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父の寝顔

「きっとあの日がターニングポイント」
お題をいただいたものの、まったくターニングポイントが思い出せません。

ないわけではないのに。
ナースキャップをもらった日とか、
仕事をやめた日とか、
結婚や出産や病気など、良くも悪くも節目の数々。
たくさんあるのに、一つも書きすすめることができません。

そんなとき、こちらの記事を読みました。

同じお題から、こんなにすてきなnoteが生まれていたのです。

娘が生まれたときのこと、久しぶりに思い出しました。
かわいくて、生涯守り抜くって誓った気持ち。
幼少期の頃のふるまいのすべてが、かけがえもなく大切に思えた日々。

ですが正直、十年以上たつとよく思い出せません。
そんな娘も来年には中学生。かわいいことに変わりはないのだけど。

命を授かった当初の感動って、それはまったく別物でして。
守り育てる覚悟、というのでしょうか。あの頃がキラキラした日々のように感じるのです。



娘が小さかったときに。
あらためて思い出すのは、娘と父(娘にとって祖父)の姿。

私の父は、ほんとうによく娘をかわいがってくれました。
父にとっても、娘は初孫。

乳児のころ、私はたびたび実家に娘を預けていました。
昼過ぎにお迎えに行くと、娘の隣で昼寝している父の姿が!

母「ずーっと一緒にいるのよ。ずーっと一緒に遊んだあと、一緒に寝ているから。」

正直、父がこんなに娘(まご)をかわいがってくれるとは思っていませんでした。母以上に父がかいがいしく娘の世話をし、遊び相手をしてくれていたのです。

そして隣で、一緒に昼寝。
起きたときすぐ赤ちゃんの様子が見られるように、と母に言い残して。

そんな父の寝顔を見て、娘を産んで良かったって思ったのです。
正直、父が嫌いだった時期もあったけど。

子どもを産んでよかった。
命のリレーを一つ、引き継ぐことができてよかった。

命をはぐくむ家族の姿。
何十年もの時を越えて、家族の絆が透けて見えたような気がした瞬間でした。そう思えたことが、ターニングポイントだったと思うのです。

今でも、娘の世話を買ってでもしてくれる父には、感謝しかありません。
私に愛情を注いでくれたように、父は娘(まご)にも愛情を注いでくれるのです。



■この記事は、ことばと広告さんのメンバーシップ「書く部」のお題をお借りして書きました。

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