ナンバガ解散の日に思うナンバーガールっていう老舗ブランドの力
NUMBERGIRLが今日解散する。解散ライブ『無常の日』のチケットは誰が当たってるのか謎というほどの即完売。まさに無常。ナンバーガール(以下ナンバガ)って、こんなバンドだったっけ?と地上波の朝番組にて爆音で演奏する4人を見ながら思う。
ナンバガは一度解散している。メジャーデビューからおよそ3年の2002年のことだった。当時の音楽誌にはくるり・ナンバガ・スーパーカーが同世代のバンドしてよく括られていた。私がついに手に取ったのは解散した後で、ひとまずベストと3rd「NUM-HEAVYMETALLIC」を買った。無骨さと荒々しさとちょっとの不気味さにしばし放心した。そして、好きになった。
でも周りには同じような人は見つけられなくて、高校の時同じくバンプの大ファンだった子におすすめ貸して!と言われたもんだから貸したのがこのアルバムだった。翌日「なんか・・・怖かった・・・」と返された時のあの子の真顔と私の冷汗の感触は、20年近くたった今でも忘れられない。
ナンバガは2019年に再結成した。私はようやく今年の春に福岡での音楽フェスで彼らを目撃した。トリを務めた彼らのステージはその日一番といえる大勢の観客の中で盛り上がりを見せた。ナンバガがわかる人が九州にもこんなにいたのかと、改めて思った。
大体、ナンバガってこんなバンドじゃなかったのだ。ナンバガって言ってもほとんどの人が『?』だったし、大衆向けの音楽かというと決してそうではないし、だからこそ好きという人と出会えたときの嬉しさがあった。(この20年で3人いました)間違っても地上波に出るようなバンドじゃない。
ナンバガって、ツチノコみたいなかんじ。見たら俺見た事ある!って言いたくなる。だからおれ見た事ない!1回見たい!ってなる。1回見たら、ナンバガ実在した!ってなる。それがここ数年、SNSで多く見受けられるようになった。それが20年前との違い。
ナンバガのパーカーがドラマの衣装になってたりするんだ。それだけでニッチなファンは喜んでツイートする。ナンバガがわかる人がスタッフに居るらしい!となる。ゴッチも星野源もあとあの芸能人もナンバガファンらしい!とかなる。そうやってナンバガは【ナンバガ】という希少ブランドに成長していく。
ナンバガの良さって、たとえば向井秀徳の独特な詞の世界観とか、ひさこさんの圧倒的ギターテクとか、ソリッドでナーバスでエキセントリックななんちゃらとかまぁ色々あると思う。でもそんなの全部こじつけであって、それをいいと思う人もいれば思わない人もいるだろう。好きということはただの共鳴。好きだというリスナーや、それをとりまく世間の人達が勝手に評価して、ムーブメントを作るんである。
いつの間にかナンバーガールというブランドが価値を上げていることに4人が1番驚いてるんじゃないか。だから中尾さんは新曲作りたいなんて言ったんじゃないか。ニコニコした4人を見てそう思う。
全てこじつけといいながらも、ナンバーガールの素晴らしさをひとつだけ言いたい。ナンバーガールははじめから今日までずっとナンバーガール然としていたこと。いつまでも「This is 向井秀徳」と言っていた。「ドラムス、アヒトイナザワ」から曲がはじまる。ツチノコだってただツチノコで在るだけで騒がれるために生きてもないだろう(ホントに居るのか知らんけど)。20年経っても空白の期間をもってしても、ブレないナンバーガールらしさというのがど真ん中にあった。それがいつまでも素敵だった。
何回結成してもナンバーガールはナンバーガールでしかなかった。そこにきっとノウハウはない。世論なんてどうでもいいよといわんばかりの姿勢についていきたいものが勝手についていく。名前の前にThis isと叫べる人が日本にどれだけ居るだろう。それは自分軸とかが叫ばれる今の時代に必要な潔さであり、この令和になってナンバガが注目されたのも偶然ではない気がして仕方ない。
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(カラーコンサルタントをしています)