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1日5件の同行マシーンが迎えた破綻と再起の戦略


「このままいくと月末マイナス5000万の着地です。」報告する声が震えていた。手も震えていた。4半期の締め日から、1週間くらい前だったと思う。私はただ「すいません」としか言えなかった。

こんにちは、とうまです!今日は前回の投稿にてお伝えした私の失敗談について赤裸々にお話しします😊


1日5件!同行マシーン(私)は雨の日も風の日も同行した

当時、私は10人くらいのメンバーのGマネージャーだった。高い業績のプレッシャーに震え、現メンバーのスキルでは足りないと判断し、自分が同行することでカバーしようとした。多い日は、1日5件商談同席したこともある。トイレに行く暇もなくメンバーと打ち合わせを行い、朝から晩までマシーンのように同行しまくった。グループのことを考えるのは、くたくたになって帰ってきた夜。顧客ごとにいくら作るかばかり考えていて、組織をどう動かすかという観点はほとんどなかった。

管理職が同行ばかりしている組織の末路

同行ばかりしているので、当たり前だが日中はほぼ不在。メンバーは相談したくてもタイムリーに相談できない。自分の焦りが伝播して、グループ会の雰囲気も悪くなってくる。不安が露呈しあれもこれもとやることが膨大に増え、タスクを捨てるのが怖くて優先順位すら付けられない。メンバーも残業時間が増えた。こんな状態が続き、とうとうメンバーの不満が爆発した。

私だって頑張っている。それなのになぜこんなひどいことを言われねばならないのか、最初は怒りの感情すら沸いた。電車の中で一人泣くのをこらえて帰宅したのを覚えている。

四面楚歌とはこのことか

自分でもこのやり方では、業績は改善できないとわかっていた。「助けて…」と、すがるように当時超ベテランの隣のGの管理職に相談したが「やるしかないでしょう」としか返されなかった。

「こんなに頑張っているのになぜ達成できなかったのですか」

四半期の月末最終日、チームメンバーにそう言われた。その言葉は、鋭い刃物で刺されたかのように私の心に突き刺さった。なぜ未達に終わってしまったのか、その時の私は説明すらできなかった。それが情けなくて、メンバーに申し訳なくて、私は泣きながら謝罪した。

1人のメンバーが「悔しいです」と泣いた。また1人が「このグループで達成したいですよね」と言った。明らかに、私の戦略ミスであり、同行ばかりして自分の視野を狭め、グループ全体の進捗悪化のサインに気づくのが遅れていた。メンバー育成観点はゼロに等しく、受注を決めるためのプロセスを見て学んでくれといった状態で、彼らへの配慮も欠けていた

大失敗からの立て直しに活きた3選

捨てるものを決めて、自チームの課題に集中した

私は同行数を劇的に減らした。マトをきって商談の優先度をつけ、重点顧客のみに絞った。社内で走っていた様々なキャンペーン注力度に傾斜をつけて自グループ内で優先度をはっきりさせた。優先度の低いものは全員で捨てようと決めた。(社内には私が謝まればいいのだ)

私たちの課題は、提案単価にあった。ただ単価を上げて提案すればいいというわけではない。提案単価の低さは自信のなさの表れだ。決めたい提案ではなく、決まる提案を繰り返していたことに気づいた。私は「その提案に魂はこもっているのか」を合言葉に、「顧客にとってベストな提案とは」を定義し、それらのチェックポイントを明らかにした。提案の質を担保すべく見積もりと提案書は全件チェックして、顧客が質問してきそうなこと、考えそうなことをメンバーにぶつけ、メンバーの内省を強化、高額な提案でも顧客にとってベストなものを提案することを徹底した。

メンバーの強みを繋げるALL for1

1人1人の取り組みを私は理解していた。彼らの強みも理解していた。アポを取るのが早い人、分析が得意な人、ヒアリングが得意な人、提案書をまとめるのが得な人、どんなに小さくても強みを承認し、役割を分担し、グループのために力になってほしい、助けてほしいと懇願した。それぞれが起点になり、「うまいやり方」を発信してもらい、それをみんなでとにかくまねた。新人のメンバーには「みんなに勇気を与える役」をお願いした。

モニタリング(特に行動計画)の徹底

アポ取りの初動が遅かった。なんだかんだ準備したがるメンバーのペースでのアポ取得となる。そのため初動が遅れがちになるのだ。アポ数ばかりを追っていたが、最初の行動がそもそも遅いことに気づいてなかった。全員で行動計画の引き直しと、自分たちの掲げた行動目標を自分たちが守れるか。壁に大きな張り紙を行い、毎日回覧板(本日のタスク完了確認:社名ごとに全員分)を回し、自分たちの進捗を確認した。アナログだけれど、これが一番効いた。

見えた成果と得られた効果

結果、私たちは3カ月で、業績を取り戻すことができた。道中、メンバーからはハレーションがあった。「なぜやらねばならないのですか」「こんなことやったって無理に決まってます、目標が高すぎますもん」否定的な言葉もたくさん受けたが、その都度、理解のズレや誤解を説くために個別で話した。顧客価値はどう変わるのか、私たちは一皮むけてどんな状態になれるのか、数字や業績ではなくて、「やりがい」を説明し続けた

この取り組みは、私たちのグループにとって想像以上のメリットを生み出した。まず、私自身がやることを「決めた」瞬間から、私の頭の中を占めていた焦りとか、プレッシャーは、一切なくなった。同行を減らして、モニタリングをしっかり見れるようになって、進捗のずれに対してすぐに対策を講じることができた。

作戦会議を繰り返すことで、メンバーの踏み込み具合、確実に増えていくトークの引き出しに成長を感じたし、私はそれをしっかりと言語化しフィードバックした。自分でやったという成功体験が、次の自信につながり、顧客先でまた一歩踏み込む原動力になっていることを感じた。

グループの中で、この分野に関しては責任と権限があるという状態を作ったのも、よかった。。メンバーの言葉から「私が○○せねば」と言う言葉が出始め、役割があることで、みんなから承認され、責任感とグループに居場所を感じてくれれているようだった。だんだんと「このグループで」やる意味がみんなの中で明確になっていった。これが、チームの一体感を加速させた。

おわりに

振り返ると、この失敗がのちの成功体験を生み出すきっかけになっていました。自分が決めないと始まらないんだということも学びましたし、何よりメンバーは偉大だと感じました。そういった意味で、私たちの役割は、メンバーの力を引き出すことが大事で、そのためには「この会社で、自組織で働く喜びとやりがい」をどれだけ提供できるかなんだなと学びました。


私たちは、意思決定や選択をする際に、「失敗か成功か」とう2択で物事を考えがちですが、失敗の連続の先に成功があるんだということを忘れないでください。大失敗はもちろん避ける必要がありますが、そのための小さな失敗は学習のチャンスです。試行錯誤の連続の先には、今まで見たことのない世界が待っています。

この記事が、今日も頑張っている誰か・これからの管理職に届きますように。当時の私は、こういう失敗談を死ぬほど欲してた。管理職どうしで失敗を共有しあって、「なるほどそういうやり方があるのか、よしやってみよう」と思いたかったから、私は今日もNoteを描きます。

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