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eliaの本棚、その後の本たち

 本の街・神保町にある共同書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」で始めた「eliaの本棚」。旅立っていった本もあれば、出会いを待ち続ける本もあり。私たちの本棚に並んだその後の本たちをご紹介します。


旅の本

 旅をテーマにnoteを始めた私たち。初めは、このnoteで取り上げた本の中から、旅の本を中心に並べました。

『辺境・近境』(村上 春樹)

 「その場に立って、触れて、はじめてわかることがある。」
 この帯の一文が、旅のすべてを物語っている。

(Norikoの記事はnoteの注目記事に選ばれました)

『雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行』(村上 春樹)

 村上さんがギリシャ正教の聖地・アトスを訪ね、トルコを車で巡った旅の記録。アトスには女性は入ることができない。険しい道を歩き、修道院に宿泊する。修道院ごとに個性があり、くたくたに疲れた後で口にする食事の様子も印象的。黴の生えたパンと、それをおいしそうに食べる猫の話が忘れられない。

『ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集』(村上 春樹)

 ステイホームの時期、紀行文を読み返し始めた時に手にした本。村上さんがギリシャのミコノス島を再訪する。私もミコノス島を旅したことがあり、村上さんがこの島に滞在した時のことを書いた『遠い太鼓』を読んでいたので、懐かしく思い返した。この話の初出はJALカードの会員誌『AGORA』。ギリシャ好きで村上作品が好きな私に、学生時代の友人が持って来てくれた。まだ本棚のどこかにあるはずだ。私の地元、熊本のことが書かれているのもうれしい。

『まぼろしハワイ』(よしもとばなな)

 どこかへ旅したいなと思いながら本屋さんの旅関連のコーナーを眺めていたら、この本が置いてあった。ハワイへ行くことになり、旅の前に読んだ。

Norikoがハワイ旅行とばなな作品に触れた記事はこちら。

 Norikoがこの記事の中で、吉本ばななさんの本の中に、「ハワイの風は甘い」という言葉が書かれていた、と書いている。「どの作品に書かれていたかは思い出せないのだが、『甘い』というハワイの風に吹かれてみたいと、ずっと思っていた。」
 今この本をぱらぱらめくっていたら、その一節を見つけた!

「家に帰ってからハワイのこと思い出すと、いつもあの風に甘い匂いがついていたように思うの。」(中略)
家に帰るといつだって思い出すのは蜂蜜のようなこの甘い風の匂いなのだ。

『銀の月の下で』(よしもと ばなな)

 私もなんだか、ハワイで甘い風の匂いを嗅いだような気がしてきた。

旅と食の本

『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』(村上 春樹)

 ウィスキーの産地、スコットランドとアイルランドの旅が、村上さんの妻・陽子さんの写真と共に綴られている。アイラ島で、生牡蠣にシングル・モルトを垂らして食べる様子が、たまらなく美味しそう。
 私も一度だけスコットランドに行ったことがある。当時はウィスキーにそれほど興味が無かったので、蒸留所に行ったようなのだが、ろくに覚えていない。この本を読んで、まだ行ったことのないアイルランドにも行ってみたくなった。

『まいにち酒ごはん日記』(ツレヅレハナコ)

 Norikoの2022年の「Book of the year」の1冊。別の人からもハナコさんの料理本の話を聞き、インスタをフォローするようになった。写真もきれいで、とにかく美味しそう。

好きな作家の好きな本

『風の歌を聴け』(村上 春樹)

 「村上春樹ライブラリー」へ行ってから、久しぶりに村上さんのデビュー作を手にした。高校生の時、本好きな友人に貸してもらって、当時はさっぱり良さが分からなかった。「鼠」と呼ばれる人物が出てくるのだが、どうしても「ねずみ男」の姿が浮かんでしまって困った。
 これを機に、初期三部作と呼ばれる『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』を読み返した。

『螢・納屋を焼く・その他の短編』(村上 春樹)

 『ノルウェイの森』を取り上げたテレビ番組で、この作品の原点として紹介された短編『蛍』。村上作品はだいたい持っている、と思っていたら家になかったので、取り寄せて読んだ。この本に入っている『めくらやなぎと眠る女』という短編も好き。冒頭の描写が鮮やかだ。

『デッドエンドの思い出』(よしもとばなな)

 ばななさんの本の中でも、取りわけ好きな短編集。同じく短編集である『ミトンとふびん』に通じるものがあるように感じる。
 Norikoの記事で素敵なエピソードと共に紹介されている。

『村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた』(村上 春樹)

文庫本と単行本、2冊に

 ものすごくインドアな私は、コロナの影響であまり外出できない時期も、そんなにつらくないと思っていた。でも今思うと、自分では気づかぬうちに気持ちは疲れていたのかもしれない。そんな時期に、村上さんが綴る「小確幸」、「小さいけれども、確かな幸福」に心が和らいだ。
 その後、友人を訪ねて久しぶりに旅に出た時、岐阜の山あいにある素敵な本屋さんで、古本の単行本を見つけた。安西水丸さんとの対談を載せた「村上朝日堂ジャーナル 月報」、水丸さんイラストの栞も付いていてちょっとうれしくなった。

ことばの本

『ちいさい言語学者の冒険――子どもに学ぶことばの秘密』(広瀬 友紀)

 5月18日の「ことばの日」に合わせて、Norikoに選んでもらった「ことば」にまつわる本。

『日本のコピーベスト500』

(安藤 隆 /一倉 宏/岡本 欣也 /小野田 隆雄 /児島 令子  /佐々木 宏/澤本 嘉光 /仲畑 貴志 /前田 知巳 /山本 高史 )

 広告業界に転職し、コピーの講座に通った。講座で「好きなコピー」を尋ねられて困った。それまで意識して読んだことがなかったのだ。でも学ぶうちに、コピーの深さ、面白さにハマり、好きなコピーができた。昔の広告を知り、好きになったコピーもある。この本の中にもそんなコピーが載っている。著名なコピーライターによる解説も面白い。

夢とか、決意とか、見えないものも乗せている。(仲畑貴志 九州旅客鉄道)
愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。(仲畑貴志 九州旅客鉄道)
春は、希望の別名みたいだ。(影山光久 日産プリンス スカイライン)

「eliaの本棚」は右奥のエレベーターから3階へ

 PASSAGEには「1日店長」という制度があり、本を借りている棚主は希望すれば店頭に立つことができる。5月に初めて1日店長を体験するに当たり、勢いで大量発注。まだたくさん本棚に並んでいるので、もし気に入った本があったら、ぜひ手にとってください。本と一緒に、Mihoko撮影写真で作ったポストカードもお持ちください。ポストカードは付いていませんが、オンラインで購入もできます。(急に宣伝ですみません。紹介した本の一部はお買い上げいただき、在庫なしです)

「eliaの本棚」、その他の本を紹介した記事。

動画でレポート『eliaの本棚』

 神保町の「PASSAGE by ALL REVIEWS」にある「eliaの本棚」と「PASSAGE」の様子を動画でレポート。映像ディレクターのNorikoが撮影・編集しました。

(Text&Photos:Shoko,Video:Noriko)©︎elia



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