「エンジニアをしていると、世間には(略)」を読んで思ったこと

『エンジニアをしていると、世間には「面倒な手続きほど価値がある」と考える人が、けっこういるとわかる。』

を読んでの感想です。

新たにシステム開発が入るんだから、さぞかし皆喜んで、不要な業務を全部効率化出来たのだろう、と思うじゃないですか?

ところが、当初要件を聞き始めた時、驚くべきことに「基本的には今のフローを全てそのままの形で踏襲する」という形での要件しか出てこなかったんですよ。

複雑怪奇で面倒なフローは今のまま全部保持して、システムだけ速くしてください、って内容だったんです。なんだそれ。

(略)

ちゃんと動かないシステムで無理やり業務を回す為にこねくり回されたフローを、ちゃんと動くシステムでもそのまま適用したい、というのが当初のお客さんの要望だったんです。

(略)

リーダーさんにしてみれば、今のタスクをきちんと回すだけで自分は十分評価されるし、フローが変わったらその後どう成果を出せばいいか分からない、ということで、一種の抵抗勢力になっていたみたいなんです。


それで、元の文章には、こういった要望しか出てこない原因がいろいろと書かれています。
それらを否定するつもりは無いのですが、私としては、そこにもう一つ加えたいと思ってしまいます。
それは、「(不要なフローを選択して取り除く)判断を皆が嫌った」「判断が嫌いなので前例踏襲で良いとなった」です。
日本はエニアグラムのタイプ6の国民性だと言われていて、タイプ6は安心・安全・安定がとても大切な性格タイプです。それで、レベルの落ちたタイプ6は“変わらないこと”に安定を見出します。

※ 『タイプ6は心配事・不安に どう反応しているか、 精神レベルにより どう変化していくか

だから職場全体の雰囲気が “このまま” であることに寛容になるわけです。当然、 “このまま” を否定することになるなら判断も嫌います。

※ 『「ASTRID(アストリッド)」は何処へ行くのか?――「止められない病」は日本人全体の 問題

で、最終的には「不効率なフローをまとめて刷新してシステムリプレース」ということになりました。

まあ当初は使いにくい使いにくいって現場の人たちに散々文句を言われたものの、最終的には新しいフローでちゃんと仕事が回り始め、経営層含め満足頂いた、という話なのです。

リーダーさんは最後まで文句言ってて、そのうちその会社辞めちゃったんですけど。

現場の人たちの文句も、それがタイプ6集団であるなら、変化そのものが嫌いなわけです。だから文句が出るのも当然だと言えます。

※ 『小熊英二さん「もうもたない!? 社会のしくみを変えるには」を読んでの感想

ここに出てくるリーダーさんの性格タイプまでは分かりません。どのタイプでもこういう展開はあり得ると思っています。

私の個人的経験で言えば、半日仕事が嫌でExcelにマクロを入れて便利にしたことがあったのですが、上の人からの評価が まあまあ高かった割に、末端で仕事をするタイプ3のベテランから「重いんだよ」と陰で言われた経験があります。
それで思ったのですが、成功と称賛を求めるタイプ3アメリカなんかは、こういった抵抗が出ることを前提に、人事において部署まるごと構成メンバーまでも全てごっそりと入れ替えてしまうのでしょう。これは企業に留まらず、アメリカの大統領交代がまさにそういった感じです。そうやって大きく舵を切りながら成功にまい進していくのでしょう。そういったことも、今回の文章から気付かさせていただきました。

はてな のコメントを見ていると、

本質的に不要なものも多々あるが、よくよく調べてみると法制度や標準仕様のために必要な手続きだったりすることもあるので、自分の見える範囲だけで局所最適化して結論を急がないようにはしたいよね

というのがあり、これには同意します。
いわゆる
「なぜフェンスが建てられたのかわかるまで、決してフェンスをとりはずしてはならない」
というやつですね。
ただ、今回の文章はそこは話し合って詰めているようなので、そこのところについては言及しないで感想を書きました。

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