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活動報告:2020年度茨城県理工系女子応援事業~なぜ理系女子を応援するのか?

「理系女子をどうやったら増せるのか」
講談社Rikejoプロジェクトに2010年から関わる中で、問い続けてきたお題です。

Rikejoプロジェクトは理系を目指す女子、理系女性を応援するプロジェクトですが、なぜ、理系女子を増やすことに取り組むのか、その社会的意味は? というのは、時代の変化と共に、ダイバーシティの推進、イノベーション、ジェンダー平等といった文脈でも語られるようになってきたと感じています。

「理系女子を増やす」ための、アプローチも
”サイエンスやテクノロジーの面白いを、もっとわかりやすく伝えたらいいのでは?”
”ステキな先輩リケジョを紹介しよう”
”理系女性が特別でないことを伝えよう”
色々試行錯誤しながら取り組んできました。
この基本姿勢は変わってはいませんが、時代の変化の中で、また、理系に女子が進まない構造が見えてくる中で、違うアプローチもあるのではと考えるようにもなってきました。

理系に女子が進まない理由としては、根強いジェンダーバイアスがあります。
「女だてらに理系なんて」という人は、ほとんどいなくなりましたが(そうであってほしい…)、そうは言っても、数学者や物理学者、エンジニアというと、男性を浮かべてしまうように(実は物理を勉強した私もそうです)、理系=男性という思い込みが根強くあります。女子が理系を選ぶには、よっぽど「理系が好き」「理系が得意」というのがないと、理系っておもしろそうだなと思っても、進路指導の先生も、親も、そして、本人自身も、「私には無理」を乗り越えられず、理系が選ばれないという状況なのです。おまけに、女性は男性よりも完璧主義であるそうで、理系が得意というのは、スバ抜けてできるということをイメージしてしまうそうです。

となると、この理系に興味があるけど、やっぱり無理といって諦めてしまう女子をなんとかしないと、理系女子は永遠に増えないことになります。そういった女子をエンカレッジするようなものができないかと考え、取り組んだのが昨年度の茨意県のプロジェクトです。

アプローチとしては、「理系」を選ぶことを前提にするのではなく
・自分のやりたいこと、実現したい社会
・もしくは、自分が大好きなコト
を突き詰めていったら、そこにテクノロジーがあった、サイエンスがあったというのに気付いてもらいたいというものです。
一緒に取り組んでくださった、ボノの谷津さん曰く「思いドリブンのキャリア選択」です。

例えば、不便な場所に住んでいるおばあちゃんが買い物に行ったり、病院に行ったりするのが大変だ。これをなんとかしたいと思ったときに、
・コミュニティバスの運行を考える
・ボランティアの体制を考える
・行政の支援を考える
というやり方もありますが、解決の一つとして
・自動車の自動運転が実現したらよくない?
という発想がでてきて、
社会の仕組みを作るという仕事と並列に、テクノロジー系の仕事もあることを気付くという流れです。

昨今、私たちの社会生活のほとんどがテクノロジーに支えられていることを考えると、社会をよくしたい、何とかしたいという思いからのキャリア選択の俎上には、「テクノロジー」や「サイエンス」が挙がってくるではと思います。

産業振興的な視点からは、多くの女性が技術開発や研究開発に関わることでイノベーションを!という期待がありますが、私個人としては、キャリアの不平等という点からも、いつまでも「理系=女子は苦手」といっていることを懸念します。DXの流れの中で、多くの仕事がデジタル技術にとって代わっていくことと考えると、ますますこうした技術に関連した仕事が主流となってくる可能性が高くなりますし、これらの技術を使いこなすことが必要になってきます。女子は理系が苦手→技術系の仕事につく女子が少ないということは、実は、職に困る女性が増えるということでもあり、キャリア選択の不均衡、ジェンダー不平等を招くことにもなってくると思うのです。毎年、ジェンダ―ギャップ指数を出している世界経済フォーラムのレポートでも、情報系の職業での女性の割合が少ないことも、言及されています。

今回の茨城県のプロジェクトでは、ロールモデルを提示する動画を作成しました。ロールモデルを提示するというアプローチはそう目新しい取り組みではありませんが、今回は、特に理系を選んだその思いについて丁寧にインタビューしたというところが、ユニークなところだと思っています。それぞれの原体験から、どう今のお仕事につながったかをお話していただいています。
その中のお一人の(株)FOVEの小島さんは、二次元の中にいるキャラクターともっとお近づきになりたいという思いから、目の動きを認識するVRゴーグルを開発販売するベンチャー企業を立ち上げています。自分のやりたいことを実現していく姿から、動画をモニター視聴した女子中高生から、
・好きなことを仕事にしてもいいんだ
・理系に進んでもいいかなと思った
という声もきかれ、うれしい限りです。

動画は以下のサイトからご覧になれます。

女子中高生だけでなくても、多様な分野のリケジョの前向きなメッセージが心に響くはずです。よろしければ、ご覧ください。
(スタッフ 矢部純代)

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