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20代最後の挑戦


~はじめに~


 定
期的に更新すると言っていたのにも関わらず前回の投稿から数か月が過ぎてしまった。この数か月間思うように計画が進まないもどかしさや現地責任者としてのプレッシャー、自分の力のなさに対する憤りを感じた。得体の知れないストレスにも襲われて押し潰されそうになることが多かった。珍しく眠りが浅かったり、嗚咽が止まらないような日もあった。そんな中でも無事に健康な状態で先日29歳の誕生日を迎えることができた。それはいつもひたむきに頑張ってくれているスタッフ達やポジティブで明るい友達、後輩、先輩方、側で応援してくれる恋人、日本から見守って下さる方々、どんな状況でも僕を信じて背中を押して送り出してくれる家族、そしていつも電話一本で前向きで明るい気持ちにさせてくれる社長の存在があったからだ。自分を支えてくださる方々に心から感謝したい。いつもありがとうございます。

                              *バックオフィスのスタッフと
          ↑↓*プライベートで仲のいい日本人の先輩、後輩、友人たちからのお祝い



~デベロッパーの仕事とは~


 て、今回は僕が現在取り組んでいるプロジェクトの紹介を通して20代最後となる大きな挑戦に対しての思いを記録できればと思う。その前に不動産デベロッパーの仕事内容を簡単に紹介したい。
 動産デベロッパーとは土地購入から企画、設計、施工、販売までを行う不動産業界では花形と言われる職種だ。弊社では設計と施工は下請け業者に外注している。日本では主に不動産仲介業に携わっていた僕は当時から地図に自分達の仕事を残すことができるデベロッパーの仕事に憧れを持っていた。しかし、当時の状況や自分の学歴、経験と向き合った時に自分にはできない仕事だとも感じていた。
それから数年が経ち、まだまだ経済発展真っ只中のカンボジアという地で現在自分のやりたい仕事ができていて日々挑戦できる機会を与えて頂いていることに感謝している。

                                     *建売工事工程

~弊社プロジェクト概要~


 が現在進行形で行っている挑戦はカンボジア首都南部の郊外での住宅地開発だ。82区画の建売販売を計画しているが日本の建売とは異なり一つの小さな街づくりをするイメージだ。2020年10月に8591平米を仕入れて細かな計画を練ってきた。建築総コストは約500万USD、当初の予定だと着工から1年8カ月で竣工する計画だ。現在は弊社への所有権移転登記、盛り土、電気の引き込み工事が完了している段階だが様々な外部要因により弊社所有地周辺の他社のプロジェクトも含め当初の計画から大幅に遅延し、工事が止まっている状況だ。一つの街をつくるという仕事のスケールの大きさ、難しさを実感している。

                             *2020年11月ドローン空撮写真
                              *2022年3月ドローン空撮写真

 番大きな影響を受けているのが前面道路の大規模かつ急速に進む舗装工事だ。プノンペン都が出している都市計画図にも記載自体はあったが予定よりも早く工事が始まり、前面道路の高さも大幅に変わってくることから混乱を招いている。工事が止まっている期間と比例するように利益も先延ばしになり正直不安は膨らむばかりだが日々出来ることに取り組み打開策を探してもがいている状態だ。一方で周辺ではプノンペンの東西南北を結ぶ環状3号線の工事も順調に進んでおり、地価は急激に上昇し我々にとって追い風となっている。現在、環状線の道路工事がまだ途中にも関わらず周辺の平米単価は仕入れ時に比べて倍以上に高騰しており弊社の所有地も今の状態のまま売却しても利益が出る状況だ。

                        *画像が荒いが外側の赤線が環状3号線計画
                        ↑↓*2022年3月環状3号線ドローン空撮写真

 は弊社のプロジェクト計画の概要に戻るが今回我々が手掛ける建築計画は日本のような戸建ての建売とは異なり、現在カンボジアの中所得者層を中心に人気のあるボレイ(連棟型建売住宅)となる。主に3~6ベッドルームの2~4階建てで構成され、隣地と連なったタイプの土地付きの住宅だ。そもそもカンボジアでは建物登記自体が存在しない。実需目的で購入される顧客が大半だが地価上昇を見据えて投資目的で購入する顧客もいる。


