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【鎌倉殿の13人】三谷幸喜さん《最終回翌日 ラジオ出演》全文


12/19 TOKYO FM『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』に三谷幸喜さんゲスト出演

鎌倉殿の13人最終回(12/18)の翌日、
タイミング的に《聞きた過ぎる》貴重な話。書きおこし
(三谷さん部分 全文) 

※あくまで個人作成の記事であり公式ではありません



※以下、最終回他ネタバレあり


印象的エピソード
・佐々木の爺ちゃんと平知康がいたくお気に入り
・伏線はってるものもあるが、そうじゃないものもある
・政子の演説シーンは史実へのエクスキューズまで
 考えていた
・ラストシーンの答えは三谷さんにもない



【トーク内容】

◼️冒頭

三谷さんから
「リスナーの方はどの程度”鎌倉殿視聴者”と
 想定して話した方がいいですか?」と確認
山崎さん
「リスナー全員視聴者というテイで構いません!」
 ナイス誘導

というわけで、全員視聴者前提での
ディープで濃いお話となった。山崎さんに感謝!!

三谷さん)
・8月に予定どおり脚本脱稿
・鎌倉殿が終わり昨日はいろんな役者さんから連絡あり
・坂東彌十郎さんはしばらく放心状態だったと聞いた
・僕も少し放心状態

山崎さん)
・最終回を見て、テレビを消して1時間程 放心状態



◼️ラストシーンの画面が真っ暗になるところ

三谷)台本には無く演出の吉田さんのアイデア

政子のすすり泣きの中、画面が暗くなりそのまま完

人が亡くなる時に最後に残るのは聴覚
義時が最後に見た世界、聴こえていた世界を表現



◼️義時と義村の最後のシーン

三谷)二人のシーンはお笑いパート笑
山本耕史の毒を飲んだような芝居は上手だった

キノコ 忘れない 絶対



◼️鶴丸が戦場で死んだように見えるシーン

三谷)できるだけ死んだ感じにして下さいと
お願いしたら、本当に死んだかのようになっていた 笑



◼️義時と政子の最後のシーンについて

リスナー)義時は地獄に落ちた?救われた?

三谷)地獄に落ちたかは分からないが(義時は)
嬉しかったのではないかと。

彼が亡くなる時に聞いて一番幸せに感じる言葉は何だろうかと考え、お姉さんに言ってもらったのは、
「泰時はあなたに一番似ている」

僕も息子がいるが、
自分が義時ならその言葉が一番嬉しい

親子の話は今まで書いてなかった。
初めて息子ができて父親になり、
ドラマに相当影響している

政子「でもね、もっと似ている人がいます…。 あなたよ」



◼️北条の家族がテーマであることについて

三谷)最初は家族の話で、
途中から御家人達の話が続くので、
僕自身これが北条家の話だということを忘れていた

途中でこの物語はどのように収束していくのかと
改めて考えた時にこれはやっぱり北条なんだと


北条の話である理由

(47回演説シーンの背景より)

三谷)なぜかというと、
有名な政子演説の内容を、どこにも書いていないが、
義時はそれをどんなふうに聞いていただろうか
ということが気になり始めて、

やはりこれは北条義時の物語でもあるわけだから、
あの演説の時の義時の思いみたいなもの
きちんと描かなくてはいけないと思った

お姉さんは、弟のためにあの演説をしたんだと
改めて考えるようになって、そこから逆算して、
そうだよなやっぱりこれは兄弟の話
一家の話なんだというところに戻った。

あの(演説)シーンは
北条家の人しかしゃべっていない



◼️大江殿目が開く

三谷)大江殿の目が開いたのは台本に書いてなかった
あ、目開いちゃった」って 笑



◼️現場に見に行くことについて

三谷)現場はほとんど行かなかった。
あんまり行っちゃいけないというのがある。
行くと演出家の方が嫌そうな顔をするんですよね。
気のせいかもしれないけど笑 

脚本家が行くと脚本家が全部正解を知っている
みたいな感じになっちゃって、
せっかく皆でアイデアを出し合ってるのに、
それは不正解ですとジャッジされちゃう感じ
なるのではと思ってなるべく行かないようにしている



◼️史実との兼ね合いについて

三谷)たまにハメを外すが、少し前までは史実通りじゃないといけないと思っていた。

基本は本当にあったことをキチンと描くことが、
大河ドラマのやるべき
ことだと思っていたけれど、
今も(そういうふうに)思っていないということは無いけれど、

政子の演説にしても、本当はあんなこと言ってないわけで、でもそっちの方が面白ければそっちの方がいいじゃんという。やっぱりドラマなので、

ドラマの面白さを優先するという方に
今回やってみて傾いてきてる


とはいえ、
史実としてのエクスキューズも必要だと思うので、

《彼女の読まなかった草稿》は残って、

《彼女が語ったこと》は残っていない
 (メモなどしないので)

だから結局、史実として残っているのは
彼女の読まなかった原稿だけが残った
というふうな考え方をすれば、

あながち史実をないがしろにはしていないと考えた




◼️思ったより面白かったシーンは?

