原子炉運転と飛行機運転の日米の差

本日見掛けたTogetterから
https://togetter.com/li/1333589

『コロラドさん解説『東京電力福島第一原発事故発生時 菅直人首相に提出された「原子力委員会 近藤俊介メモ」が示す最悪のシナリオ』 #メルトダウン (2019.4.1作成) - Togetter』

「米原子力規制委/(NRC)は2001年の同時テロの後、全電源喪失事故への特別対策を米電力業界に指示/。通称「B5b」と呼ばれ/具体的な内容は一般に公開されなかったが、NRCは日本の保安院には伝えた。しかし、保安院は電力業界には周知しなかった」
合衆国のB.5.bの指針では、全電源喪失した場合、BWR-3型の場合は直ちに手動でICを全開することになっているそうで、炉がダメージ受けても冷やし続けろというものでしたが。日本人は、冷えすぎて炉が傷むということでICを間欠運転し、止めたところで津波。以後ICの状態把握不能。
本来はここで、オペフロに走って行って、ICのバルブを手動で全解放するのが合衆国のB.5.bによる指針でしたが、B.5.bを保安院は国内に持ち帰りながら放置していたので誰も知らなかったというのが日本の実態。避けられた事態を避けられなかったのは完全に人為的な失態。情けない。情けない。情けない。
当たり前のことですが、まず装置類はその動作原理を理解してないといざという時に対応出来ません頭が働かないからです。次に、訓練を日常的に繰り返していなければ体は動きません。 日本人はこのどちらも欠けていたことを福島核災害は証明してしまいました。 ICを動作させたことのある人がゼロだった。
全電源喪失してもICは簡単に動く優秀な装置ですが、誰も動かしたことがなければ緊急時に動作確認をするすべがありません。また、電力喪失時のバルブ動作はノーマルオープンか、ノーマルクローズかで明示されている訳で、日本人はそれすら把握していなかったのです。 もはや猿が運転する自動車です。
合衆国では、全電源喪失すれば、原子炉は8時間で炉心溶融して破滅する だから、電源を失ったら冷却を前提条件なしで起動せよ BWR-2,3の場合は、ICを万難を排して起動せよ 全電源喪失=即時手動でバルブ解放(この時点で放射線漏洩はしない) 建屋外の水蒸気噴煙で動作確認 腹水用の水を定期的に補給せよ
これらを合衆国では職員にたたき込んでおり、訓練もしているため、仮に同じ事が生じても、すぐに鎮圧出来るのです。 日本人は、このことを全く知らずに原子炉を爆発させました。
要するに、設計から建設、運営、運転をすべてアメリカ人がやっていれば、日本人の意思決定をすべて排除し、すべて合衆国が運営していれば、福島核災害はおこらなかったんです。 ひとまねさるに車を運転させてはいけないと言うことです。

この話を読んで
『「飛べないMRJ」から考える日本の航空産業史』
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/021900056/041000004/?P=2
においての
独立系航空機メーカー、オリンポスの四戸哲(しのへ・さとる)社長
の話を思い出しました。

こちらは、日本の航空産業の話です(編集して引用してます)。

ところで、もとがStandardsなら「審査基準」と訳さねばなりません。それがなぜ「審査要領」となっているかと言いますと、役所の側に「基準を満たせば許可をする」と言い切ることが可能なだけの、航空機を実際に審査する技量がないからです。

YS-11の時には、日本は米国の耐空審査基準を翻訳した耐空性審査要領にのっとって審査をしようとしたんですが、やりきれませんでした。
できませんでした。YS-11の時点でも結局日本人パイロットによる飛行試験だけでは、検査しきれなかったんです。

YS-11は、離陸直後、二基のエンジンのうち一発が停止してもリカバリー可能に、という、双発機にとってみるとものすごくつらい最新の規格を世界で最初に通った機体なんです。当初設計では、試験飛行で一発停めると、機体が横滑りするのを止めることができずに、乗っていた人は相当怖い思いをしたそうです。

その後、米国からFAAの検査官がやってきて操縦して、ダメ出しをしました。これによってYS-11には大規模な改修が行われます。

このときの検査官のダメ出しは『YS-11 国産旅客機を創った男たち』(前間孝則 1994年 講談社)の中でこのように書かれているそうです。

「YS-11の安定性はマージナル(良いか悪いかギリギリのところにあるという意味)であり、ノーだ」と指摘した。それまで日本側は小改修で大丈夫と思っていたので、FAAからの「ノー」の指摘で大騒ぎとなり、機体の大規模改修を行うまでに至った。つまり、日本側の審査体制は「機体を小改修で済ませるか、それとも大規模改修すべきか」の判断ができなかったのである。

日本は、エニアグラムのタイプ6の国だから判断はできないんですよね。
基本的に、「大丈夫」「大丈夫」「小改修で大丈夫」の楽観主義で進んでしまう。
それで、それが否定されると、突然出てきた混沌に右往左往して大騒ぎとなる。
とてもタイプ6らしい動きです。

四戸(しのへ)社長の引用を続けます。

改修後の最終審査では、米国から来たFAAの検査官が、事前のレクチャーもなしにすぐに機体を操縦し、離陸直後にいきなりすとんと片側のエンジンを止め、横滑りする機体をうまく操ってピタリと止めたそうです。

この部分は『YS-11 国産旅客機を創った男たち』(前間孝則 1994年 講談社)の中でこのように書かれているそうです。

1964年5月28日に、FAAによるYS-11最終審査が行われる。この時、FAAのピーターソン検査官は、事前に操縦関連のレクチャーを受けていなかったにもかかわらず、機体の操縦を希望。操縦席に座った彼は離陸直後に「エンジン、カット」と叫び片方のエンジンをいきなり停止し、YS-11が離陸直後のエンジン1基停止でも安全性を保てることを確認した。ピーターソンの突然の行動に、同乗した日本側関係者は大きなショックを受けたという。エンジン停止のような危険な試験は、十分機体の操縦に慣れてから行うものと考えていたからである。

安心・安全・安定が大切なタイプ6日本は、このような行動を、無茶なものとして嫌います。
では、このような不測の事態を想定しているのかと言えば、基本的にはしません。
ある一定以上に安心・安全・安定が損なわれた状態は想像したくもありません。
「大丈夫」「大丈夫」「大丈夫」。このようなタイプ6日本だから原子力業界では、せっかくもらった全電源喪失事故への特別対策「B5b」も放置です。


どちらも本当の意味で使いこなせてないんですよ。
依存体質なタイプ6日本人は、答えを自分の外に依存するんですよ。それで答えを上っ面でコピーするんですよ。上っ面のコピーで技能が無くても、通常運転ではそれなりに動くんですよ。今、動いているのものを動かし続けることには問題無いんですよ。そこは上手いんですよ。安定させるんですよ。そして、それで安心するんですよ。

で、本当の意味で使いこなせているかどうかは、不測の事態が起きたときに、その差が表われるんですよ。



参考 『答えをコピーする日本人とその弊害』 コピーをする態度が、日本の航空文化にどう影響を与えたか。独立系航空機メーカー、オリンポスの四戸哲(しのへ・さとる)社長の話をここでも引用しています。

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