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心がふるえた藤井風さんの歌

 2、3年前、YouTubeをふらふらしていて、偶然『藤井風』という岡山県在住のYouTuberを見つけました。既にたくさんのカバー曲を、自宅の一室と思しき場所で、味わいのある低画質?で撮影し、配信していました。

 彼の演奏を初めて聴いたとき、私の心はふるえました。これまでたくさんの素晴らしい音楽に出会ってきましたし、それこそ感動の涙を流したこともあります。藤井風さんの演奏にも、「どえらい人を見つけてしまった」そんな興奮を覚えましたが、それだけではない、何か言葉にならない感覚、温かみのようなものが、ヘッドホンから、瞬く間に体中を駆け抜けたのです。

 あの日から、私はずっと藤井風さんのファンです。昨年11月、メジャーデビューの前、渋谷のLINE CUBE SHIBUYAで行われたライブにも、私は足を運びました。なぜ彼の演奏が、歌が、私の心をふるわせたのか、その答えを見つけたいと思いました。

 藤井風さんは、1997年生まれの23歳。ライブ当日は、22歳です。その彼がライブのMCで話したこと、それは彼の死生観とも言えるものでした。


 彼は、これまでに、老人ホーム、病院、そして終活セミナーなどで演奏を行ってきたそうです。そのせいか、22歳とは思えないようなMCの内容で、いや、22歳とはこういうものという、どこか自分の中に決めつけを持つことを、この際少し反省した方がいいですね。 

 すみません。話が脱線しました。
 
 とにかく彼は、「生きている限り、人は嫉妬や怒りなどのドロドロした感情を持ってしまうけど、いつかはみんな死ぬのだから、後悔のないよう、好きなことや楽しいことをして、最後にはドロドロしたものとおさらばできたらいいなと思う」というようなことを話して、今注目されている曲『帰ろう』を演奏したのです。


 

 先日ANN報道ステーションのインタビューでも、「死ぬ時(帰る時)のことを考えるのはネガティブな話じゃない、今をどう生きて行けばいいのかを考えるきっかけ。もしかしたら考えることで、よりよい今を生きていけるんじゃないかな。誰かがちょっといい気分で人生を送れるために、自分は音楽をやっていて、それがすべて。それだけで生きていける。」と答えています。

 私が彼の演奏を聴いて心がふるえたのは、彼のそういった死生観や、生き方を、どこかで感じ取ったからなのかもしれないと思いました。
 でも、実はこれかもと思うものがもう一つあります。
 それは、同じく渋谷のLINE CUBE SHIBUYAで行われたライブで、彼が話していたことです。

「音楽に限らず、自分が何かやることには、愛を込めてやるというのだけは、決めてやっています。自分が好きでやってることでも、愛を込めることは大事だし、純粋さを忘れたくない。」

 好きな音楽を楽しんで演奏している、それだけじゃないなにか。
 ピアノも歌もうまい、でもそれだけじゃないなにか。
 言葉で到底説明できないなにか。
 それはきっと、彼が込めた純粋な愛にほかならないんじゃないかと。
 そしてそれが、私の心に届いたんじゃないかと、この話を聞いたときに思いました。

 どんな時も愛を込めて仕事をするということ。これは私自身も大切にしたいと思っていることです。それは、何かに迷った時に、愛に立ち返って、利他的に生きることが、私にとって一番ブレのない方法だからです。

 これからも、これまでと変わらずに、不器用ながら、藤井風さんの音楽に時折励まされつつ、頑張っていきたいなと思った、9月最後の1日でした。


今回のノートはstand.fmの収録のほぼ文字起こしとなっています。
音声配信は以下をお聞きください。
(深夜の収録でお聞き苦しいかもしれませんがご容赦くださいませ)



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