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「選べる環境をつくる」広石コラムVol.43

先日メディアから流れてきた、ノーベル物理学賞を受賞された真鍋さんにつて「気候問題について、今は当たり前のようになっているけど、それをそんなに昔から研究していたなんてすごい!」といった高校生のインタビューが印象的でした。
ご紹介する広石コラムは2017年に書かれたコラムですが、ここ数年の間に日本でもこのコラムに書かれているような問題意識を持つ人や実際に身近な問題から取り組む始めた人が、沢山増えてきていると思います。これからも色んな問題や変化をし続けていくであろう世の中で、こういう感じで流れていくんだ。といった感覚がわかりやすく書かれていてぜひ、読んでいただきたいコラムです!(事務局新村)
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「5年ぶりにフランスに戻ってきた人に、変化を感じるのは?と聞くと、 オーガニックスーパーが増えたことと言ってました」今回のフランス訪問でコーディネートをしてくれた竹上さんが話していました。

実際、町の中を歩くと、日本の感覚でいうと、ローソンが全てナチュラルローソンというくらいに、Naturaliaなどオーガニックスーパーのチェーン店を見かけます。普通の店やレストランでも、Bio(オーガニック)や地産地消、フェアトレードの表示があります。それは食品だけでなく、生活用品全般に渡っています。

日本でも、生活クラブ生協などで有機食品などは広がっていますが、どこかマイナーな感じで、フランスは、Bioがマジョリティになっているなと思います。

イノベーションの理論では、新しい価値観や技術が広がるのは、最初、3%程度のイノベーターが使い始め、次に13%のアーリーアダプターが続きます。この合わせて16%のあたりに谷(キャズム)があると言われていて、それを超えたら、アーリーマジョリティ(34%)、レイトマジョリティ(34%)へと一般化するのです。

フランスで感じるのは、Bioはアーリーマジョリティに広がっていることです。日本は早くから取り組んできましたが、キャズムの手前のように感じるのです。

竹上さんと、なぜオーガニックの店が多いのか?という話をしていて、「チョコを買うにしても身体や環境にいいものを選びたいし、お店は選べるようにする必要がある」という言葉で思い出したのが、今、欧米の企業のサステナビリティのシフトを見ていると、「お客様の選択の機会をつくる」がメッセージの軸になっていることです。

米最大のスーパー、ウオルマートが商品陳列にサステナビリティ配慮の表示をする理由は「影響力を意識し始めている消費者が、価格や情報収集で負荷を感じずに質の高い買い物ができるように」と示しています。またボルボが19年以降ガソリンのみの車を廃止し、25年までに気候変動に負荷をかけない生産を宣言したのは「お客様のニーズを追求した結果」と述べています。

「お客様が選べる環境をつくる」 のは、企業の大切な役割であり、顧客を大切にする姿勢でしょう。

ただ、日本の場合、なぜオーガニックやサステナビリティを前面に出さないのかというと、「お客様がそこまで求めていないから」という声をよく聞きます。

しかし、まだ15%くらいかもしれませんが、新しい価値観で選びたい人はいます。「もっと手軽に選べるなら選びたい人」は潜在的にはかなり増えているように思います。

その人たちの「選ぶ権利」を大切に質の高い選択肢を提供する企業こそが信頼され、その声は広がっていくことが、新しい市場を生み出すことなのだと思います。

SDGsの時代は、このままでは持続可能でない世界において、質の高い新しい選択肢を提示し、次の市場を顧客と共につくっていけるかどうかの競争の時代です。

お客様の声とは? 顧客ニーズに応えるとは、どういうことか?それが今、問われているのだと思います。

「多数派が正しい」「多くの人が変わらなくていいと言っているから、このままでいい」という論理は、リスクを避ける論理であり、停滞を招きいれやすくなります。

「自分が良いと思うものを選びたい」という声にきちんと耳を傾け、より質の高い選択ができる環境を整えることは、提供者の役割であり、責任です。そして、私たちも、今あるものから選ぶだけでなく、「選びたい」という意思を示すことが社会を良くしていくためには必要なことなのだと思います。
                            代表 広石
                        (2017年10月19日記)
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今までは何となく環境に悪いらしい生活をしているらしい事はわかるんだけど、どの部分?何が環境に悪いの?と知る機会のなかった人たちも、最近はメディアでも様々な角度から取り上げられていて、知る機会が増えたと思います。そこには良くしていこうと色々な努力をし続けてくれている人達がいるということと、「選ぶ権利」がある私たちは、他人事ではなく自分が「選びたい」と声をあげていく一員である認識をちゃんと持たないと。と思いました。(新村)


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