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【一日一文】ナイチンゲール「もっと子供に解放と自然を与え」

5月12日。

「クリミアの天使」と呼ばれたイギリスの看護師フローレンス・ナイチンゲールの『看護覚え書』から、一文をご紹介します。

子供たちに、新鮮な空気が入り、明るく、日当たりよく、広々とした教室と、涼しい寝室とを与え、また戸外でたっぷりと運動をさせよう。たとえ寒くて風の強い日でも、暖かく着込ませて充分に運動させ、あくまで自由に、子供自身の考えに任せて、指図はせずに、たっぷりと楽しませ遊ばせよう。もっと子供に解放と自然を与え、授業や詰め込み勉強や、強制や訓練は、もっと減らそう。もっと食べ物に気をつかい、薬に気をつかうのはほどほどにしよう。

「ロンドンの子供たち」より抜粋


フローレンス・ナイチンゲールは、近代看護教育の母を呼ばれています。クリミア戦争のただ中に、多くの看護師を率いて、自ら負傷兵の看護にあたりました。

また看護の思想を構築し、統計学にもとづく医療衛生の改善に尽力した人物として知られています。それまで地位の低かった看護師を、健康にたずさわる専門職として引き上げた功績は大きいのです。

実際に『看護覚え書』は、看護師を目指す学生や看護教員に、今でも広く読まれています。健康や生命を守る法則だけではなく、看護師の役割について明記された、はじめての本になるからです。私も、看護学生のときに精読した一人です。

さて、木田氏編纂の本「一日一文」では、看護の一環として、子どもの健康を守るための記述が紹介されています。

当時のロンドンの大気汚染は深刻でした。ロンドンの子どもたちのため、生活環境を整えると同時に、教育のための助言も行っていたことに驚くのです。子どもの生きる力を信じる言葉に、私も希望をもつことができました。

ナイチンゲールの誕生日である5月12日は、看護の日として制定されています。看護師の役割やおかれている現状について、関心を持っていただけると幸いです。



「一日一文」不定期に更新を始めます。
哲学者・木田元(きだ げん)氏編纂の本「一日一文」から、心にとまった先人の言葉をご紹介したいと思います。

ひとつは自身の学びのため。
ひとつはすこしでも豊かな気持を分かち合うため。おつきあいいただけると幸いに思います。

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