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アヴァピーダ

なぜ春は眠気、頭重、鼻水が出やすくなるのか


アーユルヴェーダにはナスヤという頭部と頸部を浄化するために鼻孔を通して行う治療法があります。

今回はアヴァピーダというナスヤ(経鼻法)の中の一つのトリートメントを解説します。
アーユルヴェーダでは春はカファが増悪しやすくなる季節と言われています。
寒い冬に降る雪は冷たく固まる性質のカファそのものです。
冷たく固まった土も春になれば緩んで植物の芽が出てきます。

それと同じようなことが人間の体にも起こる春。

春に花粉症やアレルギー性鼻炎になるのは増悪したカファの可能性があります。
未消化物が溶け出し、体の胸から上のカファの座に症状が出やすくなるのです。
普段から重たいもの、冷たいもの、甘い物、味つけの濃いものを食べていると、どうしても未消化物が溜まっていきます。
それらはカファの性質を持つ食べ物なので、重く、消化が遅く消化の火アグニの妨げになりやすく、消化されずに残ったものがアーマとなり体内に蓄積されていきます。
そして春になると氷や雪が溶け出すように、人の体にも頭や身体がだる重くボーっとしたり、眠気があったり、鼻詰まり、鼻水などで一日を快適に過ごせなかったりする症状が出てくるのです。

そんな時にもアーユルヴェーダのカファを軽減させる治療法を知ると生活で役立ちます。

ナスヤについて


ナスヤに用いられる薬剤はオイル、ペースト、粉末、植物の汁、煙があります。
鼻は頭部への玄関口なので5つの感覚器官をすっきりシャープにするためのナスヤでもあります。

セルフケアとしてはショーダナのような浄化法はできませんのでシャマナ(緩和)、ブリハナ(ヴァータのための滋養)などがあげられます。

今回はシャマナとして新鮮なハーブを圧縮して、その汁を鼻に入れるナスヤを解説します。

カファのドーシャを下げるナスヤで用いられる様々なハーブがありますが、最近は日本でもブラフミーやトゥルシーがよく知られるようになってきました。
生のトゥルシー(別名ホーリーバジル)は日本では入手しにくいため、今回はバジルを使ったセルフケア法を解説します。


アヴァピーダ・トリートメント


無農薬のバジルを使います。

バジルの特徴
ラサー渋味 
消化後の味ー渋味、
エネルギーー熱、
作用ー発汗、去痰、刺激
ヴァーター、 ピッタ+、 カッファー

下準備
片手の平くらいの量のバジルを細かく刻むか叩き潰します。
その時出てきたバジルから出たジュースを小さな容器の上に濾し器を置いて一度漉します。
※数滴あればできるので少量で大丈夫です。
さらにそれを滅菌ガーゼの上から注いで絞りきります。
コットンを一度水で湿らせてよく絞ります。

鼻の穴くらいの大きさのコットンを絞ったバジルのジュースに浸します。
バジルジュースが多すぎないようにコットンは適度に湿らせます。

実践

1.空腹時に行います。
2.排尿、排便を済ませます。
3.歯磨きをして口腔内をきれいにします。
4.鼻腔内の汚れをネティポットで洗い流します。


※ネティポットの使い方
ネティポットに人肌の湯と一つまみの岩塩を入れよく混ぜます。
首を傾け、口の力を抜きぽっかりと開けて、そっと左右どちらからの鼻腔に流し込みます。
右鼻からなら左側に頭を傾けて流し込むと左鼻にお湯が抜けていきます。
左鼻からなら右側に頭を傾けて流し込むと右鼻にお湯が抜けていきます。
変に力んだりしないでボケっとしたような顔の表情で洗面台の前で行います。
ネティポットが終わったら軽く鼻をかみ鼻腔内の水滴を取り除きます。

5.ギー、ココナツオイル、またはキュアリングした太白ごま油などを鼻、鼻回り、額、顔に塗り軽くマッサージする。
6.蒸しタオルで顔全体を温めます。
7.仰向けに寝ます。
首の下にタオルを置き、顎と鼻が天井に向くような角度に首の向きを調整します。
8.経鼻法が初めての方には片鼻ずつバジルジュースに浸したコットンを入れて、もう片鼻で呼吸しながら合計10分くらいそのまま休みます。
スポイトでバジルジュースを数滴、鼻腔に垂らすことを恐れない人やナスヤの経験者にはスポイトで入れるのが実際のやり方ですが、ジュースを含んだコットンからでも少しずつ鼻腔内のスロータマシに浸透します。

鼻からジュースが喉に降りてきたら飲み込まないで吐き出してください。
そして、鼻に入れたコットンを取り出して、軽く鼻をかみます。
ギー、ココナツオイル、またはキュアリングした太白ごま油を鼻腔内に軽く塗って終了です。

終了後の感想

終了後はとても鼻腔がすっきりする、痰がなくなる、鼻水(粘液)が止まる、五感がシャープになる、眠気、頭重がなくなるなどの変化を感じるアーユルヴェーダの経鼻法ナスヤ。
私も先週、自宅のバジルを使いアヴァピーダをしました。
こちらに来て、冬の間、カファの性質の食べ物を食べていたせいで、とうとう鼻水ポタポタ、眠気などがでてしまったのですがアヴァピーダの後はとてもすっきり快適です。
※アヴァピーダはシャマナですので、ショーダナ(ドーシャの完全な除去ではありません。)

ナスヤの禁忌

次の場合はナスヤをしないでください。

ピッタドーシャが増悪している時、鼻腔内に傷や腫れ、ひどい乾燥がある時、アーユルヴェーダの治療に恐れ・不安がある時、妊娠中、生理中、過度の疲労時、ひどい空腹時、断食中、呼吸困難、出血性の病気、激しい怒りや悲しみを持っている時、入浴、性交、運動直後。

アーユルヴェーダのトリートメントは基礎理論をしっかり知った上で行うことが大切です。
理論とトリートメントの目的がかみ合わないと、何故その方法を用いるのか、何故その材料を用意するのか、何故していいのか、悪いのかなどがまったく不鮮明になってしまいます。

知識を入れないで突然トリートメントをすると失敗もしてしまいます。
その上で人生の中で役立てていただけたら幸いです。

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