絶望ロンダリング(実践編)
休息が必要か確認してみる
あなたが今、一番やりたい事ってなんでしょうか?
・温泉に行ってゆっくりしたい。
・一日中、布団でゴロゴロしていたい。
・のんびりと旅行に行きたい
など
もし、思いつくことがこういったものであれば、やりたいことを考える段階ではありません。
あなたには、休息が足りていないのです。
ゆっくりと休みましょう。
例えば、わざわざ休息を取らなくても、土日にちゃんと休みが取れていると言われるかもしれません。
ですが、ルーティーンによる休息は普段の日常的な仕事の休息にすぎないのです。
世の中の歯車として機能するように与えられたものなので、自分自身、心の奥底から休息がとれているわけではないので、あくまでも、日常の仕事を滞りなく進めるためだけに存在する休暇なのです。
自分の意思で明示的に休暇を取得することが重要です。
それは、自分の管理、スケジュールは自分で主体的に決めているという感覚が大事だからです。
1週間前から休暇を予定してするよりも、当日、病欠で休暇を取得するほうが、周りには迷惑をかけてしまうかもしれませんが、自分の体にとっては、本当に必要な休みなのです。そして、強制的とはいえ、自分主体で取った休暇なので、実は精神的にも安らぐことができるのです。
もちろん、普段から、周りに迷惑をかけないように、うまく休むことができれば良いのでしょうが・・・。
今一番やりたいとこが、休暇だという人は、うまく休むことができていないためなので、自主的な休暇をお勧めしています。
休暇に限らず、例えば、仕事のやり方について、自分の裁量がなく、納得できないやり方を強いられた場合、ストレスが溜まり苦痛が伴います。
休暇についても同じです。
自分の裁量で、自分のタイミングで休暇を取得する場合と、そうでない場合では、同じ休みといっても、その内容は大きく違ってしまうのです。
だからこそ、ルーティーンの休暇にプラスして、自分の意思で明示的に休暇を取得することに意義があるのです。
今一度、自分に正直に向き合ってみて、自分の体が、自分の気持ちが、今日は休みが必要だと訴えているのが分かったら、休暇を取得してみてはいかがでしょうか?
ファイナンスと本来の仕事を切り分ける
仕事が出来る人間は凄い人間。
仕事が出来ない人間はダメな人間。
ここでいうところの仕事とはいったい何でしょうか?
飯を食うため?
生活のため?
そう考えているのであれば、あなたの仕事はファイナンスとしての仕事でしかありません。
つまり、最低限の生活を維持するためには、お金を稼がないといけないのですが、そのための仕事をファイナンスといいます。
もちろん仕事なので誰かの役に立っているはずですが、どちらかというと、いいように利用されていると言った方が正しいのかもしれません。
生活のために最低限の維持費を稼ぐのですから、本来は、ファイナンスとしての仕事とは別の活動が主役になるはずです。
ですが、実際は、ファイナンスとしての仕事で1日の時間の大半を使い、体力も気力も使い果たしてしまう。
その結果、あとはゆっくりとするだけで1日が終わり、次の日にはまた同じルーティーンが始まってしまうのです。
世の中には、ブラック企業なるものがあり、1日のうちにゆっくりとする時間すらなく、安い給料と劣悪な環境で1日中働かされ、寝落ちし、起きるとまた働かされるといったファイナンスとしても怪しいかぎりです。
それでも辞められないのは、生活費を失ってしまうという生命的な恐怖感が存在するからです。
確かに、生活を維持するためにファイナンスとしての仕事は必要です。
もちろん、必ず会社で働かなければいけないというわけではなく、例えば、株式投資などで得た運用費や配当金で暮らせるのならそれでも良いのです。
ファイナンスは生活を維持するためにお金を稼ぐ行為ですから、将来的にベーシックインカムなるものが導入されれば、ファイナンス仕事は不要になります。AIやロボットに取って代わられればよい仕事にすぎないのです。
それでは、本来の仕事とはなんでしょうか?