~プロジェクトのコンセプト~


 社では初の試みとなるこのボレイの建築計画。いかに日本とカンボジアの良さを掛け合わせて人々が安心して暮らせる空間づくりをしていくか設計の段階から下請けを依頼する施工業者と何度も何度も打ち合わせを重ねた。
施工業者を選定する際も弊社の優秀なスタッフの紹介でローカル企業だが代表者のカンボジア人が日本の早稲田大学に留学した経験がある業者に出会うことができた。日本とカンボジアの両国で暮らした経験をもとに我々の無茶ぶりにも対応してくれた。
 定したプロジェクト名は『The Life Town』だ。日本本社も同様の名前で都内を中心に建売販売を展開していることもあるが弊社が建てた住宅で顧客が人それぞれ人生の様々なストーリーを創り上げていって欲しいという思いを込めている。プロジェクトのスローガンは弊社のビジョンと同じ『Beyond Imagination』で想像を超える暮らしの提供、自分の想像を超える未来へのスタート地、想像を超えるカンボジアの発展への貢献を弊社のプロジェクトを通して届けたいといった意味合いを含んでいる。

                             *The Life Townマスタープラン

 ウスタイプは1階部分を商業用としても利用可能な仕様のショップハウスと住居専用のリンクハウスの2種類で共に3階建ての4ベッドルームだ。外装はショップハウスに関しては日本の銀座で街のシンボル的な存在になっている重要文化財、日本橋高島屋をモチーフにしている。ここにも街のシンボル的な存在としてランドマークの一つになるようなプロジェクトにしたいという思いを込めている。リンクハウスはオープンスペースを増やし開放感を与えたいと考えバルコニーが多めのスタイリッシュな日本風のデザインにした。

                                  *ショップハウス外観
                                   *リンクハウス外観
                                  *ショップハウス外観
                                  *リンクハウス外観

~挑戦への思い~


 回このプロジェクトを進行するにあたって日々新しい経験と様々な課題、問題に直面し毎日戦っている。スタッフは僕の赴任当初の5人から13人に増え責任も重くなっている。スタッフの平均年齢は約25歳、比率は女性の方が多い。僕は学歴も知識、経験もないし語学力も乏しい。正直不安になることばかりだし自分自身にもっとカリスマ性や統率力、知識や経験もあって器用な性格だったらスムーズに物事が進んだんじゃないかと思ったりもする。自分自身の無力さに呆れたり、なんでこんなにも馬鹿で不器用なんだろうかと幻滅するようなこともある。それでも自分の目標の為、付いてきてくれるスタッフの為、応援して下さる方々の為に日々前向きに笑顔でポジティブに強い意志を持って壁を乗り越えていきたい。
 くさんの壁を乗り越えてまだまだ発展途中のカンボジアの街と共に成長していく過程を仲間と一緒に楽しみ、後の思い出話として酒のつまみにしたい。
 なみに僕の思考やメンタルの構築の仕方は以前書いた下記の記事のような内容をベースにしている。


*オフィスにてスタッフ達との一枚‘’国際女性デーに女性スタッフへささやかなプレゼント‘’

~今後やりたいこと~


 ンボジアで生活していく中で地図に残る仕事を成し遂げたらその後は自分の経験をもとに人材育成の分野にも力を入れていきたい。20代前半はアイデンティティの形成ができておらずいかに収入を増やしていくかばかりを考えて精神的にもブレていた。今では当時の自分のようにたくさんの情報が溢れかえる中で選択を迷い、彷徨う若者が増える現代社会において新しいことに挑戦したり海外に飛び出して経験や成長にフォーカスする若者を増やしていきたいと思うようになってきた。僕みたいな人間でも一つのことを成し遂げ、社会に貢献できることを証明して自ら命を絶つ人や可能性を閉ざし殻に閉じこもるような人を一人でも減らしたいとも思っている。
キッカケとなった人や本との出会い、刺激により20代後半になって自分の人生観や価値観を徐々に確立していけるようになったと感じている。
 30代では自分自身の積み上げた経験を通じて今度はキッカケを与える側の存在になりたい。その為には前回の記事でも書いている通りまずは自分の想像すら超えていく未来を創り上げていく努力を日々怠らずにしていきたい。

             *手狭になってきたオフィス‘’赴任当初は5人からのスタート‘’


~終わりに~


 回は少々ネガティブな要素も書いたがリアルな今の自分の思いを記しておこうと思いストレートに表現することにした。挑戦はまだまだ続くしあまりストイックに思い詰めず肩の力を抜いて自分らしく楽観的に歩き続けていくことも必要かと思う。もっと自分の心の健康も大事にして人の心に余裕を持って寄り添える大人になろう。

長くなりましたが読んでくださった方、ありがとうございました!

           *スタッフの親族葬儀にて‘’悲しい時はみんなで分け合い支え合う‘’
            *スタッフ主導で開いた会議の様子‘’自走できる組織を目指して‘’


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