自死した父への想いを込めた歌『ポラリス*』作成秘話
今日は父の命日。13回忌だ。
最近は、相続問題に直面していて
当時のことをリアルに思い出す
場面が増えてきていたり、
将来設計をリアルに考えたり
しなければならなくなって
いるのだけど
父が遺してくれのは
家でも土地でも金でもなく
"命とは何か"
"生きるとは何か"
"死とは何か"
文字通り、
体張って身をもって
教えてくれたことなのだ
と、つくづく思う。
中でも、父の死をきっかけに火が付いた
私の音楽表現への情熱、そしてそこから
生まれた創作物は、この生涯の何にも
かえがたい「私の財産」だといえる。
今日は、その中のひとつ、
私の曲の中で最も大事にしている
『ポラリス*』
という曲の作成秘話を打ち明けようと思う。
「ポラリス」とは英語で「北極星」を意味する言葉だ。
「北極星」ってどんな星かご存知だろうか?
古来から「旅人の道しるべ」
として重宝されていた星だ。
真っ暗闇で心もとない
大海原や、砂漠、奥深い茂みでも
顔を見上げれば空に輝く星たちが
見守ってくれる。
その中でも、どんなときも揺るがず
天の中心にあり、北の方角を
教えてくれたのが北極星だ。
(南半球では南十字星ですが)
GPSやスマホが発達した現代では、
方角を見失って途方に暮れるなんてことは
ほとんどなくなっているけれど、
私たちの「人生」を「旅の道」に例えたとき
逆に情報や選択肢が多すぎて、
・自分がどこにいるのか
・自分は本当に行きたい場所はどこなのか
・どの道を選べばいいのか
・何を目印にして行けばいいのか
わからなくなり、途方にくれることがあると思う。
その道の半ばで、つまずき、真っ暗闇の中
自らの道を閉ざしてしまう人もいる。
それが、まさに、私の父だった。
父は、ある汚職事件に巻き込まれ、
悪いことをしていないのにグルだと
思われて報道されてしまった。
事件の対応だけでも大変なのに、
加えて世間の目が突き刺さる。
社会的信用がなくなった父が
今まで誇りをもってやっていた仕事を
続けられる可能性はゼロに等しく、
父はそれに耐えることができなかった
のだと思う。
マスコミ、警察、政治、ヤクザなどが
金で繋がっている社会の裏側と闇を知り
不器用だけど、心がやさしくて、
まっすぐで、正直な人たちが
生きていけないこんなクソみたい
な世界でこれ以上、私だって
生きていたくない!!!!
という想いが膨れ上がると、
私もまた、父の後を追って
死にたくなる衝動に駆られていた。
※実際、遺族がうつ病にかかったり、
自死してしまったりする「二次被害」
の問題は東日本大震災のときも話題になった。
実際、思春期に親を自死で亡くした子供が自死する
二次被害の確率は一般に比べて13倍になるという研究もある
しかし、どんなに死にたいと思っても、
"あの"悲しみを-それはとうてい「悲しみ」
なんて言葉に表すことはできないのだけど
遺された母と妹がまた味わうのかと思うと、
どうしてもその選択は取ることができなかった。
「お父さんだけ逃げてずるいよ、
私だって、もうこんなところ居たくない。
連れて行ってよ」
ちょうど高校生だったので進路を決める時期だったが
希望の持てないこの世界で進路を迫られることが苦痛だった。
そんな物理的にも精神的にも学校に行けない
真っ暗闇のどん底の中、
私のそばにいつもいてくれて、
心を唯一解き放ってくれた一番の理解者がいた。
ウタだ。
「私がウタを聴いていると思ってたけど、
本当は、ウタが私を聴いてくれているんだ」
ということに気づき、ウタの持つ力を
身を持って体験する。
当時、手厚い心のアフターケアが
必要な対象だったにもかかわらず
経済的にカウンセリングに通う
余裕はなかった。
私は1卵生の双子の妹もいるので、
2倍ともなれば出費もひどいし、
何よりそんなカウンセリングを一番
必要としているのは母だったと思う。
しかし、そんな私が道を踏み外さずに
健全に進んでこれたのは、音楽が
私のそばにいてくれたからだと
大げさでなく実感している。
音楽が、私の言葉にならない感情を
すべて代弁してくれた。
「ウタのチカラって、すごいな」
いつしか私は、この音楽の力を届ける
「歌手」になりたい
という夢を抱くようになった。
それはまさに生きる希望の光。
2等星で小さいけれど、揺るがない、
私にとっての「北極星」だった。
しかし、せっかく夢が芽生えても
経済的に音楽学校には進学できない
という絶望から、本気で死のうと
高層ビルの階段に手をかけた
こともあったけれど、
この「北極星」が私を何度も
進むべきに引き戻してくれて
大学を卒業し、社会人になってから
やっと音楽活動を始めることができた。
私が現代の「北極星」を見つけられたように
それぞれが、それぞれの「北極星」を見つけて
人生を歩き続けるお手伝いができるような
そんなウタウタイになりたい・・・・
それが私の音楽活動の原点、コンセプトだった。
少しずつ私の活動が認知され始めたころ、
「社会問題×音楽」というテーマで
出演を依頼されたトーク&ライブ
イベントの流れで
父に向けた1曲を書き下ろすことになり、
そこで曲作りを通して父の死・・・
それもただの死ではなく「自死」という
テーマに真正面から向き合うことになった。
父が崖から海に飛び込む寸前に
声をかけられるとした
どんなメッセージを伝えるだろう?
