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no.48 実現 ― コラボレート(協働)I

情報

  • 各タスクの達成度を測定するための情報。

  •  SWOT分析では、実行戦略をまとめるために多くの仮説が使われるが、それらの仮説が正しいかどうかを監視するための情報。

  • どのくらいの頻度で収集し、測定・分析し、誰と共有する必要があるか。

  • それらを共有する場所と方法 (ドキュメント、電子メール、会議など)

  • 意思決定を実行するために必要なさまざまな情報。


 
各タスクの達成は、通常は 2 つの側面から KPI によって説明する。
 
一つは供給サイドで、製品やサービスの開発数、生産数と頻度、稼働率、担当業務の生産性等である。
もう1つは、これまで培ってきた需要の側面だ。顧客数、顧客の購入頻度、購入単価の上昇、顧客満足度などである。
 
これらの情報を収集、測定し、目標との齟齬がないかを確かめ、問題があるようならばその原因を究明し、修正していくのが管理;マネジメントだ。プロデュース、リード、マネージが一人の人でできないわけではない。しかし、特にマネジメントには、タスク、情報、人に関する細部にわたる分析が必要になる。マネージャーは特にこれら3つの要素と目標との関連性に留意し、プロデューサー、リーダーと連携して目的の達成、プロデュースの実現を目指すのだ。
 
また、チーム メンバーが目標を達成しているかどうかは、戦略課題(アクション)ごとに定期的にチェックする必要がある。理想的には、この結果指標は数値で定量化でき、各メンバーが目指すことができる間違いのない基準であるべきである。
 
例えば、実行戦略の必要なアクションが「健康を維持しながらダイエットを成功させ、理想的な体重レベルに到達すること」である場合、期待される結果の指標は、体重、体脂肪レベル、血糖値などに関連付けられる必要がある。また、そのためには、1 日または 1 週間の食事の総カロリー値と、ウォーキングやランニングなど運動で消費するカロリー値が重要な測定データとなる。
これらを継続的に測定することによってダイエットを成功させることができるだろう。最終的な目標値を達成するために、測定結果をガイドラインと常に比較する必要がある。
 
重要なのは、「マネージャー(管理者)」がこれらの指標を継続的に測定して、問題がないかどうかを確認することである。
 
すでに述べたが、目標達成に問題がある場合、マネージャーは特定の情報をより細かく、より深く分析して、どこに、なぜ、問題があるのかを突き止める必要がある。彼/彼女はまた、結果をもたらした行動 (または行動の欠如) を見つける必要がある。大きな問題や作業不足はないように見えても、満足のいく結果が得られない場合、マネージャーは原因を徹底的に調査する必要があるのだ。
 
トヨタ自動車の有名な生産改善活動では、問題が発生したとき、その原因を突き止めるためにチームメンバーは「なぜ?」を、そのひとつひとつの答えに5回繰り返して問うという。マネージャーは、過酷な要因にひるむことなく、問題に対する応急処置に甘んじることなく、失敗を改善の機会ととらえる。最も重要なことは、チームが同じトラブルを繰り返さないこと。必要な情報を探し出すのだ。
 
次の「報酬」に関して、プロデューサーは、失敗した場合の個人の責任をあやふやにしてはならない、そして学習と成長の機会を明らかにしなくてはならない。
日本では、評価は結果そのものよりも行動や動機等過程に重きが置かれがちである。しかしそれでは学習に必要な真摯な反省ができない。
 
マネージャー(管理者)は、メンバーの問題点やまちがった行動について、悪気なしで率直に指摘してほしい。彼/彼女は原因を指摘し、原因を修正する方法を示す必要がある。これは経営者の重要な仕事である。
 
成功した場合でも、その背後にある理由を特定することが重要だ。
「失敗の本質(51)は、第二次世界大戦において、日本軍が 1940 年代に米軍に敗れた主な理由は、1904 年から 1905 年の戦争でのロシアに対する勝利について、勝利に有頂天になりすぎで、徹底的に評価または分析を実施しなかったことにあると述べている。日本軍は、敵、その資源、戦略、戦術がすべて変わっているにもかかわらず、それが戦う方法であると信じて、ロシア戦を勝利に導いたのと同じ戦略を単純に適用したのだ。日本は、海軍でも主力艦隊に注力していく戦略を作り、陸軍では近接剣術攻撃原理を徹底する戦略を継続した。
 
結果が成功だったとしても、プロデューサーは「なぜ、なぜ…」と評価する必要がある。繰り返し、成功を分析するのだ。
その根拠となった状況仮説はどうだったか?それらを検証し、似たようなケースにおいても、今回も仮説が正しいかどうかを検討する必要がある。
 
もう一つ欠かせないのが、実行戦略のベースとなるSWOT分析の内容である。
特にプロデューサーは、強みと好機について楽観的になりすぎてはならない。それらの有効性を確認する情報を特定し、そして継続的にそれをチェックする必要がある。
 
プロデューサーは、仮説に疑問が生じた場合は、戦略的な変更の可能性を考慮する必要もあるのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
参考文献:
51: 「失敗の本質(日本軍の組織論的研究)」戸部良一、森義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎 著(中央公論新社)