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デザインスクール留学からの就職・転職活動について:エンジニアからのキャリアチェンジ体験(1/3)

デザインスクール留学を1つの選択肢として考えている人にとって、デザインスクールを修了してから、どのようなキャリアがあるのか?そもそも、転職市場においてニーズがあるのか?といったことは大きな不安要素だろうと思ってます。

特に、デザイナーではない職種で働いてきたビジネスパーソンやエンジニアの人たちにとって、デザイン経営宣言が経済産業省・特許庁から出たり、イノベーション人材の育成が急務だ必要だと言われても、本当に、デザインスクールに行って、キャリアはどうなるんだ?と感じると思います。

私自身、土木・建築系のエンジニアの前職を退職して、デザインスクールに留学したときは、どのようなキャリアになるのか全く分かりませんでした。結論から言うと、どうにでもなるというか、色んな選択肢があるし、困ることはないと思うけれど、デザインスクール留学を考える人(特に、デザインやクリエイティブ関連で働いたことのない人)にとって参考になればと思い、私がどのような就職・転職活動をしたのか体験談を書きます。

1.キャリアの選択肢についての探索活動

2.留学している現地での就職活動について

3.現地から日系企業へのリモート転職活動について

の3テーマで書いていきます。

まず、この記事では、1つめのトピックについて書きます。

1.デザインスクール留学後のキャリアの選択肢の探索活動

1-1. デザインの職能の探索

デザインスクールの留学を考える人は、日本で学べるようなクラシカルなデザイン(グラフィックデザイン、プロダクトデザインなど)ではなく、より経営の上流や公共の意思決定の上流から、関わることができる職種を希望していると思います。たとえば、ストラテジックデザイナー、サービスデザイナー、ビジネスデザイナー、UXデザイナー、デザインリサーチャー、デザインエンジニア、クリエイティブテクノロジスト、クリエティブディレクターなどです。

留学する前は、これほどまでに多様な職種があることに頭が混乱しました。はっきり言って、何が違うのか分からなかったです。今でも、名前にこだわる必要は全くないと思っていますが、これらの肩書きを持つデザイナーの人たちとできるだけたくさんの人に会って、どのような強みをもって、仕事をしているのか理解しようと動いていました。

具体的には、修士研究のなかで(デザインスクールによっては研究がないところも多いと思います)、インタビューをしながら、上記のような職種の人たちがどのようなマインドセットで、どのようなプロセスでデザインをしているのか調査をしていました。色んなデザイン関連のイベントに出向いたり、飲み会でインタビューできる人を紹介してもらったりと動いていました。

デザインプロセスのなかで、ざっくりとした職能ごとの立ち位置を整理するとこんな感じかと思います(あくまで一意見ですし、組織によっても異なるため、参考までです)。Double Diamondプロセスと言われるどのデザインも大まかにこのようなプロセスをとっているものが、英国デザイン評議会(British Design Council)から出ているので、このプロセスにあてはめて、職能ごとの重点的に関わるポイントを記しました。

この図自体は今パッと書いたもので参考になるかわかりませんが(粗くてすみません)、デザインのなかでも、どこに自分の強みや適性、好みがあるのかというのを考えていました。一見すると同じような仕事に思えるのですが、職能ごとに大まかな適性があることも分かってきました。

たとえば、

デザインリサーチ:人間の洞察に優れた人が多い。人が好き。聞き上手。心理学系。

ビジネスデザイン:バランス感覚に優れた人が多く、教養好きで、ビジネスセンスに長けている人。物事を構造化して捉えられる。元ビジネス出身、エンジニア出身が多い。

デザインストラテジスト:社会の現象や人間の行動に対して、自分なりの解釈を持っており、点と点の情報に新しい意味を見出すのが得意。社会学系。
(経営企画寄りのストラテジストもいて、どうデザインを経営資源に取り入れるのかをやってる人もいます。)

サービスデザイン:人間の洞察に強みをおきながら、ファシリテーションなど、周囲を巻き込んだサービスづくりができるタイプ。コンセプトスケッチなども得意。親しみやすい人が多い印象。(組織デザイン寄りのサービスデザイナーもいます。チェンジマネジメントと呼ばれる組織のデザイン化などの変革を行う役割です。)

クリエイティブテクノロジスト:手を動かして速く何かを生み出す。元エンジニアが多い。ロジカルに創造活動をする。思考が速い。テッキーな雰囲気。

といった具合に理解していきました(もちろん人にもよると思います)。

※組織デザインやマネジメント寄りのデザイナーはデザインプロセス自体に関わらないこともあり、別の整理の仕方が必要だと思います。

そのなかで私は、ビジネスデザインまたはデザインストラテジストが希望と近いと考えていました。

これらの職能はまだ日本には根付いていませんが、フィンランドではこのような職種で活躍している人が多くいました(世界一ビジネスデザイナーが多い国というのをLinked-Inのビジネスデザインコミュニティで知りました。)


1-2. デザイン業界の探索

デザインの職能に加え、どんな業界で働けるかについても調べていました。

デザインスクールの経験が活かせる業界をざっくり分けると次のようになるかと思います。フリーランスや起業を除いています。

a. デザインファーム(デザインコンサル含む)

b. 戦略コンサルティングファームのデザインポジション

c. 広告会社のクリエイティブ職、サービスデザイン職

d. 大企業のデザイン部門

e. 大企業のイノベーション部門

f. スタートアップ(デザインに理解のある)

g. 政府・地方公共団体のサービスデザイン・デザインマネジメント職

コンセプトor実行と、職人気質orマネージメント気質の2軸で整理すると、

こんな感じになろうだと思います(ざっくりですみません。組織によっても違うと思います。)。

1つめの軸に関して、コンセプチュアルな仕事(未来洞察、事業コンセプト作り、世界観の伝達など)をしたいのか、実行寄りの仕事(実際に事業やプロダクトを生み出したい)をしたいのかについては、はっきりと、好みが分かれると思います。

2つめの軸に関しても、自分のスキルをベースに仕事を進めたい職人気質なのか、周囲を巻き込んだり、ファシリテーションしながら仕事をしたいマネジメントタイプなのか、人によって適性や好みが分かれると思います。

この2軸の整理のなかで、私の場合は、実際に、事業やサービスを作り出す実行側で、多くの人と関わりながら仕事を進める、大企業のイノベーション部隊、あるいは、戦略コンサルティングファームのなかでも、実行まで携わることができる組織のデザインポジション、というふうに希望を絞っていきました。

ここには広告会社がつくったイノベーションファームなど含んでいませんし、すべてを網羅しているわけではありませんが、この整理をすることで、自分はどんな風に働きたいのか?をベースに比較的はっきりと希望が分かるのではないかと思います。

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もし、デザインスクールに留学中、あるいは、これから留学しようと思っている方で、キャリア展開に悩んでいる方がいらっしゃれば、相談に乗ることもできるかと思います。ご連絡ください。

それでは、次の記事で、実際に、現地フィンランドで就職活動をした時の体験をまとめようと思います。

Photo at The National Library of Finland, Helsinki, Finland

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