ファイナンスで生活費はまかなっているので、生活のため、食うためではありません。
生活のため、食うためというのは、自分のためです。
そうではなく、世のため、人のために行うのが本来の仕事になります。
とはいっても、自分を犠牲にするという意味ではありません。
むしろ逆で、世のため、人のために、自分自身を使って表現していくのです。自分のできること、自分の得意なことで貢献していくのです。
自分を犠牲にするという考え方は、自分が思っているほど世の中のためにはならないのです。
そうではなく、本来、人間は人のために役立つことをすると嬉しく思う生き物なのです。世の中のためになった、人のために役立ったというだけで、精神的な報酬を貰っているのです。
まさに、「お金は後から付いてくる」を地で行くことができるのです。
どうやって本来の仕事を見つけるのか?
では、どうやって本来の仕事を見つければよいのでしょうか?
先程、自分のできること、自分の得意なことで貢献していくと言いましたが、出発点は、そこではありません。
あくまでも、ポイントは、世のため、人のためです。
こういう世の中になったら、多くの人が喜んでくれて、自分自身も嬉しくなることを考えるのです。
世の中のためと言っても、それが「世界人類が平和に暮らせること」だと、ちょっと通常の人では抽象度が高すぎます。もう少し肌感覚があったほうが良いです。
例えば、「世界から交通事故を無くす」「すべての人が好きなことをできるようにする」などは、どうでしょうか?
これでも、ちょっと抽象度が高いかもしれません。
もう少し具体的にして、「世界から交通事故を無くすため、すべての車両に接触回避装置を装備する」や「すべての人が好きなことをできるようにするため、ベーシックインカムを導入したコミュニティを作る」などはどうでしょうか?
例とはいえ、"すべての車両に接触回避装置を付けるのは無理じゃないの?"とか、"ベーシックインカムは国が考えることなので、どうしようもないよね?"といった声が聞こえてきそうですが、まずはゴールを決めるのが重要なので、出来るかどうかの検証は今のところ必要ありません。
ゴールは経過とともに変更しても大丈夫ですので、今、この時点で自分で世の中がこうなったら良いよねといったものを設定してください。
ゴールを置いただけですので、道筋となるロードマップは存在しません。何をやったら実現できるのか、まったく見当もつかない状況です。
それが良いのです。
そのゴールに向かって、自分の得意なことをどう生かせばよいかなどと考えてしまうと、現在の自分の立ち位置を広げるだけの行為になってしまい、自己満足的な行動にしかなりません。
それでは、また、八方ふさがりの状況に陥りかねないのです。
まずは、設定したゴールの方向に自分自身の向きを合わせている。それだけで良いのです。ゴールに向きを合わせていれば、自分のとる行動は、すなわち本来の仕事ということになるのです。
行動、そして、思考
ゴールが決まったら、次に行動に移ります。行動に移した後に思考します。
思考してから行動に移すのではありません。
行動してから思考するのです。逆ではありません。
もっと言うと、行動しなければ思考は生まれないのです。
何もせずに考えから始めてみても、考えているつもりになっているだけなのです。
とはいっても、ゴールに向けてのロードマップがあるわけでもないのに、何をすればよいのか分からないと言われるかもしれません。
ここで言っている行動とは、ほんのちょっとの一歩踏み出すということです。
ほんのちょっとの一歩であっても行動は行動です。
実際に一歩踏み出してみると実感できると思うのですが、ゴールに向けての思考が沸き上がってくるのです。
何も行動をとらずに考えていたものと比べると、少しでも行動してから思考したものは、魂が入ってくるのが分かるかと思います。
この時に気を付けなければならないのは、周りの人に話をすることです。
どういうことかというと、新しく自分が設定したゴールは、ロードマップがありませんので、周りの人から見ると、無謀な思いつきに見えるのです。
自分ですら、どうやって実現していくのか分かっていないものを周りの人が理解できるわけもありません。
そして、そのゴールに向けて一歩踏み出す行動についても理解されないでしょう。
つい、身近な人にも共感してもらいたいので、ゴールのことや一歩踏み出したことを身近な人に話したくなると思いますが、期待した回答は得られないでしょう。
ほんのちょっと一歩を踏み出す行動とは、どのようなものになるでしょうか?
先程、例として出した
「すべての人が好きなことをできるようにするため、ベーシックインカムを導入したコミュニティを作る」
をゴールにした場合を考えてみましょう。
ベーシックインカムは税金の再分配が出来る立場の国がやるべきだと考えてしまうと、政治家にならないといけないのかとなってしまいます。
民間がベーシックインカムを実現してもよいとは考えられないでしょうか?
