ビブリオエッセーに掲載されました②
王様のブランチで紹介されていた「カレーの時間」(寺地はるな著)を読みました。
カレーがメインというよりも、祖父と孫世代での考え方の違いに焦点が当てられています。大きなどんでん返しや、心臓がバクバクするような激しい展開はないので、強烈な刺激を期待するなら物理的にカレーを食べた方が良いかもしれません。
何気ない日常を、譜面に起こすように言語化して切り取るのはとても難しいと思います。この本に出てくる「祖父」は無骨で強がりな部分もありますが、意外な過去の出来事が明かされていく度に、読み手はその性格に寛容になることができるかもしれません。1910年代の周恩来の来日、大阪万博に至るまで時代の変遷が綴られています。
祖父でも孫でもない、作者による説教がどこかで入るかと思っていましたが、価値観の違いを綺麗事で纏めることはなく、自然体で構成されているのが印象的でした。
産経新聞web版
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