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【チガラボ留学レポート】「ゆるい」をデザインすると、人々が動き出す!

皆さん、こんにちは!
エンパブリックスタッフの渡邉です!

この記事は、5/12~5/14に開催した「チガラボ留学「利用者がどんどんチャレンジを始める コミュニティ拠点の場づくりとは?」~ラボ型コワーキングスペースの運営とローカル活動支援の技法を学ぼう!」のレポートになります。


なぜ、チガラボ留学?

茅ヶ崎市のコワーキングスペース、チガラボからは利用者が「自分のしたいこと」を地域の人の協力を得ながらマイ・プロジェクトとして立ち上げるTAKURAMIが6年間で140件以上始まっています。

コワーキングスペースを自分の仕事場として使う人がいる横で、地域課題を話し合うミーティングが開かれていたり、挑戦したいことのプレゼン会が始まるのは、ごく日常の光景です。
ここで始まるプロジェクトは地域のIT化、農業体験、ユニバーサルデザイン、ローカルメディア、SDGs、音楽など多種多彩でありながら、どれも地域に根付いたものです。プロジェクトへの挑戦を通して「会社の仕事以外の新しい自分を見つけた」という声も多く聞かれます。この様子を聞きつけ、「チガラボなら考えていること、実現できそう」と茅ヶ崎市民はもちろん周辺地域から、時には東京都心からも人が集まります。
 
この場をプロデュースしている清水さんは「茅ヶ崎が持つローカルなユルさのなかで起きる偶然の出会いを大切にしている」といたって自然体でありながら、「越境体験を通して、その場や人の中にあるものを出せる状態をいかに作るか」という場づくりへの深いこだわりがあります。そして「東京から適度な距離にある茅ヶ崎という地域性を活かして、人生100年時代の新しい選択肢を広げていきたい」と考えています。
 
なぜチガラボでは交流が生まれ、数多くのアクションが自発的に生まれてきているのか。
そのポイントを清水さんにお話を伺うだけでなく、チガラボの現場で実際の利用者や活動者の声を聞き、地域を知り、アクション挑戦者の交流会である「TAKURAMIフェス」にも参加し、見学することを通して一緒に考えてみました。

DAY1 導入+TAKURAMIフェス前前夜祭

初日は「前前夜祭」として、チガラボ代表の清水さんからお話を伺った後、3日目にチガラボ現地で開催するTAKURAMIフェスにて、実施にアクションを発表&体験できるブース出展を行う皆さんからTAKURAMIの紹介が行われました。

また、この前前夜祭は「メタバース」空間で開催され、それぞれの参加者の皆さんは各自アバターの姿でオンライン上に集合しました!

メタバース会場の様子
発表者はスクリーンの前で話します
後ろにはTAKURAMIフェス出展者の掲示も!

前半には、チガラボ代表の清水謙さんからチガラボについての説明を伺いました。

清水さんは、コロナの影響でもより顕著に現れてきた、近年の都市集中型のライフスタイルから地域分散型への変化の中で、人々が地域とつながりながら、仕事・暮らし・遊びのバランスの中で豊かに暮らしていくために、いろんな人が「自分の思ったことを自然と形にしてしまう」ことが大事なのではないかと考えています。

その中で、チガラボは「ラボ型ワークスペース」という立ち位置として、ワークスペース的に集い繋がる場所として、そして人々がやりたいことを実現させていくラボとしての機能を持ち合わせている場所として存在しています。

清水さん自身も、茅ヶ崎に住みながら、チガラボ立ち上げ前は都内の企業に勤めていましたが、茅ヶ崎の独特な「ゆるい」雰囲気や地域にいるさまざまな面白い人との出会いを通して、もっと地域のいろんな人が面白い人・ことに触発されて動き出してもらえたらという思いを持っています。

そして、実際に動き出す時には誰かが必要なものをこちらが実現してあげるのではなく、一人ひとりが「やってみたい」と思ったことをできるように促していくことが重要であるとお話しされていました。

後半には、TAKURAMI出展者の皆さんからお一人ずつTAKURAMIの紹介が行われました。
・いろんな家の庭になっているけれど放置されているフルーツを有効活用したい!
・ミシンの面白さ、自分で作ることの楽しさを実際に触れて知ってほしい!
・chatGPTの面白さを体験してほしい!
・お酒を飲みながら血圧を測る!「健康」に触れるバーをやりたい!

