見出し画像

今月見た映画(2021年9月)

バンクシー・ダズ・ニューヨーク(原題:Banksy does New York;2014年、米国)
バンクシーがNYに来た!神出鬼没し、一夜のうちに街中に作品を置いていくバンクシーを追う市民、一攫千金を狙うギャラリストあるいは「盗人」、そして作品を「取り締まる」警察やペンキ職人。何が作品で、何が価値で、何が正義なのかを鮮やかに問い返す、ドキュメンタリー群像劇。

SNS-少女たちの10日間(原題:V síti;2020年、チェコ)
俳優たちが10代の少女に扮し、出会い系サイトに登録。彼女たちにすぐさま集るのは、10代だと分かって接触を図る大人たち。児童ポルノや未成年への性被害の温床となる社会の闇をあぶり出し、実際に警察をも動かした力のあるドキュメンタリー。

玩具~虐げられる女たち(原題:노리개;2013年、韓国)
韓国芸能界にはびこる性接待を告発する映画。「花より男子」でブレイクした後、性接待を原因に非業の自死を遂げたチャン・ジャヨン事件がモデルとなっていて、決してポルノ的にならない視点が秀逸。「闘う韓国映画」のリストに入れたい作品。

KCIA 南山の部長たち(原題:KCIA 남상의 부창들;2021年、韓国)
金載圭(キム・ジェギュ)による朴正煕大統領暗殺事件の顛末を追ったサスペンスフィクション。金の私怨が原因とされることもあるこの事件。映画では、国民の民主化デモに軍事介入するという朴正煕の方針に終止符を打つ、人権派としての金が織り込まれています。

オール・アイズ・オン・ミー(原題:All Eyez on Me;2017年、米国)
やんちゃな若者を指すスラング ❝THUG❞ の原語となる ❝The Hate U Give Little Infant Fucks Everyone(子どもに向ける敵意が全部をクソにする)❞ のタトゥーを胸に刻み、米国の黒人街の現状をラップに乗せて叫び続けたラッパー・Tupacの短い人生を再現したフィクション。元ブラックパンサーの両親から受け継がれる闘魂とか、闇取引のクソさに囲まれながら貫かれる人間らしさとかが、胸を突く。

コレクター 暴かれたナチスの真実(原題:De Zaak Menten;2016年、オランダ)
「アンネの日記」ですっかり「ナチスはドイツ人の罪」モードだった戦後のオランダで、オランダ人もナチスドイツに積極的に加担していたということを暴露することになった「メンテン事件」をもとに構成した法廷サスペンスドラマ。戦時中、この映画のようにナチス党員たちによって盗まれた、または安く買い叩かれた東欧やユダヤ人の文化遺産は、まだ多くが失われています。

<映画で学ぶ英語>

With the panthers, it wasn't that we had guns or black leathers. It was because of our message, we were transforming people's minds. They're gonna come after you with everything you love. They're gonna give you the tools that you need to destroy yourself.

(政府がブラックパンサーを怖れたのは、私たちが銃を持ってたり黒革ジャケットをきていたせいじゃない。私たちのメッセージが、みんなの考えを変えてることを怖れてたの。奴らはいつまでも追ってきて、あなたの愛するものを奪っていく。奴らはあなたの欲しいものを与えて、自分を滅ぼすように仕向けるの。)           —オール・アイズ・オン・ミーより

去年や一昨年の今頃見ていた映画。時間が経つのは早いなあ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?