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ジャニーズ事務所、性加害謝罪から、長々と

ジャニーズ事務所が故ジャニー喜多川氏による所属タレントらへの性加害の事実を認め謝罪したので、動きが出ています。

『ジャニーズ事務所の藤島社長、故喜多川氏の性加害を認めて引責辞任 後任に東山紀之氏』

『三谷幸喜、ジャニーズ事務所の会見受け“3つの問題点”挙げる 今後への教訓も「忖度せず向かい合うことができるか」』

■三谷幸喜氏が挙げた3つの問題点

【性加害について】
これが一番大きな問題だと思うんですけど、一番の当事者が亡くなっているので、これに関しては先の展開が難しいなという気がする。

【見て見ぬふりをしてきたとしか言われても仕方ない事務所】
これも新体制ができて、会見でおっしゃっていたことをやっていただくということを、僕らは期待するしかない。

【忖度という形で黙認してきた社会、僕ら】
これがわからないんですけど、ジャニーズ事務所が力が弱まってきたから忖度しなくていいんだ、だから叩いているんだ…だとしたら、それは間違いだと思うんですね。だからこそ、僕らは今後同じようなことが起きた時に、力を持った一部の人が、より力を持つことによって、その裏で力のない人が涙するようなことが起こった時に、僕らはそれを忖度せずに、きちんと向かい合うことができるか。向かい合わなければ、今回の経験が何の意味もなくなっちゃうなと思います。

ヤフコメ

三谷氏のいうとおり、メディアが報道するようになったのも、BBCをきっかけに事実がおおっぴらになり、外堀を埋められて、避けて通れなくなって、叩かずにすまされない、あるいは叩いても怖くない、安心して叩ける状況になったから叩いているだけであって、決してメディアの根本的な姿勢が変わったわけではないことを忘れてはならないでしょう。そんなメディアに自浄能力があるとはとても信じられないので、しがらみのない第三者が圧力や忖度のない自由な報道がなされていることを厳格にチェックして、問題があれば経営者の責任を問うような仕組みが必要なのでは。

BBCが報道しても、動きは鈍かった感じですね。
国連まで出て来て、日本のマスコミ・芸能界への批判まで出て来て、それで「仕方が無く」触れざるを得ませんでしたね。

国連の他にもバレーとかね。

『「性加害問題に参加国が“NO”」ジャニーズ Aぇ! GroupがバレーW杯から排除された!《川合俊一会長は、直撃取材に…》 | 文春オンライン』

大まかに言って、このヤフコメの言う通りなんですよね。
ただ、BBC、国連、バレーでもマスコミは動かなかったと見ていて、この部分は今回の話の後半で取り上げます。


日本は安心・安全・安定が大切なエニアグラムのタイプ6の国です。
それで通常は安心・安全・安定な環境を作ろうと頑張るのですが、
向かう相手が強固だと、その混沌に対応している時間の長さをストレスに感じて、「見て見ぬふりをする」「見ざる聞かざる言わざる」「長い物には巻かれよ」「臭い物に蓋をする」となるのですよね。

「出る杭は打たれる」と言いますが、「出過ぎた杭」は、強固な混沌なので、打たれないことになってしまうのです。
礼儀にうるさい日本において、非礼なヤクザが存在できる理由がここにあります。

ジャニーズ問題は、それに関わると混沌が大きくなるので、皆、スルーして関わらないことにしていたわけです。

ところが、海外で問題にされ、混沌が起きてきた。それは沈静化しなかった。
普通は、時間が経って静かになれば、あえて混沌には手をつけたがらないタイプ6な日本なのですが、
海外がそれを(結果的に)許さなかった。
「BBCをきっかけに事実がおおっぴらになり、外堀を埋められて、避けて通れなくなって、叩かずにすまされない」状態になってきた。
ジャニーズ問題という混沌と、海外からの問題から逃げていると非難される混沌とがあって、後者の混沌が大きくなって「外堀を埋められて」、「避けて通れなくなって」。
つまり日本においては、スジとか倫理(道徳・モラル)とかではなくて、今回の場合は、2つの選択肢における混沌の大小を比べて動いているだけだと私は見ています。
「二つの問題を天秤にかけて決めた」ということです。
別に正義とか、そんなの関係無い。
後で書きますが、その天秤すら正常に動かせなかったとも私は見ています。