などなど、多種多様な企みが出てきました!
またチガラボメンバーの皆さんからのTAKURAMIに加え、留学に参加したスタジオメンバーもそれぞれ自分のTAKURAMIを持ち寄って参加しました。

発表の様子

DAY2 茅ヶ崎フィールドワーク

2日目は、茅ヶ崎市内のフィールドワークを実施しました。

訪問先① 話せるシェア本屋 とまり木
最初の訪問先は、TAKURAMIが実際の形になった一例として「話せるシェア本屋 とまり木」を訪問しました。

ここの店長である大西さん(通称:ジミーさん)は、自身のことをもっと気軽に話せる「保健室」「図書室」のような場が欲しいと感じていた経験からこのTAKURAMIを発想しました。

店長のジミーさん

この場所では、壁一面に並ぶ本棚の1枠を購入することで、自分の好きな本を置いてシェアしたり、値段をつけて本を売る小さな本屋さん(とまり木オーナー)になることができます。(現在オーナーの方は50名越えだそう!)
本はいつでも取り替え可能で、ふらっと立ち寄ってその場にいる方や他のオーナーの方と交流したり、この場所自体も小さなイベントを行うスペースとして利用することもできます。

最初はご自身がチガラボスタッフとして、さまざまな人のTAKURAMIに触れて、自分自身の経験や思いも整理しながらTAKURAMIが生まれてきたとのことでした。
このような素敵な場所を完成させるにあたっても、ジミーさんは、構想から場所探し、場の作り方に至るまで、チガラボに関わるいろんな人に協力してもらったり、人から人への繋いでもらいながら一緒に作っていったともお話されていました。

最初はTAKURAMIをサポートする側だったところから、動いている人たちに触れることで自分も動きたくなってくる、そして実際にやってみたい!ことが見つかったときにパッとシェアできる場所や機会があることで、どんどんいろんな人が動き出していく良い循環が生まれていると感じました。

訪問先② 熊澤酒造
2軒目の訪問先は、湘南エリア最後の蔵元である熊澤酒造に訪問しました。

熊澤酒造さんは、日本酒の蔵元であるだけではなく、敷地内のベーカリーやカフェ、レストランや雑貨点、結婚式場等を作り、ウイスキーや地ビールの製造にも取り組まれるなど、幅広い事業を手掛けられています。

清水さんからは「ここはテーマパークなんです」との説明をいただいていましたが、まさに一歩入るとジブリのような世界観が広がっていました。

カフェと地下直売所への入口

個人的には、蔵元に結婚式場?!とびっくりしたのですが、古来からお酒は人間の大事な場面や様々な節目で登場するものであり、お酒を作り管理する蔵元もそこに役目を果たすものだという考えから、大事な場面で使えるような静かな雰囲気のレストランや結婚式を作られたという背景もあるとのことでした。

お酒を作る製造場所としてだけではなく、地域の中で人々の節目に寄り添う自分達の役割について問い直し、意味づけられているからこそ、このような幅広い取り組みができているのだと感じました。

③ Edible Park 茅ヶ崎
3軒目は、辻堂近くにある会員制コミュニティ農園「Edible Park茅ヶ崎」を訪問しました。

この農園は、チガラボメンバーである石井さんが立ち上げられたコミュニティであり、毎週土曜日にみんなで集まって畑作業をしながらゆるくつながり合っています。
ここでは、無農薬・無化学肥料を掲げ、育てる野菜から育て方まで自分達で調べて、試行錯誤しながら様々な種類の野菜を育てています。

Edible Parkの入口

また、石井さんはこの農園とも合わせて「ちっちゃい辻堂」というプロジェクトで、人と人、社会、自然がつながって循環する、家も含めたサステナブルで心地よい暮らしの形を作ろうとされています。
地主の13代目でもある石井さんだからこその発想でもありました。

