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銀色のペディキュア

ペディキュアを塗った話です。足のつめ。

手元に塗るならナチュラルな色を選ぶことが多いです。ツヤが出れば良い、くらいに思う時もあり、似たようなベージュトーンやシアー系をよく買います。深め・渋めの緑、茶、赤、ゴールドなんかも好きですが、頻度としては少ないです。アートをしてもせいぜいナチュラルな色味のグラデーションかフレンチ、クリアの地に抽象的にぼんわり色を垂らすくらいです。手肌が綺麗に見えるような単色ネイルが基本で、あまりファッション性は高くない。

その一方でペディキュアの場合は、ファッションの一つとして色選びをしたくなります。自分の視界に入りにくいせいか服で選ぶよりも強い色を好ましく感じます。手元だと単色使いしにくいものでも、むしろしっかり発色させてみたり。

足元には強めの色を、というのは昔から変わらないのですが、いつからか赤のペディキュアを難しく感じるようになりました。単色で赤一択(たまにゴールドラメを組み合わせる)が定番だった記憶があるのに、最近はめっきり選びません。「いわゆるペディキュア」感が濃厚すぎるせいか、気合が入っていてトゥーマッチな気分になります(トゥーマッチな気分、という言葉もちょっと恥ずかしい)。赤と言っても様々あるので赤茶・ボルドー・オレンジ系のちょっと外した赤や、アートの一部として取り入れるのはハードルが低いですが、赤一色というのはけっこう難易度が高い気がします。

エフォートレスや抜け感が主流になってからは、透け感・くすみ感のある色味、または繊細なラメ、偏光パールを可愛いと思うようになりましたし、よく見かけるのもそういったポリッシュです。OSAJIとかhinceとかukaとか。

そんな中、なぜかペッタリとしたシルバーのつめにしたくなりました。細かいラメ、光があたってチラチラ反射するラメ、ではありません。マットではないですが、ペンキみたいな平面的な銀です。なんというか宇宙人を想起します(ギャラクシーネイル的なものでもない。かつて流行りましたね)。

洒落ているのかはわかりませんが、私的にこれは笑える色・楽しい色であり、それが重要です。サンダルを履く季節のペディキュアは人目につきやすいですが、私としては人目に触れない時に塗りたい色。見えないおしゃれを目指している訳でもありません。誰も知らない(興味もない)所でこんなに意味のわからない色を塗っているんだという、ただそれだけです。怒られたり緊張したり追い詰められたりした時に、脳内で「でも私の足先、いま銀なんだよねー」という謎の逃避をするのが目的です。我ながら謎。

よくよく振り返ってみれば、玉虫的な癖の強い緑や、ポップで大粒なゴールドラメ、マットな真っ白を塗ったりする時期がありました。おしゃれ・ダサいのベクトルではなく、自分にとっていかに意外性があるか、という観点です。「何かとTPOには合わせますけど」みたいな反抗しきれない気持ちが常にあって、それでもつま先くらいは自分の気分を優先させているんだ、という事実が逃げ場になっているのだと思います。

途中まで手元は肌なじみ、足元はファッション性みたいなこだわりを偉そうに書いていましたが、足元は精神状態を反映しているのかもしれません。いつもの自分であれば選ばない色をなぜか手に取ってしまう時は、美味しいものでも食べようと思います。


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