三谷)平知康が井戸に落ちるシーン

一度クランクアップしたけど、
もうちょっと見たいと思って 笑  
最後にもう一度出てもらった

吾妻鏡に出てくる謎の押松という人で、
鎌倉のことをよく知っていた何だか分からない謎の人

だから鎌倉に住んでいた人ではないかと
じゃあこれ知康にしちゃおうと
だからクランクアップしたのにもう一度来てもらった 笑

29話 美しいフォーメーション ひじょうに素敵
公式Instagram
30話 トキューサの球がクリティカルヒット
色々災難に見舞われ 無事にクランクアップ
と、思ったら48話で押松役でまた呼ばれる 



◼️佐々木の爺ちゃんに3回出てもらう

三谷)佐々木の爺ちゃんが大好きで、
あの方(かんすおんさん)はお会いしたことなかったけれど、なんて素敵な俳優さんなんだと。

最初は歯抜けのお爺ちゃんで、
本当はもっと若い方なので、
これはちょっと若い姿も見てもらいたいと、

佐々木の爺ちゃんの子供という設定で医者の役で
頼家の病気を診察する役で出てもらって、

ちょっと若くなった爺ちゃんの子供が、
そこから歳を取って、やっぱりお爺ちゃんになって
最終回も出てきたという 笑

その方(かんすおんさん)に出て欲しかったから 笑

物語序盤に“言語不明瞭”な武士・佐々木秀義役
特殊メイク凄い〜


一以下作中のセリフ一
第4話「矢のゆくえ」、
源頼朝(大泉洋)の挙兵に加わった秀義は、
安達盛長が「(息子4人は)いつ、こちらに到着する」
と聞くと「あさ!」と発言
 
しかし、夕方になっても佐々木の息子たちは現れず。
義時は「あの~、佐々木殿は『朝』ではなく『さあ』とおっしゃってるのではないですか」と察する

北条時政が
「そうなのか。いつ来るか知らないのか」と確かめると、
秀義はハッキリと「さあ!」。

時政は「紛らわしい!」と憤った。  
佐々木秀義の孫の医者役で2回目登場
佐々木秀義の孫の医者役が歳を取り 3回目登場

「麻のぉ 毒うっ」独特の言い回しサイコー 笑

気づかなかったが、
佐々木の爺さんを調べていたら伏線になっていたと判明w

秀義「あさ!(朝)」→医者「アサ(麻)」。
“音”は同じ台詞。康すおんさんの台詞回しも
「あさぁ」「アサァ」と同じように聞こえ.
4話と最終回48話での“ロングパス伏線回収
毒盛られた人と盛った人に挟まれる



◼️役者さんについて

僕がリクエストして出ていただいた方と、
そうじゃない方もいて、
大河で初めてお仕事させてもらったりする方もいて、
面白いなと思って見ていると、役が広がっていく

やはり俳優さんにいつも書かせてもらっている
というのを感じる



◼️源頼家役の金子さん

山崎)頼家すごかったですね!

三谷)金子さんのこと知らなかったけれど
素晴らしかった。素敵な方ですね、
また一緒にお仕事したいと思います

源頼家(金子大地さん)
「先輩ばかりの中、将軍として前に座ることに緊張した」と、
後日談で金子さんが話されていたが、
見事に、強く迫力のあるニ代目将軍頼家だった
普段とのギャップに驚く。役者さんってホント凄い!




◼️視聴者の考察について

山崎)源実朝と和田殿の関係性はハル王子とフォルスタッフなのでは。シェイクスピアから来ている?と
世間で話題になっていたが、
そういった視聴者の反応は見ているか

三谷)考察は見ている
当たっている時と、当たってない時があるが、
この考察いいなと思う時は、それをあたかも
《僕が考えていました》というように
披露することはありますよね 笑
(※多分冗談w)

皆、僕がすごい伏線を最初から張ってる、
すごい計算していると思って見ている方もいるけれど、

そういうのもいっぱいあるけれど、
そうじゃないのもいっぱいあって、

修善寺というタイトルの回で、
善児が死ぬから終善児と、そこかけてるんじゃないか、三谷スゴイなって言われていたけれど、
そんなの考えもしなかった。あーなるほどな!と笑



◼️最後のシーン

三谷)最後の、政子が義時が薬を飲もうとするのを
止めるというのも、

これ以上人を殺めるのをやめなさいと
ブレーキをかけるためにそうした
っていう
考え方もあるし、

頼家の死に対する責任を取れって言ってる
ふうにも取れるし、


面白いのが、
僕の答えは何かって言うと、僕にも答えがない

僕の頭の中でそのシーンはあるけれど、
その本当の政子の気持ちというのは、
僕にもわからない

本人達の気持ちになって書いているというよりは、
俯瞰で書いているケースが多い



鎌倉殿が最終回を迎え、絶賛ロス中
繰り返し見て味わおう、、
こんな凄いもの見てしまい、
いまだうまく言葉にならず
まだまだ心は鎌倉殿でいっぱい
素晴らしい作品と一緒に走れた幸せな一年





おわり

鎌倉殿の13人で知った【源実朝】の和歌について


和歌といえば 武士出身 【西行】も知っておきたい 
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「西行」と「鎌倉右大臣(実朝)」と応えたということで、和歌の名人西行について、
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