タイプ6日本人の「健全な状態」の、たぶん実例

「本当ですと、こんなところで皆さま方のような諸先輩方を前にお話しするのは、そういう未熟な私がお話しするのは失礼なのですけれども、普段子供たちに、言うべきことは言いなさい、権力にひるんではいけませんと教えている以上、震える手でマイクをつかんでお話しさせていただきます。

(中略)1票の重みと、そしてその真剣な教職員、その価値をぜひ評議員の皆さまにお考えいただきたい。よろしくお願いいたします」

これを言ったのは、慶應義塾附属中学の宮内完二教諭

今まで、何回か、日本のタイプ社会の「健全な状態」の説明として、

自分のまわりで何か不適切なことが起きていることを感じ取ったり、自分が関与している組織の中で他者が力を悪用していることを察知したりすれば、怖れずに疑問を提起する(リソ&ハドソン より)

と書いてきましたが、これが実例になると思います(当人は怖れてか、震えていますが)。

先ほどの発言は、2017年、慶應義塾の塾長を選ぶ際の「評議員会」においての発言です。

ここで、少し説明を入れます。

慶應義塾の塾長選挙は、
大学9学部と、幼稚舎から高等部までの「一貫教育校部門」、「職員」の計11部門から各2人ずつ候補を選出し、
450人の選挙人が塾長選挙で投票し、候補者を3人に絞り込み、
学部長と学外の財界人など29人の「選考委」が1人を推薦し、
最高意思決定機関の「評議員会」で新塾長が決まるそうです。

ただ、戦後始まった投票制度では、「得票トップの候補を選ぶことが慣行」だったのに、
あろうことか、2位が塾長に選ばれてしまった。という事態が起こって・・・、

冒頭の発言は、このときに、「疑問を提起」した人の発言となります。
このかたの勇気は、報われませんでしたが、これがタイプ6日本人のレベルの高い人の行動となります。

2018/03/12追記
タイプ6は、安心・安全・安定が大切で、大抵のタイプ6は、安心・安全・安定を得るために、何らかの集団に所属して、その集団に安心・安全・安定を供給してもらいます。
また、その見返りとして、自分の所属する集団の維持管理に励みます。
集団の中のタイプ6は、その集団の最前列や最後尾を嫌います。
タイプ6にとって、目立ってしまう先頭やビリは、安心・安全・安定を脅かす立ち位置です。
そんな理由から、タイプ6は、集団の中で、目立たず、平均でいたいと願います。

このような性格であるタイプ6が、目立つ行為である「たった一人で正論を言う」というのは、当人にとっては恐怖であったりします。

それを押しのけてまで、
「組織の中で他者が力を悪用していることを察知したりすれば、怖れずに疑問を提起する」
態度は、レベルがかなり高くないとできない行動です。

このかたは、中学生を教えているそうですが、
このかたの下で学んでいる生徒の方々は、とても精神レベルの高い人の指導を受けていることを誇って良いと思います。

タイプ6は、周りに合わせて正論を言うことはあります。
ですが、「たった一人で」となると怖じ気づきます。

でも、レベルの高いタイプ6は、それができるのです。

タイプ6の美徳は『勇気』と言われています。

その『勇気』とは何なのか、冒頭の発言から我々は学べるのではないでしょうか?

参考
【エニアグラム用語】レベルとは?
エニアグラムのタイプ6日本人論はこちら

『慶應義塾の「疑惑の塾長選」そのウラ側をぜんぶ書く!(週刊現代)』
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52156
『慶大の怪しい塾長選 得票トップが落選で次点当選の不可解(日刊ゲンダイ)』
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/204021
『「慶應義塾」新塾長に得票トップは選ばれず! 2位を指名したワケ…(週刊朝日)』
https://dot.asahi.com/wa/2017050800016.html?page=1


2018/09/22追記

これも実例になると思います。

新潮社出版部文芸‏ のツイート

良心に背く出版は、殺されてもせぬ事(佐藤義亮)


用語説明

佐藤 義亮(さとう よしすけ(ぎりょう)、明治11年(1878年)2月18日 - 昭和26年(1951年)8月18日)は、新潮社の創立者。雑誌「新潮」を発行した。
1904年新たに新潮社を創立、文芸雑誌『新潮』を創刊。中村武羅夫ら編集者に人材を得て、同誌は明治末以降今日まで日本の代表的文芸雑誌とされている。社是に「良心に背く出版は殺されてもせぬ事」「どんな場合でも借金をしない事」「決して約束手形を書かぬ事」の3か条を掲げ(以下略)
社長職は創業者佐藤義亮から代々世襲によって引き継がれている。第2代佐藤俊夫、第3代佐藤亮一を経て、現社長佐藤隆信は、創業者の曾孫である。

ウィキペディアより

「これを美談にするな」という声もありますが、タイプ6社会で、これができるだけでもすごいことですよ。会社もこれを認めていますし。
確かに美談で終わらせるのはまずいです。ですが、一縷(いちる)の望みは残ったということでしょう。



2019/09/14追記

上記リンク先に書かれた話も、健全なタイプ6日本人

自分のまわりで何か不適切なことが起きていることを感じ取ったり、自分が関与している組織の中で他者が力を悪用していることを察知したりすれば、怖れずに疑問を提起する(リソ&ハドソン より)

の実例となると思います(実例にあたる人は、異様な雰囲気を身にまとい、目が血走っていますが・・・、やはりタイプ6社会で健全な状態に持っていくのは大変なのですよ)。

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