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元イクメンパパだった夫。子育てを終えた今、地域の子供たちに愛を注いでいる。

「すごくショックなことがあった・・・」

と、夕食時に夫がぽつりと呟いた。

「なに?何があったの?!」と心配して聞くと、夫は「今日、仕事中にこんなことが会って・・・」とぽつりぽつり語ってくれた。

以下、夫の話。

今日、仕事で外出したときの出来事。

車を停めていた駐車場の横に、子供が遊べるちょっとした公園があり、そこの遊具で小さな子供達が楽しそうに遊んでいた。

夫は、外出先での仕事を済ませ、車へ向かって歩いていたら、遊んでいた子供の一人が遊具から落ちて転んでしまい、びぇーんと大泣きしたそうな。

夫はビックリして子供のそばに駆け寄って行き、泣いている子に声をかけた。

うぇーんうぇーんと大声で泣く幼い子供。

この時、夫の中でぱちんとスイッチが入った。

実は、夫は子供が超大好きな人で、元祖イクメンなのだ。

もしもイクメン大賞シニアの部があれば、おそらく全国一位になれるくらいの子煩悩な人である。それも、男性にありがちな「独りよがりな子煩悩」じゃなくて、母親の私も安心して子守りが頼めるレベルの、非常にバランスの良い子煩悩さ。父性と母性を両方兼ね備えた超越したイクメンぶりなのだ。
だから私は、息子がまだ幼かった頃は、夫に随分助けてもらった。息子も幼い頃からお父さんが大好きで、休日はよく二人で遊んでいた。

そんな風なので、今でも夫は、街で小さな子供を見ると目を細めて「可愛いなぁ」とニコニコしている。初めて会う赤ちゃんや幼い子供たちも、夫と目が合うとニコニコして、そのうちにキャッキャと笑いかけてくる。夫は昔から子供に好かれるおじさんなのだ。あれは天性のものだと思う。

だからこの時も、夫は泣いている子をギュッと抱きしめて「よしよし、大丈夫だよ」と慰めてあげたい衝動に駆られた。もしもこれが自分の子なら、間違いなく胸に抱いていただろう。

しかし、目の前の子は自分の子ではなかった。他人様の子だ。

そんな余所様のお子さんを勝手に抱っこしようものなら、このご時世、大変なことになる。犯罪者だ。だから夫はじっと耐えて堪えた。

でも、子供は大泣きして顔を真っ赤にしている。大変な状況だ。

どうしよう・・・。どうしたものか・・・。

・・・と焦りまくってハラハラしていたら、突然、向こうからママらしき女性が、ものすごい勢いで走ってきた。

遠くの方で若い女性のグループが大声で立ち話をしていたのだけど、その中の一人が泣いている子に向かって猛スピードで走り寄ってきたのだ。

そのママさんは、泣いている子をサッと掬い上げて抱きかかえると、夫をギッと睨み付け「フン!」と言って、ママグループの方へ走って戻って行ったそうな・・・。

一人取り残された夫・・・。

まさか、見ず知らずの人からこんな対応をされたことは初めてで、夫はかなりショックを受けた。

夫曰く、そのママさんは「何してるのよ!このジジイ!うちの子に触るんじゃるねーよ!」と言わんばかりの険悪な雰囲気で、まるで般若のような怖い表情で睨んでいたのだとか。(汗)

「『あっ!すみません~』とか『ごめんなさい~!』とか『ありがとうございます~』とか、何か言ってくれればいいのに、睨み付けて『フン!』だよ。お互いに知らない者同士だし、こっちも心配して様子を見てただけなんだから、普通に声をかけてくれればそれで済んだのに…。こんなに悲しい思いをしたのは初めてだった。」

と淋しそうに私に語った。

これが、夫が体験したという「ショックな出来事」の一部始終であった。

◇◇

この話を聞いて、私は夫の気持ちは痛いほどよく分かるし、また一方で、若いママさんの気持ちも何となく分かる気がした。だから、私はなんとも複雑な気持ちになった。

夫は還暦を超えたバリバリのおじさんだから、若い人から見たら「今どきの嫌なジジイ」に感じられたかもしれない。それに世間では、年配の男性というと、ポテサラおじさんから変質者まで、嫌われるタイプの変な人ばかりが話題に上がっているから、【おじさん=母子の敵】みたいに思われているのかもしれない。

でも、世の中には、夫のような純粋に子供が好きな元祖イクメンおじさんもいるのだ。

全部が悪い人ばかりではないんだよ…。

「誤解されて淋しかったね・・・。」

私は夫を心から慰めた。

◇◇

夫のハートからは、いつも子供達への愛が溢れ出ている。

それも世界中の子供達への純粋な愛。

そういう愛に溢れたおじさんも世の中には存在することを知って欲しいなぁと思った。

こんなことがあったけど、夫は相変わらず、目の前にいる知らない子供たちにも、分け隔てなく無償の愛を燦々と注いでいる。

自分も愛情をたっぷり受けて育ってきたからこそ、自分の子供にも同じように愛を注ぎ、子育てを終えた今は、地域の子供たちに愛情を向けている。

だから、邪険にしないでね。

夫のようなおじさんが社会に増えていけば、若い親世代も安心して子供と向き合い、子育てを楽しめるように変わっていくだろうし、また、子供たちも地域の大人たちに見守られてスクスク健やかに育っていくだろうと思う。

そして、夫へ。

これからも、あなたの大きな愛で地域の子供たちを温かく包んで見守ってあげてね。

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