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初めての3秒間

最後の一音が消え、とてつもない緊張がほどけ、やり切った達成感とこれはいける!!と思えたあの瞬間はドキドキだった。

中学1年生で舞台に立ったNHK全国音楽コンクール通称《Nコン》

初めての予選大会結果は失格。


中学1年生。どの部活に入ろうかと悩んでいた時、初めてできた友達に「合唱部に一緒に行ってみようよ」と誘われ、音楽が好きだった私は誘われるがまま見学に行った。

歌を歌うことが好きだったためその後は他の部活を見に行くこともなくそのまま入部した。同い年の子は相性が合う人達ばかり。先輩達は癖がある人が多いなと思っていたが、同じパートの先輩は落ち着いていて波も立たないパートだったため居心地もよかった。

合唱部は私が入部した時点で発足から3,4年しか経っていないホヤホヤな部活であった。しかし先生はスパルタ。練習日も週5はあったと思う。

ソプラノパートの先輩達は特に上手な人がいた。(私はアルトパート)みんなの憧れになるような先輩たちだ。私は先輩と仲良くなるのが下手だったので遠くから見ているだけだったが、、、

部活で歌を合わせる時もとても響きと声量がある歌声が音楽室に響き渡る。コンクールの本選も絶対いける!!そう確信していた。

迎えたコンクール当日。

人に審査されるなんて初めての経験である。

舞台に立ちライトがみんなを照らす。とてもドキドキした。音程を外してしまったらどうしよう。声が出なかったらどうしよう。そんな不安もあった。

最後までみんなで1つの歌を歌い上げることができた。

とても気持ちよかった。

これは絶対いける。そうみんなで思っていた。

審査発表の時が来て最初の発言で気持ちが凍った。

「1校、時間オーバーで失格となります」

ドキドキした。

自分たちの学校だった。

とても悔しかった。


後日1通のお手紙が合唱部の元へ届けられた。それは審査員の方からだった。

内容は予選での歌について。《とても素晴らしい歌だった。まだ合唱部ができて日が浅いにもかかわらず、もうこのレベルまで来たのか》と。十何年も前のことなのでうる覚えにはなるが、3秒のオーバー(5秒だったかもしれない)で失格になってしまったが、その後顧問の先生も気持ちよくて最後時間を気にせずにのばしてしまった。と言っていた。

予選を突破するよりも最高の合唱を届けられたことは本当に今でもかけがえのない時間だったと感じられる。

3年生まで合唱部を続け、予選も突破できたが、1年生の時に経験した《時間オーバーによる失格》この経験は後にも先にもこの一回だけだった。


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