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演劇、映画…エンタメ業界で働きたい!できれば第一線で。と悩んでいる学生へ。業界の就職・転職事情(2019年現在)

映画、演劇、動画配信…

映画やりたい!!!!!ミュージカルやりたい!!!!!演劇やりたい!!!!!!

という人はいるだろうか。

少しニッチだが、私はそんな中の1人だった。

転職活動を通してエンタメ業界を真剣に外から見てみていた中で「学生のうちに知っていればよかった!」というところをまとめてみた。特に10代や就活前でエンタメ業界に行くか悩んでいる人の参考になればと思う。スポーツ業界も似ているので、こちらも参考になるかもしれない。(あくまで一例、参考です)

1. 日系大手で働きたいなら「新卒就活」を

日系大手を志望する場合、新卒として就活をするのがほぼ唯一のルートだ。調べてみるとわかるが、東宝や阪急の総合職はほとんど新卒しか取っていない。転職活動をしてみても、なかなか求人がないのが現実だ(2019年現在)。契約社員から総合職、というルートもあるが、結構厳しい道なので、本当に大好きで身も心もささげます!という人でないと難しい世界であろう。

<メリット>

・安定したお給料で第一線で憧れの職に就ける

・業界内で転職をした場合も圧倒的に有利

・キャリアアップを見込めやすい

<デメリット>

・会社によっては数年で配置換えがある(自分の望む部署に付けない)

・英語を使いたいなど、自分の希望は通りづらい

なんだかんだ言って、チャレンジできるのは新卒だけである。人生あとから何度でも仕切り直しができるので(特に20代)、本当に好きな人・やりたい人は、とりあえずコネでも何でも引っ張り出して、熱意と全力でチャレンジしてほしい。その時間は、絶対にプラスになるはず。飲み屋で隣で飲んでる人がもし自分の行きたい会社のひとだったら、絶対話しかけて話を聞いた方が良い。そのくらいの熱意が大事。

私はやりたい部署以外で仕事をするイメージがどうしてもつかなかったのでチャレンジすらしなかったが、今思うと、一度だけのチャンスであれば、やっておいても良かったなと思わなくもない。

2. 外資大手志望なら、数年見据えた戦略が大事

絶対に英語を使いたい、自分が好きなことだけやりたい、などのこだわりをどうしても捨てきれない場合、長期的な目線で外資大手を考えるのも良いだろう。ただ、新卒はほとんど枠がない。また、外資は給与面で中途に有利なことが多く、ある程度武器があってからの方が戦力になりやすい。個人の資質にもよるが「専門スキルを伸ばしてから転職」ということを念頭において、スキルアップをしつつアンテナを広げ、タイミングが合えば転職、という方が結果になりやすいと感じる。

外資エンタメ(ディズニー、Netflix、ワーナーなど)は、キャリア・実力次第で転職することは可能だ。が、会社によってかなりハードルが高いので、相応の戦略が必要になる。

例えば、Netflixは、前提として高い英語力が求められるので、たとえ就職をする時期を遅らせてでも、英語を駆使できる(ビジネス英語が問題なく使える)レベルにしておくことをオススメする。もちろん英語は単にツールであって、それプラスのスキルが必要だ。

<メリット>

・給与が高め(中途)

・スキル次第ではやりたいことをできることが多い

<デメリット>

・転職のハードルが高い(会社による)

・タイミングを見極め次第では縁がない

・自分のスキルと、空くポジションがマッチしない可能性

外資の求人は、ポジションや求めている人をはっきりとwebsite上に出していることが多い。数年後の求人内容と今とは違う可能性も高いが、どういう求人があるのか?どういったスキルの人が求められているのか?ロールは?など、今のうちに見ておくと良いだろう。興味があるポジションがあれば、そういう人材になれるよう、逆算して1社目を見定めるのも手だ。

もし将来的に考えが変わっても、身に付けたスキルが無駄になることはないはず。

ちなみに、転職はタイミングなので、自分のスキルをあげつつ常にアンテナを張っていないとチャンスは巡ってこない。

3. どうしてもエンタメで働きたい人へ

エンタメの会社は星の数ほどある。慢性的な人手不足なので、どうしてもこの業界にこだわりたい人は、熱意とやる気があれば、どこかに入ることはできるだろう。エンタメ業界は、中途採用で業界経験が求められることも多いので、新卒でエンタメ業界に入った場合、業界内のキャリアアップも可能かもしれない。逆に、新卒でエンタメ業界に入らなかった場合は、あまり門戸が開かれていない。例えば「マーケ職」だとしても、過去にエンタメ業界の経験がある人求む、と条件付きだったりすることも多々ある。