ジャニーズ問題の初期対応はこうでした。

『ジャニーズ事務所の長期的な弱体化は不可避 松谷創一郎氏 書き起こし』

民放テレビ局としてはですね
やはりコンテンツと報道の天秤をかけた時に
コンテンツを取っているんでしょうねっていうことですね
で、例外的に違うのが、
初期段階ではTBS は違いましたよということと
日本テレビも迷いながらもやっていると

『ジャニーズ事務所の長期的な弱体化は不可避 松谷創一郎氏 書き起こし』
https://anond.hatelabo.jp/20230712042740

ここ何かって言うとテレビ朝日のミュージックステーション
で、ご存知だと思い ますけども
1986年から続いているゴールデンタイムの音楽番組です
この番組1988年からジャニーズタレントがレギュラーなんですね
総集編を除く1369回のうちジャニーズの
出演がなかったのは13回だけなので1%を 切っていてこの13回のうち4回はですね
うち1回がコロナで
(略)
押さえておいていただきたいのは
実は今回の 報道の姿勢が
この音楽コンテンツと結構
同じようなノリだっていうことですね
TBSは積極的 にやるけども、
テレ朝は一番腰が引けている
これはコンテンツの中身と
結構 似てるような感じがありますよね
テレビ朝日がじゃあなんでこんなに
ジャニーズに対して腰が引けているのかというと
その要因としてやはり考えられるのは
過去に圧力があったからではないか ということですね

『ジャニーズ事務所の長期的な弱体化は不可避 松谷創一郎氏 書き起こし』
https://anond.hatelabo.jp/20230712042740

この「圧力」という表現ですが、

例えば実際にテレビ朝日の皇達也さんっていう
この番組を、ミュージックステーションを立ち上げた方が(略)
週刊新潮にジャニーさんから
「ただ、うちのタレントとかぶるからうちは出さない方がいいね」
っていう風に言われ たっていう風に
実際に圧力があっ たってことを
亡くなった時に美談として言ってるんですよ

『ジャニーズ事務所の長期的な弱体化は不可避 松谷創一郎氏 書き起こし』
https://anond.hatelabo.jp/20230712042740

要は、「うちのタレントを出さない」という混沌を匂わされ、その混沌に屈したということです。
また、これを「美談」としていますけど、これも大きく見ればグルーミングです。

現役のタレントがジャニーさんに対してものすごく何て言うかな親愛の情を
テレビ 番組とかで示しているというところもあったと思うん ですね
ジャニーさんの口癖「ユーは何々だよ」とかそういう言い方を真似したりしていて
本当に性被害を受けてる人か何でこんな こと言うんだろうっていう風に
まあそこの整合性が取れなかったわけですね

で、今回 やっぱりBBCのモビー・アザーさんが
やった一つすごく大きな功績っていうのは
そこにグルーミングっていう概念をですね
日本にちゃんと伝えてくれたことです
これはあの性犯罪においては 非常によく知られていた概念だったそうなんですけれども
私は知らなかったので ようやく 納得ができたんですね

『ジャニーズ事務所の長期的な弱体化は不可避 松谷創一郎氏 書き起こし』
https://anond.hatelabo.jp/20230712042740

私はですね構造的な問題を話すんであれば
こういう風にテレビ局がジャニーズを退所した人に対して忖度をし続けること自体が共犯だと思ってるんですね

なぜかというとこれをやってる以上はジャニーズが(から)離れられないから なんですね
ジャニーズに留まったらジャニーさん から性的な課題を受けるかもしれないし
性的な被害を受けるかもしれないし
ジャニーズから離れたら今度は芸能界で活躍できないかもしれない
となると この構造自体がですね
まあ今回の性加害を生じさせてしまったということになるんですね

で、テレビ朝日が今もまだこれを続けているんならば
テレビ朝日が今もまだここに対して共犯であるということだと私はとらえています
最近、元SMAPの3人がフジテレビの番組に
やっとバラエティーとかドラマにも出られるようになったので
状況はフジテレビとかは結構変化をしているけれども

