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夏色という概念


 久しぶりに会った同級生とカラオケに行った。4時間近く歌った後、20年前と同じくシメに夏色を歌った。私が悠仁で彼女が厚治。つまり私がハモリだ。いつもそうだった。


 「夏色」と書いた時、わざわざ説明しなくてもゆずの夏色を連想した人がほとんどではないかと思う。ブレーキいっぱい握りしめるやつである。ゆずの夏色という曲は、1998年の発売当時から大変センセーショナルだった。というか、彼らの存在がセンセーショナルだった。今でこそ路上で弾き語りするスタイルもフォークデュオという呼び名も当たり前のものになったが、ゆずこそがその先駆けでありどのデュオよりも大成功したアーティストである(って昔誰かが言ってました)。


 この曲がリリースされたころ私はまだ小学生だったわけだが、それでもすごく鮮明に覚えているものがあって、それはフジテレビのモノマネ歌合戦的な番組でどこかのタレント二人が夏色を歌っていた記憶である。誰かは忘れたがビジー・フォーでなかったのは確かだ。私は一緒に観ていた父に「今流行ってんだよ」とゆずのことを話した。私が本格的にゆずのファンになるのはもう少し後なのだが、この曲のBメロに入る寸前の粋な2拍について、この曲を作った北川悠仁って男は天才ではないか?と小学生ながらに思ったものだ。そしてあれから25年の時を経た今、夏色ってタイトルも天才の業ではないか?と、帰り道にふと思った次第である。



 そもそも、夏色ってなんなんだ。


 夏色をGoogleで検索してみると、真っ先に出てくるのは他でもないゆずの「夏色」だ。試しに春色で検索したところ、出てきたのは「春色」の意味だった。しゅんしょくとも読むらしい。秋も冬も同じで、シンプルにその季節の色についての情報しか出てこない。今の日本において、夏色とはゆずの夏色でしかないんである。これはもういっそ商標登録した方がいい。そういえば昔スーパーで「夏色とうふ」と名のついたゆず風味の豆腐を見かけたことがある。あれは確実にヤってるぞ。だって私思わず手に取ったもん。レジ持って行ったもん。そんなニコニコしてないでいい加減特許でも取っとくべきじゃないか北川悠仁、と思いつつさらに調べていくと夏色と名付けたのは岩沢厚治というので卒倒しかけた。この男、声が高いだけでもハモニカ吹けるだけでもなく、要所要所で本当にいい仕事するんである。北川悠仁が陽なら岩沢厚治は陰(※個人的見解です)。陰からこそ見える世界や言葉選びがあって、ゆずが成功した理由の一つにはこのバランスが絶対にある。


   北川悠仁が持ってきた曲に対して「夏色が見えた」と言ったように、例えば「からっぽ」という曲のインタビューでの「(この曲の結末は)結局どうなったか」という問いに対して「どうにもなってないよ、からっぽになっただけです」と飄々と答えたりする男(このインタビューでからっぽという曲が100倍好きになりました)。あとこの人の「月曜日の週末」という曲があって、言うまでもなく月曜日は一般的には週末ではないはずなんです。私はこの人のこういう感性が本当に好きなんだ。岩沢厚治には誰よりも先に夏色という単語の特許をとってもらいたい。

 

 さてパーソナルカラーでいうと、夏色とはこの右上のグループとなる。真夏というより初夏をイメージした爽やかな色たち。しっとりした雨の日に咲く花の色。青みを帯びたそれらからは涼しげな印象を受けます。

 ゆずの夏色で描かれるのは大きな5時半の夕焼け。そして風鈴の音であり、網戸越しの風の匂いであり、夜の波の音である。季節というのは必ずしも目に見えるものではなかったりするのだ。たった一瞬で散ってしまう線香花火も、ブレーキかけなきゃ猛スピードで下り切ってしまう坂も、「すぐ終わってしまう」そんな夏の立派な季語となる。あとはここに出てきてない味覚なんかもあるし、五感フル稼働で感じるのが四季である。人は目だけでモノを見ていない。そんな誰しも共通の感覚としてある「夏」をみんなが共通的認識として持つ「色」にして表現したのが厚治のすごいとこなんである(もはや厚治呼び)

(出典 https://www.uta-net.com/song/10469/)

 

   「夏色」をふと考えた時、今の私の頭に浮かんだのは文字通り「ブルーベースの夏」の色でした。紫陽花やラベンダーだったり、ベリーの実の色もそう。それは正解だけど、それだけでもないと思う。パーソナルカラーシステムは色彩学であって見えることが全てではありますが、見えることをそのまま伝えるだけの仕事とも思っていません。なぜなら人には心があるから。来てくださったお客様にはきっと、診断に来てくださった動機があるはずで、目的や展望もあるし好みもあるはずなんです。見えるものだけで解決するのなら機械でできてしまうし、そもそも見る、感じるという作業は本来人間しかできない作業なわけです。


   カラーを仕事としていると、知識や公式で頭がガチガチになる瞬間が私にはまだあります。アナリストは目に見える色を感じ取ることは大前提として、「なんか良い」「なんか悪い」という率直な動物的感覚を持つ必要もあるよなと思います。ざっくりいうと、「夏っぽい」みたいな感覚のことです。そんな自分の感じたことを人に響くような言葉で伝えること、これは個人的に大切にしていきたい部分です。岩沢厚治の柔軟さにはやはり頭の下がる思いであります。



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