今日の映画 7番房の奇跡 感想
想像力。
何かを作り出す創造力とは違う、空想に耽る時間の多さを指すわけでもない。
それは、思いやる力。
他人を思いやり、まだ見ぬ領域を想像する。
貴方が嫌いと思っていたあの人は、貴方が1番求めていたものを初めから持っているのかもしれない。
貴方が尊敬していたあの人も、貴方が最も嫌う方法でその地位を築いたのかもしれない。
映画や本と触れ合うことのメリットの一つとして、この想像力の助けになる点を私は大いに感じている。
そして今作では、そんな想像力を助長させる大きな原動力になること間違い無しだと確信している。
知的障害者の主人公イヨングと来年から小学生の娘イェスン。貧しいながらも2人は幸せに暮らしていた。
ある日、イヨングは少女の事故死の現場に居合わせる。少女は即死。救急措置を取るイヨングだが、うまく話せないイヨングは警察によって少女誘拐、強姦、殺人の容疑で逮捕されてしまう。しかも運悪く少女の父は警察の偉い身分。
イヨングはそのまま投獄。
7番房での癖あり囚人との生活が始まる。
という話。
これがかなりよかった。
作品全体の雰囲気が終始イヨングの明るい雰囲気につられて進んでいく。
イヨングの明るさに付随するかのように癖あり囚人や厳しい看守、終いには監獄全体がイヨングに心を開いていく過程も素晴らしい。もれなく私もそのうちの1人。
だからこそ、イヨングがしっかり無実を証明し、イェスンの下へ帰る結末を切望していただけに…なんと辛い結末なのであろうか…
ただ、全体的に明るい雰囲気だったからこそ、事実隠蔽や越権行為などの悲惨さが際立ちイヨングたちに感情移入してみることができたのだろう。
まさか風船があんなにも綺麗に伏線として回収されるとは…
誰にでも勧められる名作。非常に面白かったです。
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