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パラレルな世界で、たくさんのあなたたちと出会うこと。あるいは日本エレキテル連合「電気画廊」の感想

こんにちは、日本エレキテル連合の8年目のオタクです。

2022年6月19日、東京・阿佐ヶ谷。

あの伝説のイベントが、ついに復活を遂げました。

きみは「電気画廊」を知っているか

このnoteは、日本エレキテル連合についての知識が『白塗りとおじいさんで流行った芸人でしょ?』オンリーの人にも、ほんの少しでも現在の活動を知ってほしい気持ちで書いています。

なのでまずは、冒頭で “あの伝説のイベント” とか言ってしまいましたが、「日本エレキテル連合の電気画廊とは何か」をちゃんと説明しますね。

日本エレキテル連合は、中野聡子(なかの・そうこ)さんと橋本小雪(はしもと・こゆき)さんによるコンビで、衣装や小道具などから着想を得て、コントという形式でキャラクターを緻密に表現することが得意な芸人さんです。

彼女たちのコント作品には、一度見たら忘れることのできない、強烈な風貌と個性を持ったキャラクターたちが多く登場します。(「『いいじゃないの〜』『ダメよ〜ダメダメ』」というフレーズで流行語大賞を受賞した「朱美ちゃんと細貝さん」は、その代表作ですね。)

芸人としてはかなり早い段階でYoutubeチャンネルを開設し、かつては毎日コント動画を投稿していたこともありました。

「電気画廊」とは、そんな日本エレキテル連合が生み出したキャラクターたちが入れかわり立ちかわりで在廊する、ギャラリーのような空間であり、イベントのこと。

本来は決して一緒に存在することのない、パラレルな世界線の上に立っているキャラクターたちが、同じ空間を共有している(ように感じられる)時間なんです。こんなことができる芸人さんって、きっと彼女たち以外にはいないんじゃないだろうか?

しかも、一緒にチェキとかも撮れる。要課金だけど、実質無料

実はこちらのイベント、これが二度目の開催。前回(2016年8月)の開催時には、三日間の日程でさまざまなキャラクターたちと会うことができました。

前回の開催後に「感電パラレル」でアップされた動画はこちら。

約6年ぶり(!)となる今回は、新型コロナの影響もあり、一日限りで開催。

感染対策をしっかりと実施した上で、それでも前回と変わらないくらいの、いや、むしろ『会えなかった時間で愛が増大しているのでは!?』と思えるほどの濃密な時間を過ごすことができました。

このnoteでは、オタク目線で「電気画廊2022」の現場レポートをお送りしながら、性懲りもなく彼女たちへの愛をつづります。完全に日本エレキテル連合のイベントレポート女です。

え、ドレスコードあるんですか?

会場は、商店街に佇む小劇場「阿佐ヶ谷アートスペースプロット」。この建物、ロビーがガラス張りで、わりと外から剥き出しというか、中が丸見えになっています。

時おり会場前で立ち止まり、「?」という顔でこちらを見つめる通行人たち。はじめはロビーに展示されている朱美ちゃんの衣装のせいだと思っていましたが、まわりを見渡して(あ、これか)と気付いたことがありました。

思い思いにドレスアップした女たち、異様すぎる(しかも年代バラバラ)。

私たち、日常的な空気に満ちた商店街のど真ん中で、パーティドレスを着て集まっていたんです。なんでかというと、このイベントにはドレスコードがあったから

もちろん「ドレスコード」とは言っても、着飾るも着飾らないも自由。普段着で遊びに行っても同じように楽しめる、あたたかい雰囲気でした。友人たちは双子コーデをしたり、チャイナドレスでキメたり、それぞれいい感じにやっていてよかった。

お昼に入ったラーメン屋さんで、店員さんに『結婚式ですか?』と尋ねられ、同行者がしどろもどろで『あ、アート関係のイベントです』と答えていたのもいい思い出です(アート関係のイベントってなんだよ)。

覗き見! 電気画廊

会場内の様子

当日の展示物の内容は、コントで使われた手書きの「きっかけ表」や台本、小道具、過去の単独公演のフライヤー、流行語大賞の盾や賞状など、ファンなら垂涎まちがいなしのお宝のオンパレード。片隅にはファンが制作した作品のコーナーもあり、愛に溢れた空間となっていました。

それでは、ここからは当日の登場順に沿って、「電気画廊」で会うことができたキャラクターたちをご紹介します。

ファンならお馴染みのキャラクターばかりですが、もし日本エレキテル連合のことはあまり知らないけれどここまで読んでくれているという最高な方がいらっしゃるなら、どうか顔と名前だけでも覚えて帰ってください。

(お客さんが写ってしまっているなどの諸事情で、一部、現場の写真が用意できなかったものがあります。)

朱美ちゃんと細貝さん

まず最初に登場したのは、誰もが知っているであろう「朱美ちゃん」と「細貝さん」のふたり。

熱心なファンなら、このふたりが登場する某格安スマホの営業ステージを見るために真夏の炎天下と真冬の極寒を駆け抜けたことや、朝9時台に10分間だけ生放送されるラジオ番組の公開収録のために埼玉県内各所のイオンへ通い詰めたこと、某スーパーを舞台に芸人同士がカレーの販売数を競う対決でふたりの勝利を賭けてカレールウを100箱単位で買ったことがあるのですが、それはまた別のお話。

とにかくファンにとっては愛おしすぎる存在なのですが、コロナ禍以降ほとんど会えていなかったため、ちょっと感動の再会でした。

フェイスシールド朱美

冒頭は朱美ちゃんだけが現れたので、しばらくして中野さんが『そろそろ着替えてきます。じつは私が細貝なんです』と立ち上がると、『えっ!?』『知らなかった……』とファンがザワついて見せる、というひと幕も。

でも、見比べるとたまにわからなくなる。ほんとうに同一人物なの?