ベーシックインカムとは、その人が何もしていなくても最低限の生活が維持できるだけのお金が支給される制度です。
民間企業がそのようなボランティアのようなことをする財源などないし、そもそも、そんなお人好しな企業など存在しないと思われるでしょう。
本当に何もしない人などは存在するのでしょうか?
例えば、以前、私の知り合いが薬の治験に参加した時、2週間ほど寝転がっているだけで、数万円になったと喜んでいました。
この人にとっては何もせずにお金が貰えたと思っていますが、お金を提供した製薬会社は、その人の体を使用して薬の安全性を確かめたのです。
安全性を確かめるということは、安全ではない可能性があるということです。そのリスクに対して、お金が支払われているのです。
ですが、薬の治験のようなリスクを負いたくないと考える人は多いでしょう。
それでは、モニターになるのはどうでしょうか?
ある商品のモニターになると無料で使用できるうえに、いくらかの謝礼がもらえる場合があります。
その商品を日常的に使用する人であれば、その商品の感想をコメントするくらいで、あとはないもせずに謝礼が貰えるのです。
これが商品ではなく、ある実験都市に住むというモニターであった場合はどうでしょうか?
面白いと思って参加を考える人も多いのではないでしょうか?
参加者の生活基盤を担うため、安全であること、永続的であることなどを実現するための設計も必要ですし、参加者にも十分説明することが必要です。
実験都市という形で多くの参加者に住んでもらうことができれば、スポンサーとなる企業もいるのではないでしょうか?
その町での住居は無料、食料も一定量まで無料とすれば、ベーシックインカム自体はそれほど大きなお金でなくても参加したいと思ってくれるのではないでしょうか?
ここまで考えると、「すべての人が好きなことをできるようにするため、ベーシックインカムを導入したコミュニティを作る」という方向に向かって、一歩踏み出せそうな感じになってきませんか?
都市計画の基礎を学ぶ、その街を利用してどのような研究ができるか検討する、怪しげな実験都市にならないための設計方法、などなど。
踏み出す一歩となる行動は、いくらでもあります。
そして、一歩行動を踏み出すことで、さらに思考が深まっていくのです。
ここまできて、ちょっと振り返ってみてください。
「今一番やりたいことは、ゆっくりすることです。」と思っていた方は、その気持ちが薄れてきていないでしょうか?
下手すれば絶望感を感じそうな視点から、別の視点に変わったことに気が付かないでしょうか?
これは、現状の延長線ではないゴールを設定し、一歩を踏みだしたイメージにより立ち位置が変わったため、視点が変わったのです。
視点が変わったからこそ、行き詰まりの状態から、進むべき方向性が見えてきたのです。
参考にする人が大事
ゴールを設定し、一歩を踏む出した後の思考ですが、
似たようなことをやっている人をロールモデルとして参考にすることがあると思います。
この参考にする人を選ぶことがとても重要になります。
それは、今の時代は、興味のあることやジャンルで住む世界が分断されているからです。
どういうことかというと、例えばYouTubeで興味のあるチャンネルを視聴すると、類似したチャンネルがどんどんお薦めされてきます。
それが続くと、あたかもそういったチャンネルで世の中が溢れているように感じます。
ですが、その状況は、あなたに最適化された世界になっているだけなのです。他の人は、その人に最適化された別の世界が展開されているのです。
つまり、参考にする人を選ぶと、その人に関連した情報にあっという間に囲
まれてしまう可能性があるのです。
人は行動を共にする人の影響を大きく受けてしまいます。
これは、脳神経の一つにあるミラーニューロンと呼ばれる脳細胞によって共感し、考え方や行動に影響でてしまうのです。
直接的な友達だけでなく、例えば、YouTubeチャンネルで一方的に視聴しているだけであっても、そこで話をしている人の影響を受けてしますのです。
良くも悪くも、自分の抱いた思考によって、自分の取り巻く世界が極端に展開しやすい時代であることを念頭に置いた方が良いでしょう。
最後に、ゴールに向かう流れを下図に示して、締めくくりたいと思います。
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