タイトル_バリウム検査と胃カメラ

胃のX線(バリウム)検査と胃カメラどっちを選ぶべき?

こんにちは。フリーランサーの保健サポーターのellieです。


前回の記事各がん検診の詳細な検査内容と対象年齢・頻度に関する情報が不足しておりましたので、補足いたしました。情報不足でありましたこと、大変失礼いたしました。


さて、今回の話は胃がんのスクリーニング検査となっている『上部消化管Ⅹ線(レントゲン)検査』と『胃部内視鏡検査(胃カメラ)』のお話をさせていただきます。

それぞれどのような検査かをご説明する前に申し上げますと、私のお勧めは絶対的に『胃部内視鏡検査(胃カメラ)』です。(今回は結論ありきでお話いたします。)

上部消化管X線(バリウム)検査とは?

上部消化管X線造影撮影は、食道・胃・十二指腸の病変を調べるための検査です。検査はバリウムと呼ばれる造影剤胃を膨らませる発泡剤を飲み、下の図に示す台に横たわりながら、様々な角度に台を傾け、X線を照射して上部消化管を撮影します。粘膜に付着したバリウムが白く映り、空気やガスは黒く映り、胃の内腔の形状がはっきりわかります。映し出された形状から、狭窄や偏位・変形、炎症、腫瘍、がんなどがないかを調べます。つまり、レントゲンに映し出された凹凸による影絵から病変を判断する必要があり、病変の色や形などを直接観察することはできません。

胃Ⅹ線イメージ図_全国健保連

全国協会健保HPより)

個人的に捉えている、最大の難関は、発泡剤を含まされ、胃がパンパンになった状態で、ぐるぐると回転される台の上に横たわりながら、げっぷを我慢しなければならない点です。

胃Ⅹ線_栃木県保健衛生事業団

公益財団法人栃木保健衛生事業団HPより)

げっぷをしてしまうと、ガスが出てしまい、胃を十分に膨らませることができなくなるため、その周囲に隠れてしまった病変が見えにくくなり、適切な診断ができなくなるためです。

しかも、バリウムという造影剤は腸内にて多量に水分を吸収し、便秘症や腸閉塞を起こす危険性を持っているため、当日は下剤を処方され、なるべく早く、たくさんの水分とともに内服するよう勧められます。

なお、上部消化管X線検査で異常が見つかった場合は内視鏡(胃カメラ)による精密検査が行われます。

メリットは何なのでしょうか。

現在も、そしてこれまでも『上部消化管X線検査』胃がんの検査として最も頻繁に行われてきた理由は、手軽にできて(バスによる巡回検診も可能)、検査費用が安く、検査時間が短く、検査を行う人手も多いためです。この検査はレントゲン検査技師によって実施が可能な検査になります。多くの医療機関や人間ドック専門のクリニックにおいて複数台配置しており、比較的いつでも予約可能です。

胃部内視鏡検査(胃カメラ)とは?

胃内視鏡検査は、直径1cmほどの細長い管の先にレンズをつけた内視鏡(ファイバースコープ)を口(ないしは鼻)から挿入し、消化管の内部を直接観察する検査です。レンズがとらえた映像はモニターに映し出され、病変の大きさや形、色、出血の有無などを目で確認できるので、食道、胃、十二指腸の病変を調べることができます。また医師が必要と認めた場合は、組織の一部を内視鏡の鉗子で採取して調べる検査、生検を行います。

胃内視鏡_胃内視鏡学会

一般社団法人日本消化器内視鏡学会HPより引用)

お勧めします!と、言いながら、こちらの検査も決して楽ではありません。最大の難関はファイバースコープが喉を通る時です。通常、人間の喉は奥をつくと「おえっ」っとなりますよね。これを嚥下反射と言って意思に反したものを飲み込まないようにする反射なのですが、喉の意思に反して太くて長いスコープを喉の奥へ挿入しなければならず、多くの方がここで苦しくて涙します。しかし喉元過ぎればなんとやらで、一度お腹のなかへレンズが入ると、苦しみはやわらぎ、余裕があれば、検査モニターをご自身でご覧になることも可能です。

また、この喉をむりやり通される感じがどうしても苦手な方は、たいていの検査機関では【鎮静剤】を希望することもできます。検査を寝ながら行うことができ、検査後約30分から1時間お休みいただくことで、検査時の苦痛を緩和することができます。鎮静剤の使用をご希望される場合、酩酊状態に近い状態となりますので、必ず検査機関には公共交通機関又はどなたかの送迎で向かってください。(絶対にご自身で車を運転しないでください!)また、検査後仕事に行かれる方もいらっしゃいますが、大きな契約ごと等は避けたほうが無難です。一方、普段から多量に飲酒をされる方は鎮静剤があまり効かない場合もございますので、その旨を検査前に看護師に伝えるようにしたほうが良いかもしれません。

*鎮静剤の使用に関しては、各機関の取り決めがありますので、それぞれの検査機関の指示に従ってください。

デメリットは何か。

検査予約が取りにくいことです。胃の内視鏡検査は医師によって行われる必要があるため、検査機関によっては、予約を依頼してから、3~6か月待ちになることがあります。また、自治体によっては、検査を実施できる医療機関が限られていることから、人数を限定している場合もあります。(詳細は気送付された健診票やお住いの自治体の健診サイトをご確認ください。)

それでも私が、個人的な意見ですが、『上部消化管X線(バリウム)検査』よりも『胃部内視鏡(胃カメラ)』をお勧めする理由は、どのみちバリウム検査で要精査になった場合、胃カメラを受けなければならないのであれば、最初からより精度の高い検査を受けたほうが効率が良く、検査機関に行く機会も少なくて済むからです。また、どんな人でも「要精査」の通知を受けると、それが解消されるまで、ドキドキしますよね。そんな心配を最初から除いてくれるのが胃カメラ検査だと思っています。

前もった予約が必須ではありますが、対象年齢になった方、又は、ご自身の胃の状態が気になる方は、是非一度、胃カメラ検査を試してみてください。


以上、『上部消化管X線(バリウム)検査』と『胃部内視鏡(胃カメラ)』の違いと選び方についてでした。

(かなり私見が入っておりますが、そこはノートなので許してください。)

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