著作権のもとは著作物って知ってほしい!
こんにちは、弁護士の鈴木恵美です。
著作権ってそもそも何に対する権利かわかりますか?
著作権が発生するためには、“著作物”が必要です。
著作物は法律ではこのように定義されています。
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法 2条1項1号)
とてもあっさりした表現ですよね。
すっと読み飛ばしてしまいそうな。。。
でも、法律的な解釈ではとても重要な要素が含まれています!
まず、“思想又は感情”!
思想又は感情ってなんでしょう。
みなさんが頭に思いついたアイデアや誰かに伝えたいという気持ちが、クリエイターのみなさんの思想又は感情です。
それが、★創作的に!★
創作的にってどういうことでしょう?
創作的というのは、ありふれていない、ということです。
いろんな表現の仕方がある中から、
自分で、独自に、
こうやって書く!描く!と、選びとって、
私だからこそこの表現をした!といえることです。
創作的、ってきくと、ゴッホとかピカソとか、超芸術的!
そんなイメージにも聴こえますが、全くそんなことはありません。
幼稚園の子が描いた絵も、その子の個性が表れていれば、著作物になります。
それが、思想又は感情を創作的に!ということです。
前半の最後は
★表現したもの!★
そうなんです、せっかく考えても、実際に表現しないと著作物にはならないんです!
よく、他の人のアイデアに、もともと自分が考えていたアイデアだったという訴えをする人がニュースになったりしますよね。
本当にアイデアが同じだったかもしれません。。。
でも、頭の中のことは誰にもわかりませんし、あとからみんな実は考えていたということを認めていたら、みんなが言い出してしまうでしょう。
その人が考えていたるだけで、表現をしていない場合には著作物にはなりません。
じゃあ、だれかにアイデアを話していたら、それは表現になるのでしょうか?
ことばで口にする、これは表現する行動そのものです(実際、著作権には、口述権というものもあります。詳しくは、またいつか書けたらいいな)。
でも、アイデアそのものは著作物の対象ではなく、そのアイデアをどんな風に喋ったか、伝えたか、その表現方法が著作物の候補になります。
たとえば!ここで、みなさんに、クイズです。
青色、ネコ型の、大きなポケットを持った、ロボットは?
クイズの答えを、絵で描いてみてください。
きっと、あのキャラクターの絵を、みなさん描かれたことでしょう。
その、描いた絵、ひとつひとつ違う絵、これが表現物です。
青色、ネコ型、大きなポケットを持ったロボット、は、アイデア、キャラクター(特徴)なのです。
さて、後半で書かれているのは “文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの”
そうなんです!著作権って文芸、芸術、美術又は音楽の範囲に適用されるんです!
でも、絶対どれかに当てはまらなきゃダメ!ということはなく、あまりジャンルを心配する必要はありません。
クリエイターのみなさんが書く小説や、マンガ、イラストなどは、著作物です!
でも、かっこいい形の車とか、テレビとか、スマートフォンとかの工業製品は著作物ではないので著作権法の対象ではありません。
それは、また別の法律が守ってくれますので安心してください!
この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。(著作権法 1条)
著作権法の目的(第1条)。
権利をとにかく守る!でもなく、
公正な利用とか、文化の発展とか、書いてありますね。
どうやら、クリエイターのみなさんだけでなく、
著作物を楽しむ、発注する、使う人にも関係する法律ということですね!
■今日の一枚
(まとめ)
みなさん、著作権、著作権、と言ってますが、
著作権は、著作物に発生します。
そして、著作物はみなさんがクリエイターとして、“思想又は感情を創作的に表現した”ら著作物になるんです!
もちろん、”文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの”である必要がありますが、これはあまり気にしなくても大丈夫です。
大事なポイントは、★を付けた2つ、★創作的&表現★ですよ!
SNS投稿もイラストも全部みなさんが独自に生み出したものは、著作物です!
そんなところをゲームで理解してもらえると嬉しいなと思っています。
著作権ゲームのデザイン、ルール原案、意匠、すべてを、あまりクリエイティブでない私が担当しています。 noteの手描きイラスト画像も自作ですが、いつかデザイン面など、プロの方にお願いできたらいいな、と考えています。 応援いただけたら嬉しいです!