都美子と比呂美

手芸が得意で、テディベアくらいなら30分もあれば作れちゃう都美子(右)と、反対に手先が不器用で失敗ばかりの比呂美(左)。同じ会社で働くふたりは、いつも一緒で大の仲良し。

ふたりとも女子というキャラクターは少ない中で、初期から人気のあるキャラクターです。

チェキを撮るとき、『私たち同じ会社だもんね!』『また月曜ね〜』と声をかけてもらって、同じ世界に入ったような気がしてうれしく思いました。

ユキヤとしじみ先輩

ホストクラブ「With Y(ウィズワイ)日暮里店」ナンバーワンホストのユキヤ(左)と、同店で “安定的に5位” の成績を誇るしじみ先輩(右)。生意気で遅刻も多いユキヤと、そんなユキヤに先輩風を吹かしながらも可愛がる先輩の関係性は絶好調。

ユキヤにはいわゆるリアコのオタクがたくさん付いていて、チェキを撮影するとき完全に目がハートになっている人も多かった。ちなみに橋本さん扮するユキヤは、橋本さんの実の弟さんに似ているらしい。

余談ですが、このふたりが登場しているとき、会場裏に超デカいアオダイショウが現れて警察が来ました。そんなことある?

しじみ先輩とアオダイショウ

Micky&Emiry

感電パラレル「Music Fairy(ミュージックフェアリー)」シリーズより、MCのMicky(左)とEmiry(右)。ハートのスーツがオシャレですね。

キャットラインとオーバーリップがチャームポイントのEmiryちゃん

時期によって衣装もお化粧もコロコロと変わるふたりなのに、違うキャラクターになってしまうということがなく、ちゃんと「自分のスタイルの中でファッションを楽しんでいる人たち」のように見えるところがスゴい。この意味、わかりますかね。

ケンとクミ

エセ関西弁の会話劇が笑いを誘う、ナニワの男と女・ケンとクミ。朱美ちゃんと細貝さん以外では、『見たことある!』という方が最も多いキャラクターかもしれません。

「朱美ちゃん・細貝さん」と「ケン・クミ」が同一人物って知ったとき、私、ほんとにびっくりしたんだよなー。だって、顔もかたちも全部違うんだもの。

「禁煙」の看板を前に睨みを効かせるクミ(もちろん本物のタバコではありません)
来場者にピコピコハンマーでツッコミを入れるクミ(遠慮がちでかわいい)

ユリちゃん

感染対策の空気の入れ替えのタイミングで、ちょっとマニアックなキャラクターも遊びに来てくれました。ユリちゃんは、頭に大輪の百合の花を咲かせた不思議な女性。

(左)サインの対応をするユリちゃん/(右)会場の外の通行人に恐る恐る会釈されるユリちゃん

卑猥な単語をくちずさみながら練り歩く姿は、「セクシー」とも「色っぽい」ともなんとなく形容しがたいのですが、ただ蠱惑的であることだけはたしかです。

中野さんいわく、造花の百合は『ちゃんと花粉まで表現されているものを探した』とのこと。そのこだわりが好きなんです……

三好と天然痘次郎

娯楽のない街にやってきて、妖しい演目を見せるこのふたりは、もしかしたら日本エレキテル連合の中で最も人気かもしれないキャラクター。事前に発表されたタイムスケジュールには「シークレット」と記されており、当日、登場のときにあがった歓声はいちばん大きかったような気がします。

丸尾末広の漫画の世界観を彷彿とさせるビジュアルには、ある特定の層の視聴者を沼へと引きずり込む力があり、現在も新たなファンの獲得にひと役もふた役も買っていると思うのです。

ああ、三好、美しい。

おわりに

私の感想文の本題は、推しへのラブレターです。

彼女たちが活動してくれる限り、新たなキャラクターが産声をあげ、生きつづける。それって私にとって、ものすごくうれしいことなんです。

あたらしい世界と出会う。あたらしい人と出会う。新たな作品が生まれるって、きっとそういうことで。私はそれができるだけ長く続くように、これからもずっとずっと応援していきたいと思っています。

前回の電気画廊から6年、学生だった私は社会人になり、職業は一度、住む場所は二度変わりました。いろいろなことが遠くへ過ぎ去っていきました。それでもなお変わらないのは、彼女たちとその作品たちが好きで、一緒に応援している友人たちがいるということです。人生の糧!

日本エレキテル連合のふたりは最近、これまで暮らしていたマンションを退去して、それぞれ一軒家に居を移しました。その理由は、自宅をコントスタジオのように使うため。橋本さんが運転免許を取得し、ふたりでお金を出し合い、中古車も購入したのだそう。

いったい何を企んでいるんだ、日本エレキテル連合! これからもまだまだ活動の幅を広げていくのだと思うと、ワクワクします。

あと、今回とても印象的だったのは、来場者の中におそらく初めてイベントに足を運んだ方もいらっしゃったこと。今からハマれるの、超羨ましいです。そういう方が増えるように、微力ながら彼女たちの世界を紹介していきたいと思っています。

最後に、ある友人のセリフを紹介して、結びにかえたいと思います。

『こんな人生ってある? コントのキャラクターに会って、泣く人生って!』

文責:こうめ(一部写真提供:峰、ぽいずんたけやま)

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