や改良はあるとして、ビジネスモデルが固まり、それを安定的に回して効率化し、生産性向上を行うのが理にかなっているからです。この時期には天才は“異端”になります。多数決という刃物で天才の提案を切り刻み、その存在ですら殺そうとします。実際に閉職や退職に追いやられた天才は数えきれません。縦・横の根回しが必要になるのはこの段階です。そして、天才を失った組織は急速に老化していきます。

日本の企業ではPDCAは意識しているようですが、
ここに書かれているような「事業ライフサイクル」はあまり意識していないようです。

だから破壊的イノベーションを求めるのであれば、
個人的には、創業者の個性で引っ張るしかないと思っています。

何かの文章で、「日本にイノベーションが起こらなくなったのは、日本に創業者が少なくなったせいだ」というのがあって、
それは当たっていると思います。

今、日本でも世界でも、元気のある企業の多くは創業者がまだ健在の組織です。
また、そうでない企業でも、トップが革新的な性格である組織は元気があるようです(一時期の日産ゴーンも、それに該当するような・・)。


ここで青色ダイオードの話をさせてください。

青色ダイオードの中村さんは、徳島の中小企業において、大きな成果を出しました。
その物語を読んでいると、創業者である当時の小川信雄社長はエニアグラムのタイプ8のように見えます。
『統率者(ドン・リチャード・リソ)』『ボス(ヘレン・パーマー)』『主張する人(レニー・バロン&エリザベス・ウエイゲル)』と言われる性格タイプです。
小川信雄社長は、中村さんに数億のお金と時間と留学の機会を与えています。一度認めると大きく任せるのがタイプ8です。
タイプ8は白と黒の二値の人なので、中間はありません。任せると決めたら大きく任せます(それで、要所要所でチェックするのもタイプ8的)。
これが中村さんを青色ダイオードの成功に導いたのだと思います。

中村さんもノーベル物理学賞受賞インタビューで、感謝したい人物の筆頭として小川信雄氏の名を挙げています。「開発したいという私の提案を5秒で決断し、米国留学と中小企業としては破格の研究開発費を用意して支援してくれた。彼は私が知る最高のベンチャー投資家だ」と語っています。(ウィキペディアより)

たぶん、そういうことができるのが創業者なのでしょう。
もちろん性格タイプにもよるでしょうけども。

誰だったか、たしか松下幸之助さんの話だったと思うのですが、
社員が何かに成功したら一緒に喜び褒めた後に「もう、このことは忘れてな」と言ったのだとか。
これが言えるのも創業者だからなのかも知れません。

こうして見ると、もうトップの問題な気もしてきます。
そうは言いながら、創業者が なにかしら問題を起こすケースもあるので、プラスアルファの何かが必要な気もします(優秀な番頭とか、力が拮抗するパートナーとか)。


ただ大きく日本に限定して言えば、
「ビジネスモデルが固まり、それを安定的に回して効率化し、生産性向上を行う」
ことに価値を置く傾向があると思います。
秀才、凡人、エクゼキュータ、アリ型思考の価値観です。

先ほどの青色ダイオードの中村さんは、発明の報奨金が約2万円であったそうです。
それを聞いたアメリカの研究者仲間が絶句の後、低すぎる対価に甘んじているとして「スレイブ(奴隷)・ナカムラ」と言い出したそうです。
会社はボーナスや昇給で上乗せしたとのことですが、発明の価値を会社がどうとらえていたのかは報奨金の金額に現れます。

これは、たぶん日本の多くの会社で同じ傾向であると思われます。社員が発明の対価を求める裁判が一時期日本で相次ぎました。
こういったイノベーターの位置付けが低い日本の価値観が、
変化の時代となった現在、日本の成長を阻んでいるのだとも言えます(個人的には映画の原作者の扱いも気になっています。シナリオライターでも問題があるそうです。2021/06/12日経新聞の最終面で少し触れられていました)。


参考 『現状を知る ― 役割が違う人達と日本の組織の話 ―

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