なかなかこういう状態を本当にまだ続けていくのであればちょっと問題としては
より追求をしなければいけないのかなというふうには考えてます
同時にですね
今回ちょっと未成年者の話自体が注目をされていますけれども
未成年者の話には限りません

これはそこだけご留意いただきたいと思います

『ジャニーズ事務所の長期的な弱体化は不可避 松谷創一郎氏 書き起こし』
https://anond.hatelabo.jp/20230712042740


また、今回のジャニーズ問題においては、追加情報として作曲家・服部良一氏の次男のかたを始めとしていろいろな人が声を出し始めて、それらも含めて「叩いても怖くない、安心して叩ける状況になった」ところも大きいでしょう。


今回の問題は、別にマスコミが自発的・内発的に動いてきたわけでも無いのです。
BBCが報じた直後だって、なかなかマスコミは動かなかった。

4月12日、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏(26、当時は岡本カウアン名義)が日本外国特派員協会で記者会見を行ったという記事のヤフコメが以下のもの。

松谷創一郎 ジャーナリスト

この記事にもあるように、NHKの報道局は取材に来て質問もしていました。ただ、今夜19時『ニュース7』、21時『ニュースウォッチ9』では取り上げられませんでした。

現在、放送局で取り上げたのは、筆者が確認できたところではTBSラジオ『荻上チキ・ Session』のみ。他は、通信社の共同通信と時事通信、ネットメディアの『PRESIDENT』『ハフポスト』、そしてこの『弁護士ドットコム』などです。新聞はあしたの朝刊のタイミングで記事を出す可能性があります。

その後、NHKは、夕方のニュースで取り上げたという話がありました。

カウアンによる12日の記者会見は、大手新聞もようやく取り扱う姿勢は見せたものの、NHKが翌日の夕方のニュースで2分にも満たない時間で触れた程度で、地上波ではゼロに等しい扱いだった。ところが、ジャニーズ事務所が対応を進めているとする報道(※ 一部の取引先企業に対し内々に文書を送付していた)が出た途端、翌日にはNHKが昼と夜に2度報じたほか、TBSの『サンデーモーニング』、フジテレビの『Live News イット!』を始め、各局が一様に取り上げた。(カウアン・オカモト氏の)記者会見はスルーするのに、公に発表されたわけではない内部文書については一斉に取り扱うということは、“ジャニーズ事務所側が取り上げてほしい情報”を選んでいるということでしょう」(芸能記者)

『ジャニーズ、性加害問題“対応”でテレビも一斉報道も…「相談窓口は“ジュリニ”ばかり」の悪手』
https://www.cyzo.com/2023/04/post_343512_entry.html

メディアは、BBCやカウアン・オカモト氏の記者会見では動かなかった。多くがスルーしました。
だけども、ジャニーズ事務所の動きには忠実に反応しました。

今回の話も、
ジャニーズ事務所が故ジャニー喜多川氏による所属タレントらへの性加害の事実を認め謝罪したから
次の段階に進めたということです。

結局、
「BBCをきっかけに事実がおおっぴらになり、外堀を埋められて、避けて通れなくなって、叩かずにすまされない、あるいは叩いても怖くない、安心して叩ける状況になったから叩いているだけ」
でも無かった。
BBCは関係無かった。
ジャニーズ事務所が「性加害の事実を認め謝罪した」から「安心して叩ける状況」となり次の段階へ行けた。

ジャニーズ事務所が認めたので、やっと、テレビ局も、関係する企業も次の行動を取ることができた。

つまり、主導権は今でもジャニーズ事務所が握っている。

こうして見て行くと分かってくるのですが、
外堀を埋められたのは、マスコミでは無く、ジャニーズ事務所だったということです。

今回の件でマスメディアは深刻ぶって取り上げていますが、それは張り子のトラのごとく、張り子のジャーナリズムであって、
マスコミは、単にジャニーズ事務所の発言にくっついていく金魚のフンのようなものであり、そこに主体性はありません。

自ら報道の判断や決断ができず、ジャニーズ事務所の言動に左右され、それは依存的とも表現できるものです。

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