ただ、人手不足であると同時に、慢性的なお金不足な業界。新卒後も、昇給はあまり見込めないだろう。演劇界隈であれば、2次元ミュージカルは他に比べて潤っているという話も聞くが、業界内の比較の話なので、基本的には大手や外資大手以外は「大好き!!!!!!!!」に加えて、身も心もささげる相当な覚悟がないと、働くのは難しい業界だと感じる。

また、日系大手の一部(東宝、ホリプロなど)は中途も取っているが、ほとんどは契約社員だ。契約社員の場合、大手でも年収は最低ラインのことが多く、気力も時間もかなり割かれるだろう。キラキラした業界に見えて、思っている以上に現場は泥臭いし、雑用も多い(大手も一緒)。ただ、こういった泥臭いものが土台にあるから、キラキラしたものがある、という「縁の下の力持ち」になることを、肝に銘じた上でトライすると良いだろう。もし契約社員からでもチャレンジしたい人は、各会社の求人を常にチェックしてほしい。東宝は2年に1回(舞台の場合)、ホリプロはたまーに求人が出ている(2019年現在)。

<メリット>

・同業種での転職がしやすい

・広告 / PR代理店に転職をした場合、業界経験者として業界担当になりやすい

・本当に好きな人が集まっている。熱意を持ってがむしゃらに好きなものを仕事にするということは、桁違いに幸せと感じられる一瞬二瞬がある(これが一番大事)

<デメリット>

・収入、ワークライフバランスには期待しない

エンタメ業界は、働き方改革がなかなか進まない業界でもある。コネ社会でもある。だからこそ、低い給料でがむしゃらに下積みができる、かわいがってもらえる若い時(特に25くらいまで)に飛び込んでみた方が、チャンスを得やすい。私はそれに気づいたのが28歳で「低い給料でも好きだから・楽しいからがむしゃらに働く」という時期を過ぎていた。人によってその時期は違うかもしれないが、もし25歳で気づいていたら、もしかすると飛び込んでいたかもしれない。が、飛び込んでいたらきっと今ベルリンでこのnoteは書いてないので、人生は面白い。

ちなみに、メリットの2番目で書いた「広告 / PR代理店に転職をした場合、業界経験者として業界担当になりやすい」は、個人的には結構良い裏ルートではないかと思っている(実践はしてない)。

① 20代前半は、やりたいもの・好きな業界で働いてみる 

② 25歳くらいで一度広告 / PR代理店に転職(できるだけ大手)

 ③ マーケ・コミュニケーションのスキルをできるだけ多く身に付ける 

このあとで、もしエンタメ業界に戻りたければ、②の会社と得たスキル次第では、外資大手であれば転職に有利になるかと思われる(あくまで想像)。もし代理店のままでも、日系・外資大手は代理店と組んで仕事をしているので、そういった代理店であれば業界担当になりやすいし、ピンポイントで業界担当者としての転職も可能かもしれない(あくまで想像)。いちばん大きいのは、もし大手に近い広告・PR代理店に行けた場合、給与のアップが大手以外のエンタメ業界にいるよりも見込めやすいことである。そして、大手の広告・PR代理店は、20代半ばであれば比較的門戸を広く開いている。

アピール次第・個人のスキル次第かとは思うが、参考までに。

大事なことなのでもう一度書くが、外資大手志望同様、新卒採用だけでなく、中途採用のページも見てみることをオススメする。興味があるポジションがあれば、そこから逆算して必要なスキルを得ていく、ということも視野に入れてほしい。

マーケ・コミュニケーションのスキルについては、次で少しだけ説明しているので、参考までに。

4. 裏技:違う角度で経験を積みつつ、自分の守備範囲を業界に近づけていく

「何年か経験を積んで、自分の経験とマッチしていれば、好きなことと仕事を結び付けられる時が来る。」

これは、人生の先輩に言われた言葉だ。

私の場合、1,2については残念ながら板にもあがれていない。1の「日系大手」は、新卒就活をしなかったため選択肢がなかった。初めて就職活動をした際は、就業経験もスキルも英語力も大してないので、2の「外資大手」という選択肢もない。転職活動時も、2を勝ち取るほどの英語力もなく、業界経験がなかったのでご縁がなかった。そして3「どうしてもエンタメで働きたい」というところは、本当に悩んだが、結局ワークライフバランス・お金の面で振り切れず、4に落ち着いている。

