日本の今あるイノベーション問題と、明治維新や戦後の復興との相違点(後編)

二点目として、
現在が、明治維新や戦後復興と違う点として、「正解が無い」もしくは「お手本が無い」という点が挙げられます。

明治維新は、西欧をお手本としました。
戦後復興は、アメリカをお手本としました。

産業は決まったものをただ作り続けるだけでそれが正解でした。
ですが、今のイノベーションには、これをやれば正解というものがありません。
ただ単に自動車を作っていても売れません。
基本的に物は飽和状態です。「(「三種の神器」と言われたテレビ・洗濯機・冷蔵庫など)なんらかの物を作ってさえいれば売れる」時代は過ぎました。
これからは、常に試行錯誤が、隅々の人々まで求められています。

この状態は、「安定が好きで、混沌や未知が嫌い」なタイプ6日本人にはストレスです。

タイプ6は、1から100を作るのは得意です。やるべきことが決まっているからです。
既知のものであり、手本があり、道筋が決まっていれば、頑張ることができます。
そこは「エコノミックアニマル」であり、「働きバチ」であり、「働きアリ」ですから。

でも、0から1を作り出す創造性はありません。
創造性を発揮するには、
タイプ6が好きな安心・安全・安定の外にある未知や混沌と対峙する必要があります。正解など分からない状況で試行錯誤する必要があります。
何が正解かは事前に分かるなんてことはありません。

「グーグルが成功する」「ツイッターが成功する」「フェイスブックが成功する」そういった「正解」があれば、タイプ6日本人は、動けるのです。
ですが、正解が分からない混沌とした状況では、タイプ6はお手上げです。
なぜならタイプ6は「未知が嫌い」「混沌が嫌い」だからです。
今、日本が苦しんでいるのは、今求められているイノベーションが、「常に未知と対峙する」行為を求めている点なのです。

こういった未知との対峙は、エニアグラム9タイプの中で、タイプ6がもっとも苦手とするものです。なぜって、タイプ6とは、未知が嫌いな性格だからです。

明治から続く「モノマネ日本」は、できた答えを真似ていました。
戦後も「キャッチアップ」や「タイムマシン」といわれる手法で、アメリカで出てきたものを真似て日本は発展してきました。

ですが、今回は、その思考過程やマインドセットを取り入れる必要が出てきています。
そしてそれらは「常に未知と対峙する」ことを求めています。
これが、「未知嫌い」の日本には難しいのです。

今の世界で起こっているイノベーションは、「未知との対峙」や「混沌との対峙」を必要とするものです。
これができないタイプ6日本は、沈むのみです。しかも、自覚がありません。無痛状態です。
これは大変な危機です。

それでも、「イノベーション、イノベーション」と唱えていれば、イノベーションがやってくるように日本は思っています。

芸術ですら五七五七七で定型を好む日本人です。自由詩なんて一部の人しか書きませんよね。踊りだって型がありますよね。未知を嫌い、前例を尊び、既存の型を使って生きるテンプレート社会なんですよ。タイプ6社会は。

そんなタイプ6社会では、イノベーションもなんらかの型があると思ってしまうんです。
違うんです。イノベーションというのは、特に今求められているイノベーションというのは、
既存の型をはみ出すことなんです。

これが、未知が嫌いで、正解や型を求めるタイプ6には分からないのです。

だから、常に誰か先生を探して、正解を教えてもらおうとするんです。

人工知能が人間から仕事を奪おうとしている現在、
1.入出力が定まらない非定型的労働
2.正解・不正解の判定基準を定型化しにくい労働
3.極めて少数の事例から学び正しい判断をする労働
4.これまでにはないビジネスを生み出す労働
といった労働のたぐいが増えると考えられているそうです。

ですが、これらを良く見れば分かる通り、これらは皆、未知に対峙する労働です。
これが難しいことが、今日の日本のジレンマなのです。

話はここまでです。

では、
『日本の今あるイノベーション問題が、明治維新や戦後の復興と、どう違うのか?』
を、まとめて短く書いてみます。

1.
明治維新や戦後復興の改革は、変化が終わった後に起きている。
対して、今の日本は変化の途中である。
タイプ6日本人は変化に弱いので、変化が続くかぎり対応ができない。
日本を取り巻く変化や、沈みかけている動きが底を打たないかぎり、動くことができない。

2.
今回の日本のイノベーションは、「正解が無い」もしくは「お手本が無い」。
明治維新は、西欧をお手本とした。
戦後復興は、アメリカをお手本とした。
今回は、正解やお手本が無い中で、手探りをする必要があるが、
日本は正解が無い中では動くことができない。

これらが、
日本の今あるイノベーション問題と、明治維新や戦後の復興との相違点
となります。

参考
タイプ6と「テンプレート」「反復」、そして「ひな形」の話
日本人と創造性
タイプ6を通して見た日本人論は他にも書いています。こちらからどうぞ。

書き終わっての感想をいくつか
・ なんで、日本は急激な変化でしか対応できないのでしょうかね(目の前の混沌たる現実に対峙せず、逃げ切れないまで無視するからなんですが・・)。
・明治維新で武士と藩が無くなり、戦後は財閥解体や農地解放、・・・では、今度は何でしょうかね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?