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【読書】『孫子の兵法 考え抜かれた「人生戦略の書」の読み方』守屋洋

経営者の中でも参考にされてる方も多い戦略論の古典ですよね。

解説のおかげか、岩波のものよりも読みやすい気がします。勉強になるところは多数ありますが、その中でも印象に残ったところをいくつか挙げておきます。

「戦わないで敵を降伏させることが最善の策」

孫子と聞いてすぐに思い浮かべるのは「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という箇所だと思います。

なので、この第一を戦いとしていなかったことは改めて新鮮でした。目的と手段の混合はよくあることだと思いますし、一段高く俯瞰して考えることがダイジと思いました。

「どんな戦上手でも不敗の態勢を固めることはできるが、必勝の条件まではつくり出すことができない。」

再現性をもって実行できることは負けないことだと断言していることも、肩の力を抜ける、気負わずに視界が開ける言葉ではないでしょうか?

「正を以って合し、奇を以って勝つ」「兵は詭道なり」ともいっていて、正攻法で対峙しながら、奇策(弱くみせかけたり、小利で誘い出したり、怒らせたり、不意を突いたり)打って、勝利するという具合です。

故・野村監督も「不思議の勝ちあるも、不思議の負けなし」といった旨をおっしゃってます。失敗を分析し、改善することで勝率を上げていけるし、始めに着手すべき点なのだと思います。

「戦上手は、敵、味方、地形の三者を十分に把握しているので、行動を起こしてから迷うことがなく、戦いが始まってから苦境に立たされることがない。」

まさに、ビジネスでいえば3Cといったところでしょうか。

「兵士というのは、絶対絶命の窮地に立たされると、かえって恐怖を忘れる。逃げ道のない状態に追い込まれると、一致団結し、敵の領地深く入り込むと、結束を固め、どうしようもない事態になると、必死になって戦うものだ。」

このあと、「指示がなくても自分たちで戒め合い、軍紀で拘束しなくても団結し、命令しなくても信頼を裏切らなくなる」とつづく。

このような状況はビジネス環境ではないかもしれないが、孫子は深い人間理解、集団心理をした上で、戦略を積み上げていることを考えると、自分もそこまで深めていかねばと思わされる。

「およそ王たる者、将たる者は怒りにまかせて軍事行動を起こしてはならぬ。状況が有利であれば行動を起こし、不利とみたら中止をすべきである。」

アンガーマネージメント、怒ったら終わり。これもなかなかそうだよな、と思わされます。

怒るとまでいかずとも、ついついイラッとしてしまうこともありますし、敵をつくらず、組織内外に良好な関係を築くことでないことでどれだけ広がりが生まれるか。

そのほか、解説から学んだ箇所だが、、

「孔子は個人の真実とそれによる政治のあり方を教えた。一報、『孫子』は組織としての軍団を動かすことを説いた。」

若い頃、『論語』は読んだ方がいいと助言いただくことはあっても、『孫子』はあまりなかった。でも、社会での立ち回りの両軸としても、これらはセットで薦めた方がいいと思いました。一方だけを鵜呑みにせず、立ち位置がわかります。

たとえば、「孔子は自分の心を外に出す。…しかし、孫子は徹底的に自分を隠す」など、現実社会でもどう振る舞うべきかと答えのない状況はあると思います。そんな中の取捨選択の一つになります。

「兵は拙速なるを聞くも、未だ巧(たくみ)の久しきをみざるなり」

完璧主義がよかった試しがない。スピードが命だということだと。この時代から言われていることを考えると、自分の我が身を振り返ります。


以上、おすすめです!

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