不器用だからこそ、胸に迫るものがある。
ふと、こんなことを思った。
「最近の自分は、歳をとって、それなりに知識と経験を得たぶん、要領よく立ち回ろうとしているんじゃないか?」
「若い」ということが、すべてにおいて素晴らしいとは思わないけれど、知識も経験もお金もないかわりにガムシャラだった若いころに比べると、歳をとればとるほど「気持ちの強さ」がだんだん弱まっていくように感じてしまう。
そして、その「弱くなった気持ち」を補うように、要領よく立ち回ることを選択してしまっているのではないだろうか?
そんなふうに考えて、少しだけ残念な気持ちになってしまったのだけれど……そんなときに、頭をよぎったのが、この言葉だった。
Stay Hungry, Stay Foolish
かつて『The Whole Earth Catalog(ホール・アース・カタログ)』という雑誌に掲載された言葉で、アップルの創業者スティーブ・ジョブズが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチで引用したことから有名になったものだ。
ハングリーであれ。愚か者であれ。
そして、なぜかこの言葉とともに思い浮かんだのが、この人だった。
僕は植木等さんのマニアックなファンではないですし、世代も違いますが、小学生のころにテレビで観た映画『ニッポン無責任時代』『ニッポン無責任野郎』などのあまりにデタラメな面白さに心底びっくりした記憶は、いまでもはっきり覚えています。
そして、同時に思い浮かんだのがこの方。
先日惜しくも亡くなられた小松政夫さんですが、僕は一度だけテレビドラマの仕事でご一緒させていただくことができました。
ロケ地だった福岡の病院で行われた撮影のあいまに、ほんの少しでしたけれど、なにげない雑談や思い出話を聞かせていただけたことは、なんだか夢のような体験でした。
Stay Hungry, Stay Foolish
その言葉から連想したふたりが、実際にはどんなことを考え、どんな毎日を過ごされていたのかはわかりませんが、僕にとっては「ハングリーであれ。愚か者であれ」という言葉とともに、ふと浮かんだその姿が、強く心に迫ってきました。
そして、さらにこんな方たちの姿も浮かんできました。
懐かしいタワーレコードの広告ですが、そこにもまた、心に刺さる言葉が記されていました。
「おいそこの青年、恋をしているか?
きれいなお嬢さん、誰かに愛されていますか?
美しいラブソングを聴いているかい?」
「これでいいのだ‼︎」
「聞かせたい歌が たくさんあるのさ‼︎」
どの人も、どの言葉も、とても力強くて、どこか不器用。
だからこそ、胸に迫るものがある。
Stay Hungry, Stay Foolish
ハングリーであれ。愚か者であれ。
冒頭で書いたように、歳をとると、知識と経験を得たぶん要領よく立ち回ろうとしてしまう。
そのうえ、まったくもって思いどおりにはいかない人生のなか、コロナ禍でどこか気分が晴れないまま毎日を過ごしていると、どんどん思考も小さく凝り固まっていくようにも感じてしまう……。
だけど、要領よく、コスパよく生きることだけが正解じゃないはずだ。
日々迷いながら、いろんな気持ちにこんがらがりながら生きているのだ。
そんな自分自身のために、ここらでひとつ、しっかりと心に刻んでおきたい。
Stay Hungry, Stay Foolish
ハングリーであれ。愚か者であれ。
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