I'm OK You're OK
私は高校2年生の時に軽度の拒食症になった。
「もっと痩せたら、もっとかわいくなるよ!」
当時付き合っていた3つ上の彼の言葉で、私はダイエットを始めた。
とにかく食べないダイエット。
3ヶ月ほどで10kg近く痩せた。
彼や周りに褒められることがうれしくて、どんどんエスカレートしていった。
食べたものはすべて手帳にメモ、ダイエットサプリを飲み、少しでも体重が増えれば下剤を乱用していた。
体重計の前で一喜一憂する毎日。
ある時、バイトの帰りにコンビニの前を通ると無性に甘いものが食べたくなった。
いつもなら我慢できるのに、我慢できずにシュークリームを買って帰り、食べた瞬間に食欲に火がついた。
その日は食欲が収まらず手当り次第に食べ、泣きながら下剤を大量に飲んで寝た。
ここから、新たな苦しみが始まった。
食べない→大量に食べるのループ。
吐くことができず、下剤を飲む。
なんとか体重を保っていたものの、心も身体がボロボロに。
食べることへの罪悪感。
大量に食べてしまう自分への嫌悪。
徐々に拒食から過食に傾いていき、体重はダイエットする前より増えてしまった。
そして、ダイエットがきっかけになった彼と別れても、新しい彼ができてもやはりみんな雑誌のモデルさんのような体型を求めてきた。
どんどんどんどん自分が嫌いになる。
嫌いになればなるほど大量に食べてしまう。
その後、何年も何年も食べることへの罪悪感は消えなかった。
食べることが大好きなのに、いつも心から楽しめない。
友達との食事の時間は、「これ食べたら太っちゃう…」そんなことばかり考えていた。
今はやっとやっと食べることを純粋に楽しめるようになった。
本当に最近のこと。
つまり20年近くこの問題と付き合い続けてきたことになる。
大学で心理学を学び、その後も自分自身と向き合い続けてきた。
そして、なにより自分をまるごと肯定してくれる夫や子ども、友達がいてくれて、少しずつ少しずつ進んでこれた。
今でもストレスが溜まると時折大量に食べてしまうことがある。
そういう時は「大丈夫、大丈夫」と自分に言ってあげている。
どんな私でも私は私。
大切にすべき存在なのだ。
今思い返せば、彼にダイエットについて言われた時の私はまったく太っていなかった。
でも、その時は家族の言葉も友達の言葉も担任の先生の言葉もみんな耳に入ってこなかった。
人の体型について軽く口にしたことが、誰かの人生を大きく狂わせたり、何年も苦しませることがあることをわかってほしい。
誰もが自分自身を大切に思えるようになってほしい。
とても難しいのだけど。
「I'm OK
You're OK」
私もいい、あなたもいい。
GoodよりもOKくらいの気持ちの方がなんとなく自分にも相手にもやさしい気持ちになれるような気がして。