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忙しい生活と「さよなら」して私が手に入れたもの

仕事を辞めて、多拠点生活をしています。

仕事を辞めて1年間遊んでみようと始めた多拠点生活は、2021年6月末で1年を迎えました。今は、余白のある人生に満足しています。

忙しかった会社員時代から180度異なる日々へ

会社員時代、私は忙しかったからこそ、自由時間を確保したくて、多くのものを切り捨て、効率化を徹底していました。作り出した貴重な自由時間をエンジョイするため、また、自由時間そのものを作り出すための出費も多くありました。

今は無職になり、敢えて非効率な時間の使い方を自分に許しています。

忙しすぎる中での効率化はさらに気持ちを忙しくする

当時は、時間術の本を買ったり、セミナーを受けたり、朝活スタイルにしたり、タイマーをセットしたり、ありとあらゆるトライをしました。

いつも「時間が足りない!もっと工夫しなくちゃ!」と思っていました。睡眠も取らなくちゃ、運動もしなくちゃ、勉強もしなくちゃ!そして遊びの時間は絶対確保したい!と。

手帳を真っ黒にして、TODOをどんどん進めていく人を羨ましいなあ。と思い、自分が大事なことを成しえていないんじゃないかという不安や焦りが常にありました。

この1年、俯瞰して、忙しかった時の自分を見て気づいたのです。

かなりのオーバーキャパになっているときには、効率化しよう、とか、やめることを決めよう、ということがそもそも難しい。工夫しても、同じところをぐるぐると回るだけ。問題解決は難しく、気持ちだけがさらに忙しくなってしまうのです。

多くの忙しい人たちが、様々なトライをしつつも、うまくいかずにストレスをためています。英会話やダイエット塾、断捨離塾と同様に、時間管理術も成功することは難しい。「これをやれば簡単にできる」的な指南本はたくさんあります。

でも「忙しすぎる」は、ちょっとの工夫では解決できないのです。

無職になって、その日暮らしの幸せを知った

無職になって1年。今日は何をしよう。と起きてから考える。そういう幸せを、生まれて初めて知った気がします。

やらなければいけないことは最低限、あとは好きなことをしています。
今、have to として自分に課していることは、下記の3つだけです。

1.ブログなどSNS上での発信を必ず毎日(1年間でブログ120記事、Twitter600投稿、Instagram100投稿 note17記事を書きました。)
2.英語の勉強を週7時間
3.2021年4月からは、美術の勉強を週7時間

 have toのことが終わったら何でも好きなことをしていい。1日のうちの6~8割が自由時間です。

忙しさを手放したら、人生に豊かさが生まれた

私は会社が好きだったし、忙しいのも嫌いではなかった。でも、仕事を辞めて忙しさを手放したら、驚くほど豊かで幸せな人生がそこにあった。

忙しい時には「必要なことだけ」で過ぎていってしまう日々。

「空白の時間」「多愛のない話をする時間」。今までは、敢えて作ってこなかった無駄な時間。余白の時間を持っていると、情報が飛び込んできます。忙しそうな人には話しかけづらい。それは私が暇人の立場になって気づいたことのひとつです。

役立つ情報はもちろんのこと、言語化が難しい、自分の無意識に働きかける情報がたくさん入ってくるようになります。見る感度、聴く感度が圧倒的に高まります。

そうなったら、不思議と、忙しくしてた時よりも、自分が得られるもの、ことが多くなった。不安が消えて、豊かになった感覚は確実にありました。

余白が人生を豊かにする そして幸せが生まれる

余白の時間が増えたことで、私は人に対して寛容になったし、自分のことが好きになった。自分のダメさも許せるようになった。たいていのことは笑って過ごせるようになった。

「無意味だけど本当は意味のある時間」と、「本当に無意味な時間(例えば、嫌なことをする時間とか)」の違いが分かるようになって、時間を大切なことだけに使うようになった。それが好循環となって、どんどん幸せにが増えているように感じています。

二つの疑問にお答えします


1. 余白が人生に幸せをもたらすかどうかは、その人のライフステージによるのでは?

