「金メダル、いけますよ」「日本、勝ちますよ」と「北方領土返還」と「井沢元彦」

『ロシアは最初から1島たりとも返すつもりはない』という記事を軍事ジャーナリストの黒井文太郎(くろい ぶんたろう)さんが書いています。

ちなみに、北方領土交渉は、本日(2019/01/21)の報道によれば、

安倍晋三首相は北方領土問題に関し、北方四島のうち色丹島と歯舞群島の引き渡しをロシアとの間で確約できれば、日ロ平和条約を締結する方向で検討に入った。複数の政府筋が20日、明らかにした。2島引き渡しを事実上の決着と位置付ける案だ。4島の総面積の93%を占める択捉島と国後島の返還または引き渡しについて、安倍政権幹部は「現実的とは言えない」と述べた。
https://this.kiji.is/459764773200102497

とのことです。

わずか2ヶ月ちょっと前の昨年の11月16日には「交渉の対象は4島の帰属の問題だ」と言っていたのに、変化が早いですね。

始めに紹介した黒井文太郎さんの文章を引用します。

「なぜ日本政府はいつも島のことばかり言うのですか? ロシアの領土を私たちが渡すわけがないじゃないですか。形だけでも交渉してくれと日本の外務省が頼んでくるので、何も約束しない範囲で付き合っていますけど、これいつまで続けるつもりなのですかね」
 これは1990年代のエリツィン政権時代に、プライベートで交流があったロシア外務省の日本担当者が私に言った言葉です。
日本メディアが「交渉進展か」と報じる度、その根拠が「日本側の関係者がそう言った」以外にファクトが一切存在していないことを確認しています。

そして、こうも言っています。

この点、日本側には自らの願望によって相手の意図を誤認識する傾向が強くみられます。

これを読んで思ったのですが、
この願望とは、サッカーや野球で、「日本、勝ちますよ」と言う姿勢、
オリンピックで、「金メダル、いけますよ」と言う姿勢、
はたまた先の大戦で、「何かあれば神風が吹く」と言っていた姿勢、
これらの姿勢と、
「自らの願望によって相手の意図を誤認識する傾向(北方領土、交渉進展か)」
は似ています。

そういえば、
2010年にオーストラリアが日本を国際司法裁判所に提訴した
クジラ裁判
も、「日本として最良のチーム」なんて言っていて負けましたよね。

どうやら、
日本(日本人)は楽観的な方向に誤認識する傾向があるようです。

日本人は、エニアグラムのタイプ6の国民性だと言われています。

タイプ6は、安心・安全・安定を大切にし、
逆にこれが壊れることを大変怖れ、
その不安が大きくなったときには、それを打ち消そうと「大丈夫」という意味の言葉を声高に言うことになります。
通常の段階でもタイプ6は、不安を見たがらないので、「大丈夫」を使いたがります。この場合は、軽い感じで楽観的に言うことになります。

作家の井沢元彦さんは、これを『言霊(ことだま)信仰』と表現しています。

以下、『学校では教えてくれない日本史の授業』より引用します。

 ある医師が、患者にガンであることを告知したところ、その患者さんが、驚いて次のように叫んだのです。
「先生!取り消してください!」
 おわかりでしょうか、恐らく日本人以外にこの話をしても理解できないと思います。
 この言葉を言わせたのは、やはり言霊信仰です。
 話がだいぶ飛びましたが、要するに大本営発表が「嘘」になっていったのも、この患者が「ガン告知を取り消せ」と言ったのと同じことなのです。

「ガン告知を取り消せ」のエピソードは、311のときの「不安を煽るな」と同じ動きですね。

最近、noteの中でも似たエピソードが書かれていました。

「そうやって人を不安にするような事言わないでよ!」
「そうだとしても 私は、そんなこと知らないまま安心して死にたいの」
「むずかしい話しないでよ!!」

井沢元彦さんの引用を続けます。

 言霊信仰は、戦時下の大本営発表に限らず、平時でも「報道」の大きな足枷になっており、日本のマスコミをダメにしています。
(略)「やはり戦争は起こるだろう」と思ったとします。
 この場合、記者は、自分が個人的にはどんなに戦争など起きてほしくないと望んでいたとしても、「やはり戦争は起こるだろう」と、書くべきです。 そして、日本人以外の記者は迷うことなく「もうすぐ戦争は起こるだろう」と書きます。
 ところが日本人の記者は、言霊信仰があるので戦争が起こると書けない。そこでどのような記事を書くかというと「僅(わず)かだが、まだ平和の可能性が残されている」と書くのです。
 頭の中では九九%戦争が起こると理性的に判断していても、この記者がそうであったように、結局、はっきりと「戦争は起こる」とは書かないのです。
 この問題のもっとも厄介な点は、本人が「良心的なつもり」で書かないという選択をしていることです。
 良心的なつもりというのは、要するに「自分が書くと言霊の力で起きてしまうので、起こさないために書かない選択をした」ということです。

ですから、日本人は「大丈夫」だと言います。自分をだまします。
「自らの願望によって相手の意図を誤認識する傾向」
というよりは、
「自らの願望によって現実を誤認識する傾向」
があるということです。
本人は「良心的なつもり」でいます。
メディアも「良心的なつもり」でいます。

こういう傾向がタイプ6日本にあることは意識しておいたほうがよいです。

エニアグラムのタイプ6日本人論書いてます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?