それをこの歌に込めることにした。
私が強烈に湧いてきた言葉は
生きて
だった。
しかし私は、本当にどん底にいるとき、
「死んじゃダメだよ、生きて」
なんて綺麗事や正論が心に
まったく響かないことは
私自身も身を持って知っている。
そんなどうしようもなく、
道が閉ざされているとき、
真っ暗闇にいるとき、
その言葉が逆に辛いこと
も知っている。
「これ以上、どうしろってんだよ
お前に私の何がわかるんだ」
そんな気持ちになって、余計に
心を閉ざしてしまう。
むしろ
「今までよく頑張ったね、
もう眠っていいよ」
そんな風に許可してくれるほど、
「死にたいほど辛い」ことを
理解してくれる人がいたら
逆に
「世の中まだ捨てたもんじゃない」
と思えて、生きたくなるものだ。
どっちの方向性で
歌詞を書けばいいんだ・・・・・・・
レコーディングで歌入れをする
ほんとに寸前の寸前まで
何度も何度も歌詞を書き直し
マイクの前ですごく葛藤した。
悩んだ挙句、私は「生きて」
というメッセージを選んだ。
その代わりに、この言葉に、
全身全霊の魂と言霊込めて
歌う、と決めた。
腹の底から、目の前に今にも
崖から飛び降りそうな父を
思い浮かべながら
「生きて」
と叫ぶことにした。
その結果、イベント終了後
たくさんの反響をいただいた。
まだ音楽活動が駆け出しで
歌もギターも下手くそなのに
感動して涙を流してくれる人がいた。
CDも20枚くらい持っていたのが
すぐに全部売り切れてしまった。
私自身、何度も何度も
死にたいと思ってきたし
今でもその衝動に
襲われるときがある。
でも、こうやって歌を通して
人と共鳴し、繋がれたとき、
「やっぱり、生きてて良かった」
「人生、捨てたもんじゃないな」
「私は本当はひとりではなかった」
と気づくことができる。
そう思える瞬間を、仲間を、
私はこの地球に増やして行きたい。
とくに、この日本という母国に。
なぜなら日本は経済的にも生活面でも
類まれなほど恵まれた先進国だが
自殺者数は世界でトップだ。
毎年3万人の人が自ら命を絶っている。
実際には、20万人近く・・・・とも。
私はその一人の命の重さが、その人を
とりまく家族や友人がどうなるのかを
身を持って知っているので
「●●万人」とか簡単に数字にして
しまうのが本当は好きじゃないのだけど、
これを海外の友達に話すと本当に
みんなびっくりする。
「あんなに豊かで便利な国なのにどうして?」
って。
だから、海外経験で学んだ
「生きやすさ」の真髄と
歌が持つパワーを借りて
「生まれてきて良かった
生きてきてよかった
もっと生きてこの地球を楽しみたい」
急に死んじゃって、遺産はおろか、
借金遺して大迷惑をかけて死んでいった
どうしようもないお父さんだったけど
こんなにも大切なことを遺してくれた
お父さんに、心から感謝だよ。
ありがとう。
2019.11.24 詠美(本名)より
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そんな「ポラリス*」のライブ映像はこちら。聞いてみてね。そして、もし「死にたい」と思うほどつらいときやあなたの周りの家族や友達で辛い想いを
抱えている人がいたら、この歌のパワーが届いたらいいなと、おこがましくも願っております。
本当は値段なんてつけられないほど
「我が子」のように大切な歌たちなのですが
支援していただいた愛のエネルギーは
「生きやすい世界」を創れるように
大切に使わせていただきます!!
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