その通り。子育て中や、仕事に燃えるべき時期などは、自由時間を削って、ゴールに邁進していくことが、幸せといえます。私にもそういう時がありました。

注意しなくてはいけないことは、「他の人のために生きる」ことが目的化していないかどうか。「ありがとう」といわれること、「人のために尽くすこと」は一見、美しいことのように感じます。

「自分がいなければ回らない」という責任感も、尊いことです。「自分の目標や欲しいものに対して貪欲に生きる」というのも素敵なことです。

でも、ふと疲れたときに、それが「自分に必要なステージ、そういう時期なのかどうか」または「自分が犠牲になることで何かをごまかそうとしていないか」「大事なものを失ってはいないか」を問うてみることが大事です。

2.余白がありすぎて不安になったり、生きがいを見出せなくなったりする人がいるのでは?

定年後のおじさんが「わしも族」になったり、呆けてしまう、という例があり、自由時間が多い人生が幸せとは限らないんじゃないか、という考え方もあります。私も「仕事人間」だったので、退職後、空虚な気持ちになるんじゃないかと心配でした。

だからちょっぴりの have to は必要だと思います。できたら、他者とのつながり、社会的なつながりに結び付くことがいいんじゃないかな。

私は退職と同時に多拠点生活を始め、この1年でたくさんの人に出会いました。そして、SNSを通じて発信するようになりました。毎日1-2時間、(気が向けばもっと長く)アウトプットの時間を取っていると、空虚にはならない。趣味、みたいなものも、それに相応するのかもしれません。

多拠点生活1年のまとめについては、私のブログに書いています。


小さなhave to の積み重ねが、将来の貯蓄になっていくということも、大事なポイントです。勉強や趣味や、いろいろな人との人間関係を、少しずつ積み重ねると、それはきっと、大きな無形資産になることでしょう。

提言: 仕事を1年休もう。仕事を辞めてしまおう。

2021年3月、リクルートグループが年間休日を143日にすることを発表しました。でもそんな恵まれた企業に勤められる人は少ないし、143日だって、まだまだ少ない。

働きながら、努力や工夫で、理想的なレベルまで自由時間を増やすことができる人は、どれだけいるのでしょうか?

余白のあるライフスタイルを実践できるチャンスやステージが来たら、またはそういう環境を求めて、思い切って仕事を休んでしまう。辞めてしまおう。

誰にでも仕事を休む、辞めるチャンスは必ず来ます。2-3年分の生活費があれば、安心して辞められます。あとは勇気だけ。

大切な人生。人生100年時代。会社がサバティカル休暇の制度を作ってくれるのを待っていなくてもいいのです。

私がやっていることは正気の沙汰ではないかも?

「今後どうする予定なんですか?」「金銭的な心配はありませんか?」多くの人に聞かれる質問です。

考えてみれば、1年で多拠点生活に使った費用(住宅コストと移動コスト)は、150万円くらいかなと思うのですが、私が会社に勤め続けることで得られたであろう収入分を考えると、この余白あるライフスタイルを求めるという遊びに、少なくとも何千万円をも投じていることなります。

それは正気の沙汰ではない。かも。

でも、自分を変える、変わるようなことって、正気の沙汰ではないようなことからしか生まれないんじゃないかな。

私は忙しさを手放したら、豊かで、幸せになってしまったのです。そして、不器用な私には、ライフスタイルを180度変えることが必要だったのです。

まとめ

私が好きな美術家の李禹煥(リ・ウーファン、Lee U-Fan、이우환、1936年 – )は、余白の芸術について語っています。


余白、行間、目に見えないもの。私は、論理的に考えながらも、目に見えないもの、余白の存在を心の底から認めることになりました。

余白のある人生。その人それぞれが持つ、余白の色やかたち。匂い。手触り。それを探し求め、手に入れることが、幸せの一つなんだと感じています。

今夜もよい夢を見られますように。

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