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景品を横取りする

最近のわたしはというと、良いことそうじゃないことがあって、ほっとひと息つくと、そうじゃない方に引っ張られた。



随分と前から子宮頚がんを患っていたおばが若くしてこの世を去り、「若くして」が、かなしい気持ちに言葉にできないような苦しみを含ませた。




もう言葉を交わすことができない彼女を愛おしそうに抱きしめたあと、おじが照れながら言っていた。




「結構、いい嫁だったよなぁ」




子はおらず、2人で完結している生活の中で、家事はどちらかというとおじの方が得意だったと聞いていた。
キャリアウーマンの彼女を支える俺、的なことを心地良さそうに話すおじの横で、わたしたちはこれで上手くやっているの、と満足そうに微笑むおばは、わたしからすれば、いい旦那と、いい嫁で、この先も理想のふたりでいる。




おじがひとりで生きていかなければならない現実が確かにここにあるが、わたしたちは家族として彼を支えられると信じている。



何も手につかない日が続いたので、ゴルフコンペの景品の湯豆腐を横取りして簡単に食事を済ませたが、手間に見合わない異常な美味しさで、またほっとひと息つく頃には少しだけ気持ちが晴れた。

【平川屋の湯豆腐】

専用のお水と一緒にお鍋に入れて、角がなくなるまで火にかけるだけ。
生姜好きは粗く削って大正解、小葱、専用のぽん酢でいただきました。
おいしすぎて、一丁食べました。

ごちそうさまでした。

えみこ

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