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【創作小説】肉屋の正義の味方(リフォーム詐欺③)

リフォーム詐欺編の初回こちら⬇各回の終わりに続きの貼り付けがあります。

前回こちら⬇

津久子は、大きめの目をキョロキョロさせながら、歩いていた。街中を。

津久子が親しくしているトヨ婆ちゃんの家がリフォーム詐欺に遭ってから、1週間が経とうとしていた。

普通のリフォーム会社なら、もらった領収書、契約書の住所や電話番号が確かなもので、連絡できるはずだ。なのに、婆ちゃんの家を直した(フリ?)のリフォーム会社は、契約書の住所にも会社はなく、電話番号もデタラメだった。

婆ちゃんは、貴重な蓄えを一部なくしてしまった。

独り暮らしの婆ちゃんに、何をするんだ。

津久子は、赦せなかった。遭ったら柔道技をかけて、想像上でミンチにしてやる。

そして、警察に突き出してやらねば。

あれから、婆ちゃんは警察に相談したが、会社の手掛かりがなく、今のところ泣き寝入り。
敵も手馴れたものだった。

ある日、津久子は 近所の大型スーパーの近くを通っていた。すると、何処かで見掛けた男たちがいる。
じーっと見てると思い出した。
リフォーム詐欺の連中だ。
津久子は、目を離さない。確保できる隙を伺う。男たちは、気づいた。
彼らは、津久子に気づいて(ギョッ)としたような表情をし、目線を逸らし、それとなく近くに停めてある軽トラに近づく。
そして、そっと軽トラに乗り込むと、交通違反も気にしない勢いでスタートさせた!

津久子も、慌てて乗っていた自分のスクーターのエンジンを全開にする。

サクラ商店街近辺の大カーチェイスが始まった。
「おい!そこの人!あの軽トラ!リフォーム詐欺だよ!警察に連絡して!!」
道すがら、津久子は、商店街の知ってる顔に叫んでまわる。道路は(なんだ?なんだ?)の見物人の人だかり。
そのうち、ラーメン屋の若造のケンちゃんが、それを見て、大きく首を縦に振って、配達用のバイクにまたがる。何かする気だ。

大チェイスが続く。縦横無尽に一同は走り回り……やがて、
路地の向こうで、ケンちゃんがバイクで先まわりし、通せんぼしていた!
その道を諦め、犯人たちは、車から降りて、脇の空き地へ向かう。
追うケンちゃんと津久子!


………確保!!


津久子は、犯人の1人を腕ひしぎ十字固めで固め、ギブアップさせた。大人しくさせるため、みぞおちに一突き。
「大人しく捕まらないと『ミンチ』にするよ!」

ケンちゃんは、もう一人の犯人を飛び蹴りにした。

ピーポー、ピーポー、……

警察車両が到着。

「あのね、犯人さん、お金に困ったんだろうけど、働き口なら贅沢言わなきゃいくらでもあるのよ?犯罪者と3K、どっちが良かった?」



    リフォーム詐欺の編 おわり
        次の編に続く

トップ画像は、メイプル楓さんです✨
    ありがとうございます🙇☺️

©2023.7.30.山田えみこ

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