見出し画像

思っていたよりも簡単にこぼれていく。



 思っていたよりも簡単にこぼれていくことって、結構たくさんある。年齢が若かったり、人との別れの機会が少なかったりする、まだ幼い段階では、捨てきれない少しの期待にすがったりするんだろうけど、大人になってくるとそういうことも減ってくる。物事に変な期待を持たなくなることもあるとは思うけれど、自分一人ではどうにもならないこともあると気づいて、物事を冷静にとらえられるようになるということなのかも。




トモダチ

 学生の頃に知り合って、付き合いの続いている友人の数。両手足の指使って数えたら、指の方が余る。
 あの頃は、学校という閉鎖された空間の中でなんとなく、近くにいるのがその子だっただけで、環境が変わったら簡単に一緒に居る相手は変わっていくのだと感じた。地元は小さな田舎町。保育園を真ん中に挟む形で、中学校と小学校が建てられていて、転校というイベントでもない限りメンバーは変わらない。その中で、一緒に居る相手はだいたい、同じ部活の子や、帰り道が同じ子たちだった。
 高校は、同じ中学から進学する人がいない学校を選んだ。中学の頃を知っている人がいなければ、陰でひそひそと変わったねと言われる心配もなければ、誰かの目を気にしたり、気を遣ったりする必要もなくて、楽でよかった。同じ中学から入学してきた子たちは、すでにグループになっていて、中学でやっていた陸上を通じて知っていた子たちに混ざってごはんを食べた。少しして、誰が見ても陽キャと言われるような、クラス内でのカーストが上位に入る、目立つ子たちのいるグループに入れてもらうことになった。1年のうちに何度か仲間割れがあったし、クラスが変わったらあることないこと出して陰口を言われるようになった。



SNSで知る近況

 久々に連絡してきたと思ったら、恋人のことを”旦那様”と呼び、「ふざけて呼んでるだけ。本当に結婚することになったら、報告するからね!」と言っていた、あの子の結婚はSNSで知った。なんだ、教えてくれないじゃん。大切な親友だなんて言いながら隠し事をして、心の中でわたしに勝ち誇った顔をして、見下していたことをわたしは知っている。でも、直接伝えたときに、自分のことのように喜んでくれる人じゃないなら、伝えない方がマシなのかもね。嬉しいことであればあるほど。彼女の、高校時代のわたしへの対応がもう少し違ったならば、そんなに彼女の言動を斜に見なくてもよかったのに。なんて、人のせいにしてしまって、わたしって嫌な人だな。彼女は、わたしのこんなところまで見透かしていたのかな。
 わたしが、人生の岐路に立って、大きな選択をして。ライフステージが変わるとき、直接伝えたい人って誰なんだろう。その人はまっすぐに受け止めて、一緒に喜んでくれるんだろうか。



歴代の元カレたちよ

 わたしの両親は高校で知り合って、結婚した。結婚までにもいろいろあったんだろうけれど。だから、わたしの中では両親のように、学生時代の恋人と長く付き合ってゴールインがなんとなく理想の姿だった。すべての元カレたちに対して、少なくとも一度は”この人と結婚出来たらいいのに。”と思っていた。

 他校にファンクラブがあって、勉強もスポーツもよくできたあの子。3か月以上続くことはなくて、くっついたり離れたりを繰り返していた。彼の口から、わたしに向けて好意を伝えられたことはどれくらいあったのだろう。下駄箱を使ってする文通はけっこう好きだった。高校に入ってから付き合った彼女について、「わたしに似ている」というのを聞いて、いままで引きずっていた未練なんて、最初からなかったみたいに彼への気持ちは引いていった。

 好意をことばにしてくれたあの子。友達と会うと出かけた先で元カノと会っていた。最後は、就活終わって暇になった高校生と、試験に追われる看護学生で、時間の使い方が合わなくなって別れてしまった。アパートに置いてあるもの取りに行くと会いに来て、早めのバスで帰ると言ったのに、最後のバスの時間までいろんな言い訳して居座っていた。その間に、わたしの気が変わるのを待っているようだった。肉まんを渡して、半ば追い出すようにさようならをしてしまった。

 恋愛感情の好きがよく分からないと言って、わたしの告白には「付き合っても無害そうだから」という理由で付き合ってくれたあの人。人畜無害という言葉がぴったりで、けだるげな雰囲気が好きで、没頭できる趣味があるところが素敵だった。思考がややステレオタイプなところは、少しだけ苦手だった。環境が変化したことで、少し気持ちが冷めていることに気づいて、お別れすることにした。「待ち伏せとかしないでね。」なんて言われて、世界一温かかった空間に、世界一冷たい風が流れ込んできた瞬間だった。

 誰よりも、結婚に近づけたと思ったあの子。全人類にモテたくて、基本的にすべての人にやさしい人だった。わたしを特別扱いすることもなかった。愛おしいという感覚が大きくて、大学生のうちにしかできないことや、会えない人もいるだろうからと、基本的に彼の行動には寛容でいた。その間に、元カノとの関係も再構築していたなんて知らなかったけど。就活を機にフラれたあとも未練があったし、離れるまでは必要なときは助けると決めていたから、どっちつかずな関係を続けていた。そんな沼から引き上げてくれた人がいて、彼への気持ちは少しずつ小さくなくなっていった。彼がアパートを出ていく日、最後だからと顔を合わせにきた彼に簡単に挨拶をして別れた。その日の夜、インスタのストーリーに”人生最大の後悔かも。”なんて投稿するから、わたしのことかなぁなんて思っちゃって。でもね、わたしの嫌がることはしなくて、大切にしてくれる人と一緒になるんだよ。

 相手との間に、生まれていく温度差に、どんどん心は冷たくなっていって。自分がその人のことを確実に好きではなくなっていくのが、手に取るようにわかるあの瞬間。直接、嫌いだと言われるよりも、寂しくて悲しい瞬間かもしれない。好きな気持ちがないと一緒にはいられないけど、好きなだけでは一緒にいられないって、こういうことだよなぁと実感する。





 いつもより長めになっちゃったけど、最後まで読んでくれたみなさま、ありがとうございます。人間関係って、ほんとに難しいよね。悩みはどこに行っても尽きないし、わたしは相性の合う合わないがはっきり分かれるタイプで、仲良くしてくれる子は本当に前々前世くらいからの付き合いなのでは?と思うくらい相性抜群で、合わない人たちからは猛烈に嫌われるみたいな人間なのです。でも、こんな風にわたしとの未来が途絶えてしまった人たちとの間にも、ちゃんと思い出はあって、あのときは幸せそのものだったんだよね。この記事に登場したみんなとは、きっと交わり会うことはないけれど、その道の先で幸せであることを祈ります。
 今年は、みんなからの質問に答えていくような記事も書いてみたいな。
 きょうも読んでくれてありがとうございます。またね。





この記事が参加している募集

#スキしてみて

526,895件

わたしのペースで、のんびり頑張ります。よかったら応援もよろしくお願いします。