このような構想を考えられていた石井さんが、プロジェクトメンバーと出会ったきっかけもチガラボにあったと言います。
チガラボがサードプレイス的に存在していたことで、最初から仕事的な関係でははなく、同じ価値観を分かち合える友達として出会い、相互理解を深めながらプロジェクトのメンバーとして一緒に動き始められたことがよかったとおっしゃっていました。

そもそもTAKURAMIを始めたいという人だけではなく、TAKURAMIを動かしはじめようとしている人が普段会えない人と繋がったり、その中で新しいことを一緒に動かしていく仲間となっていくための土壌としてもチガラボがあったということが印象的でした。

DAY3 TAKURAMIフェス湘南2023 Spring

最終日である3日目は、TAKURAMIフェスの本番!ということで、チガラボ内に9つものブースが出展されました!

各ブースの紹介はこちらから↓

当日はブース出展者だけではなく、参加者の方々もいらっしゃって、各ブースで話をしたり、体験をしたりしながらとても盛り上がっていました。
中には、最近チガラボのコワーキングを目的で入ったけれど、面白そうなイベントがあって気になっていたので気になって参加してみたとの声もありました!

ブース出展は3時間という長丁場でしたが、ブース出展者の方も他のブースに遊びに行って交流したりしながら自由に楽しめるあっという間の時間でした。

最後のブース出展者の方のふりかえりでは、
自分がやりたいことを実行できたことで自信がついた!
・(ミシンで布作品を作るTAKURAMIをしていた方から)「こんなに素敵なものが作れるならもっと値上げしたほうが良い!」という声をもらったので、途中で値上げをしてみた!
・自分で考えているだけでは出てこなかったアイデアが出てきた、早速やってみたいと思った!
などなど、出展者の方が学びや気づきを得る機会になっていたということもシェアされました。

「ゆるい」をデザインすると、人々が動き出す!

清水さんのお話を聞いていると、「ゆるい」というワードがよく飛び出してきます。
確かにチガラボを見ていると、誰かに強制されたり、責任感や負担感を感じながら動いている等よりも、自分がやりたいから、楽しいからやっているという雰囲気を感じます。
それはアクションしている本人だけではなく、チガラボのスタッフや周りのチガラボメンバーの方々も「良いじゃん〜!」「やってみなよ〜!」「面白いね〜!」というポジティブで軽いやりとりが多く聞かれました。

茅ヶ崎のまちとしての空気感も相まって、つい「ああ、そういう"気質の人"が集まっていて、"いい感じの場"さえあれば実現できるのかもな….」と思ってしまいそうになりましたが、
・企画でもプロジェクトでもない、「TAKURAMI」という固有のアクション名
・TAKURAMIを作るための相談会・TAKURAMIフェスのようにみんなで一斉に小さなチャレンジを行える場の設置
・TAKURAMIを妨げないためのルール設定
・会っていなくてもなんとなくメンバーの存在や人柄が知れる、メンバー自己紹介用の大きな本棚
・やりたいことを実現する時はスタッフとの個別相談ではなく、「場」としてみんなで作るという運営の姿勢
・場に参加しているすべての人の役割があると伝える場のファシリテーション

などなど、場の作り方や人がつながるための仕組み、スタッフの方の姿勢や動き方など、「ゆるい」が実現されるための様々な工夫が散りばめられていました。

最近、居場所づくり等でも「ゆるい」というワードも流行っている中で、ただ「自由にしていいよ〜」「なんでもいいよ〜」というだけではなかなか人がこなかったり、思っていた場所の雰囲気と違う結果になってしまったという声もお聞きします。

そんな時は一度「ゆるい」を「徹底的に作りこむこと」が大事なのかもしれません。

そんな場についてのお悩みをお持ちの方、どうやって作っていったら良いんだろうとお考えの方、ぜひエンパブリックスタジオで一緒に学んでみませんか?
気になる方、ぜひサイトを覗いてみてください!




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