若い世代に成果を出す喜びを伝えても響かないと思う
バイオ研究者をやってます、えむじゅーです。
今回は世代間のギャップについて書きたいと思います。
というのも、この本を読んだんですが、
内容が私のことを書いてるんじゃないかってくらい当てはまっていたので、気づいたことなどを研究者目線で書いておきます。
本の内容を要約すると、
今の40代以上の年齢の方を「上の世代」、30代以下の年齢の方を「今の世代」と呼ぶ(気分を害されたらすみません)。
上の世代: 物があまりなかった時代に、とりあえず与えられた仕事をこなすことで走り続けられた世代。
今の世代: 既に物で溢れている時代に、誰かが掲げた目標を達成したいわけではなく、自分にとって大きな意味があるかを重視する世代。
世代間ギャップがあるのに働き方だけが昔から変わってない。だからしんどい。
これからは好きなこと、やりたいことがないとキツい。
こんな感じです。本の後半では、これからの働き方が書いてありました。
私も世代間のギャップってあるよなー・・・でも何が違うのかなぁとずっと考えてたんですが、既にこの本でキレイに言語化されていた・・・。
2017年の本・・・もっと早く読めばよかった。
研究者の世界でも世代間のギャップはあります。
研究者ってどうやって評価されるのかというと、もちろん良い研究をすることなんですが、最終的に研究内容を論文化して世の中へ発表することで評価がされます。
研究活動を続けるにはお金が必要。
国からの研究費(科研費ってやつ)が欲しいんです。
研究費がたくさんもらえる人というのは、評価が高い研究者のこと。つまり論文をたくさん出したことがある人が研究費をたくさんもらえる。
研究費をもらうには「こういう面白い研究しますよ」という申請書を国に提出します。基本的に研究内容が面白ければ評価されるのですが、論文数も評価に入ってきます。
(最近は論文数を重視しないシステムになってるみたいですね。とはいえ、昔のなごりはまだあります)
上の世代の研究者は、論文数で研究費を勝ち獲っていった人が多いので、
今の世代との研究に対するモチベーションにちょっとズレがあるはず。
上の世代のモチベーション
論文を出そう(研究費が欲しい)
↓
何か論文になりそうなテーマないかな
↓
手っ取り早く論文にできそうなテーマ見つけた。
↓
論文に書くために話の流れ(ストーリー)を考えよう。
↓
実験開始
こういうスタートの仕方。
でも今の世代はこう考えたくはない
今の世代のモチベーション
ある生命現象が面白いなと思う
↓
この現象はどういうメカニズムで起こっているんだろう?と疑問に思い、いくつか仮説を立てる。
↓
実験開始
↓
なんか面白い結果出た。論文を書こう。
これが本来の流れなんだと今の世代は思うんですよね。
(ここでは、どっちの世代の考え方が良いとか悪いとかというつもりはありません。)
あくまで世代間のギャップがあって、それによって仕事に対する熱量も変わってくるってことが言いたかったです。
でも上の世代の価値観も大事なんです。
なぜなら上の世代の考え方をしていかないと、お金が入ってこないから、研究室が維持できない。
そういう世界になってしまってるんです。
私は今の世代の考えも、上の世代の考えもわかる。
でも、私はこれからの学生には、今の世代の考え方を教えたいと思います。
それを伝えたあとで、上の世代の考え方もあるよーと伝えたい。
面白いことをするのが最初の目的としてあるわけで、成果を出すことが最初の目的にはならないはずです。
なので、やっぱり上の世代の価値観を学生には押し付けたくないなと思っています。
そうじゃないと学生が研究を面白いと思わなくなってくると思うし、
誰も研究者を目指さなくなるんじゃないかなと思うからです。
まとめると
「成果を出すから楽しい」ではなく、「興味があることをやるから楽しい」
という思考回路が健康的ですよね。
って話でした。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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