アリの思考タイプ と キリギリスの思考タイプ

より、

これまでの日本企業の典型的勝ちパターンは、「すでに決められた枠の中を最適化する」ことではなかっただろうか?
ある程度製品の大枠が決まってからそれを高性能化し、低コスト、軽量小型化することは自動車や電気製品で見られた日本製品のひとつの勝ちパターンだったと言える。
ところが社会や市場の成熟化、新興国の台頭、製品のコモディティ化、ICTの発展などによって、「枠の中を最適化する」という勝ちパターン以外のことが求められる場面が多くなっている。
ところがここでの最大の問題は、従来の問題解決に求められていたスキルやものの考え方と、上流の問題発見のためのスキルや考え方は、真逆と言えるぐらいに異なっていることである。
うまく状況に合わせて「ギアチェンジ」できる「スーパーマン」もごく少数は存在するが、ほとんどの人間はどちらかのみを得意とする。これらはお互いに打ち消し合う力となって働く場合すらあるのである。

一方、これまで社会や企業組織あるいは教育は、基本的に「問題解決」型を想定して最適化されていた。したがって「問題発見」型人材が必要とされても、それを生み出し、活用することができないという構造的な根の深い問題が存在する。このことをおぼろげながら感じている人は多いが、明確にこのギャップを把握したうえで行動している人はほとんどいないように見える。

そこでこの連載では「問題解決」に適した思考回路を「アリの思考」とし、「問題発見」に適した思考を「キリギリスの思考」として、その対照的な思考回路のギャップのメカニズムを明確に示すとともに、ギャップを埋める解決策の方向性を探りたい。

・「問題解決」に適した思考回路を「アリの思考」(「すでに決められた枠の中を最適化する」)
・「問題発見」に適した思考を「キリギリスの思考」(上流の問題発見のための考え方)
この真逆な2つのチェック項目は以下の通りです。

これをエニアグラムの性格タイプに当てはめてみたいと思います。

〜「アリ型思考のチェックリスト」〜
1. チームワークが得意で先輩にもかわいがられる
2. 数字に強い
3. 恵まれない環境でも必ずその中で頑張り抜く
4. 「その道の専門家」である
5. 法律や規制に詳しい
6. 仕事を着実に具体化するノウハウに精通している
7. 仕事はつねに確実に実行する
8. 服装や言葉遣いは厳しくしつけられている
9. 有名大学を出て有名企業に就職し、本流部門で働いている。
10. つねに人一倍の努力を怠らない

『べき』のタイプ1、日本人の国民性タイプ6、その他、といったところでしょうか。
仕事の場合は、多少性格タイプが違っても、能力で乗り切る人が現れるので、一概にタイプで決めつけることはできませんが、「アリ型思考」に向いている性格タイプとして、タイプ1とタイプ6が挙げられます。

〜「キリギリス型思考のチェックリスト」〜
1. 個人の主張が強く仲間や先輩とも衝突する
2. 数字に無頓着である
3. 環境に恵まれなければすぐにほかを探す
4. 何にでも首を突っ込むが専門性がない
5. 今の法律や規制には疎い
6. そもそも意味ないと思えば「ちゃぶ台返し」をする
7. 現実味のない理想を語ってばかにされる
8. 「服装や言葉の乱れ」は気にしない
9. 学校はまともに行かず、「まともな組織」で働いていないか、働いていても陽の当たらない「傍流」にいる
10. 「いかに楽をするか」を必死で考えている

真っ先に上がるのが、『快楽主義者(ヘレン・パーマー)』『冒険者(レニー・バロン&エリザベス・ウエイゲル)』とも言われるタイプ7。ただし、タイプ7に面と向かってキリギリスとは言わないように。そこに悪意が少しでも入っていたらタイプ7は嗅ぎとりますから。

あとは、『ホーナイの三つ組み』の『自己主張型』が該当しそうです。
タイプ3、タイプ7、タイプ8が、それに当たります。

タイプ8は、『統率者(ドン・リチャード・リソ)』『ボス(ヘレン・パーマー)』『主張する人(レニー・バロン&エリザベス・ウエイゲル)』なんて名前が付くほどなので、「キリギリス型思考のチェックリスト」の「1.  個人の主張が強く仲間や先輩とも衝突する」にはピタリと当てはまります。

タイプ3は成功を目指す性格なので、成功のためなら「キリギリス型思考」にだって「アリ型思考」にだって、どちらにもなれるでしょう。

他にも、タイプ5の一部が「キリギリス型思考」に当てはまるかも知れません。

・・・などという感想を持ちました。


「すでに決められた枠の中を最適化する」日本の「アリ型思考」ですが、
日本は、ほとんどの場合、その答えを自分で考えず、他からのコピーで済ませてきました。歴史的に見ても、昔は中国、近代は西欧から多くのものをコピーしてきました。
戦後日本は発展しましたが、昭和、平成、令和、と、その中で日本発の物って少ないですよね。
他から正解をコピーしてきて、○○道のような形にして、「すでに決められた枠の中を最適化する」ことが、細谷 功 氏の言う通り、日本企業の典型的勝ちパターンでした。

そこで細谷氏は変化の時代に対応すべく「キリギリス型思考」を勧めていますが、性格や国民性というものは簡単に変えられませんから難しいとは思います。

この連載では「問題解決」に適した思考回路を「アリの思考」とし、「問題発見」に適した思考を「キリギリスの思考」として、その対照的な思考回路のギャップのメカニズムを明確に示すとともに、ギャップを埋める解決策の方向性を探りたい。

とも書かれています。
連載は続いているようです。
さて、どのような解決策が提示されるか期待したいと思います。

2021/06/12追記
失礼しました。
元記事を最近読んだので最近のものと勘違いしていました。
2014年掲載で、連載は その年の6月には終わっていました。

https://toyokeizai.net/articles/-/37118

https://toyokeizai.net/articles/-/37744

https://toyokeizai.net/articles/-/38307

https://toyokeizai.net/articles/-/38781

https://toyokeizai.net/articles/-/39314

なるべく早く読んで感想を書く予定です。

2021/06/13
書きました。
「アリの思考とキリギリスの思考」の感想

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