今は、自分の好きな生き方を突き詰めつつ、もしかしたら好きなこと(ミュージカルの仕事)もできたらいいな~という、ふわっとした願望だ。

違う角度で経験とは何か?というのは、色々あると思うが、私のケースでは「マーケティング / コミュニケーション」だった。

マーケティング・コミュニケーションの職種というのは、エンタメやスポーツなど「華やかだがお金になりにくい」業界に憧れがある&良い給料で働きたいと思う人には、無難で、かつ可能性が広がりやすい選択肢と感じる。また、将来ノマドやフリーランスを視野に入れてる人にもオススメだ。要するに、わりと楽しくつぶしがきく職種である。

マーケ・コミュニケーションは、クリエイティブやデザインを含めると手法が多岐にわたっている。

UIUX、SNS、SEM、SEO、ASO、PR、Web・blogコンテンツ作成、動画、プログラミング、デザイン…

私の知識では網羅しえないレベルで、本当に色々ある。今後もどんどん増えていくし変わっていくだろう。

早いスピードで変化しているので、同じ「マーケ・コミュニケーション」といっても、人によってできるスキルは様々だ。深めていく方法も、スキルの守備範囲を1つ、2つ、3つ…と増やしていく、もしくは専門家として1つを極める、など個人の素質によって色々ある。もし特にこだわりがないのであれば、個人的なオススメは「守備範囲を増やしていくこと」だ。フリーランスや転職時に選択肢が増えるからである。

会社は学校ではない、という意見もあるだろうが、定額でお金をもらって色んなスキルをゲットする機会!初めてでもやらせてもらえる!スキル増える!と思いながら会社員をやると案外楽しい。

私の場合は、SEMから始めて、SNS、PR、インフルエンサー、英語、Webなど、かじっているものも含め「ストーリー作り&広げるための、デジタル中心PR寄りコミュニケーション」という軸で進めている。

そういう積み重ねで、機会がきたらミュージカルに関連した仕事もしたいな~というのが、今後の野望の1つだ。

<メリット>

・他業種でもOKなものであれば、可能性が広がる

・好きな業界で働けるチャンスはそのうちくる

<デメリット>

・絶対その業界!とこだわりが強い場合・そういう時期は辛い

・常に時代を追いかける必要があるので少し疲れるときもある(マーケ / コミュニケーションの場合)

おまけ:エンタメ業界とお金、働き方。

エンタメ業界をはじめスポーツ業界など、見た目が華やかな業界ほど、縁の下の力持ちがいる。スポーツ業界はオリンピックもあり、現在どちらかというと上向きであるが、まだまだお金が回らない業界だ。ワークライフバランスの問題もある。海外ですら、プロデューサーの持ち出しのお金で舞台が成り立つこともある。お金がないと生きていくことは難しいのに、そもそもアートやスポーツはお金になりづらい。才能があってもプロとして生きていける人ばかりではないし、舞台裏で支える人の数も多い。

つい先日、プラハで同様の話をした。舞台の元プロデューサーだった。舞台では、1公演に対して対価(出演料)が支払われる。お稽古中は支払われない。公演期間に対して、お稽古は1か月ほどあることがほとんどなので、生活が苦しい俳優・裏方が多く、才能があっても途中でやめてしまう人がほとんどということであった。彼女も、対価に合わない熱と気力を注ぎ込むのに疲れ、舞台から離れた。

日本も状況はそう変わらない。数年は熱意と気力で持つだろう。しかしほとんどの人は、そのエネルギーがずっとは続かない。続く人が「ホンモノ」なのかもしれないし、「才能がある」ということになるかもしれない。ただ、より良い作品を作る上で、もう少し何とかならないのかな。そう感じざるを得ない。

ざっくりとはしているが、少しでもお金が回るようなシステムができたら、もう少し変わるのではないか。簡単にはいかない。解決策もなかなか見えない。それが今抱えている業界の課題なのかもしれない。

いつもありがとうございます。今日も素敵な1日が、明日も素敵な1日が…毎日の日々がかけがえのない1日になりますように☆