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飽きっぽいわたしが、英語だけは続けられた理由って何だろう?

最近、「海外の大学に留学する」とか「海外に移住する」とか、そういう話をよく聞くようになった気がしませんか?

かくいう私も、ついこの間まで1年間イギリスの大学院に留学していました。

やってみたいけど、英語がハードルだと感じる人も多いかもしれません。留学や移住をする人はずっと前向きに積極的に英語の勉強ができる能力があるのだろう、と思っていませんか?
…まさか!そんな風にずっと前向きに勉強してきたわけではない、ひらみの英語勉強ストーリーをお届けしたいと思います。お役に立てれば、光栄です。

中学校から大学まで

「子どものころから英語習ってたんですか?」ってたまに聞かれますが、わたしが初めて英語に触れたのは、中学1年生です。This is a pen.からです。1学期の最初のテストは、自分の名前をアルファベットで書けば100点という噂のテストでした。実際には名前だけではなかったのですが、このテストで人生初の100点を取ったわたしは、英語という新しい科目と100点という最高のスタートを切った自分に期待しました。

授業が進んでいくにつれて、わからない単語を辞書で調べれば意味がわかるし、文章が和訳できるようになりますよね。今思うと、「わからないことがわかる」という勉強の成功体験を積んだのだと思います。

義務教育時代で一番大きなきっかけは、マーティン・ルーサー・キング牧師の「I have a dream」という有名な演説です。アメリカで今よりも黒人が差別されている時代に、肌の色ではなく人格で評価される世界を私は夢見ている、という内容と、力強いスピーチに深く感動して、「英語がわかれば、世界が広がる」と、英会話学校のキャッチフレーズみたいなことを思っていました。

英語をやっていたらなんとかなるだろうという気軽な感じで、大学は英文学科に進学しました。そして、大学1年の夏に、友達に誘われて英会話学校に通うことになりました。そこでは、外国人の先生1人と日本人の生徒が5人までのグループ講義で、大学時代は就職のために通っているような感じでした。

目的を見失った暗黒時代

大学卒業後、英語を使わない仕事をしていたら、なんのために英会話学校に通っているのかわからなくなりました。海外旅行に行くぐらいの英語ならなんとかなりそうな感じになっているし、仕事では英語を使いません。仮に、外資系企業で働くとしても、通用するレベルでもなかったし、それに自分が外資系でバリバリ働くというイメージも持てず、とっても中途半端な状態でした。

毎月月謝を払って、目的もなく、面白みのないテキストで文法や発音の勉強を続けて、なんの意味があるんだろうと思って、クラスも休みがちになりました。

それが半年ぐらい続いたとき、リエコさん(仮名)という英会話学校の事務のトップの人に呼び止められ、「最近どうしたの?元気ないよ?」と聞かれたので「英語を勉強する意味がわからなくなって、ここを辞めようかと思ってる」と伝えたところ、「やる気がなくても、目的が見えなくてもいいから、10年は続けなさい。10年やっても目的が見えなかったら、辞めたらいい」ときっぱりと言われました。もちろん私を辞めさせないための口実もあったかもしれませんが、説得力のある言葉だったし、「やる気がなくてもいい」という部分を都合よく信じて、惰性でもいいから、とりあえず続ける、という選択をしました。

あのときリエコさんに相談しなかったら、この時に英会話スクールを辞めてたんじゃないかなと思います。

やる気はないのに、やらなきゃいけない状態に持っていかれる

リエコさんから続けろと言われたものの、相変わらず目標を見出せず、目的もわからないまま英会話スクールを続けていました。

そんなとき、英会話学校でずっと同じクラスで通い続けていたYくんから「TOEICの勉強を一緒にやらないか?」と誘われました。社会人になってまた勉強するのは嫌だなと思ったのですが、「やっておいて損はないし、絶対役に立つから」と、けっこうしつこく誘われて、半ば押し切られる形で3ヶ月後に受検する目標を立てて、一緒に勉強することになりました。

勉強方法は、同じテキストを買って、ひとつの章の解説を読んで問題を解いてくるのと、同じ単語のテキストを買って、ユニットごとの単語を覚えて、相手のために単語テストを20問作ってくる、みたいなのが毎週の宿題になりました。
いや、もうこれ本当に大変だったんです。通勤電車の中でも単語テキストを開いて、家に帰ってテキストの問題を解いたり、単語の問題を作ってました。相手のために作る単語テストは、結局自分が覚えられなかった単語が中心になるんですよね。だから問題がほぼ似てました。

英会話のクラスが終わったあと、宿題の答え合わせを一緒にやって、相手の作った単語テストを解いて、答え合わせをしていました。TOEICの本番が近づいてきたら、その場で過去問を一緒に解いて、答え合わせして、検証しました。

こうやって、やる気がないのに勉強させられる状況に追い込まれたんですけど、目の前にやらなきゃいけないことがあるのと、相手がいるのでサボれないという意識も働いて、続けることができました。
3ヶ月後、TOEICで高得点が取れたんです!と言いたいところですが、そんなに簡単ではありませんでした。

そこでわたしは「やっと終わったな」と思っていたのですが、Yくんはスコアに満足できなかったみたいで、半年後のテストに向けて、より効果的な勉強をやろうと言い出して、また単語テストを作ったりする日々が始まりました。
テキストは彼がリサーチして厳選し、TOEICが盛んな韓国で有名な先生のテキスト(※注)を買って半年勉強したら、なんと次は一気に100点もスコアが上がりました。
2人で「勉強は裏切らない」と言い合ったのを覚えています。それから2年ぐらいは、半年休んで半年勉強するスタイルに変わって、1年に1回のペースでTOEICを受検しました。わたしの暗黒時代は彼のおかげで終わりを告げました。

このとき、英語はコミュニケーションの手段であって、英語を勉強することは自分の目的ではないな、という気持ちが生まれました。英語に専門的な知識やスキルを掛け合わせていくことがこれから必要なんじゃないかと強く感じたのもこの頃です。

(※注)わたしが使ったのは、キム・テギュン著「新TOEICテスト一発で正解がわかる  基礎編」です。スコア650だったのが、これをやりこむことで750まで上がりました。600点ぐらいの人がとにかくスコアをあげたい時にはおすすめできる本でした。基礎編じゃない方も使いました。ただ、TOEICテスト自体がどんどん変わっていますので、この本が今も役に立つかわかりませんが、キム先生は信頼できると思います。

イギリス留学のための英語学習

専門知識が必要だと思いながらも、それが一体なんなのか、また模索期間に突入しました。最終的に、わたしの答えは国際協力だったので、国際協力の仕事に就くには、知識も経験も足りない。ならば必須と言われる修士号を取るしかない、という結論に至りました。それでイギリス留学を決めたのですが、ここでまた英語を勉強しないといけない状況に自分で追い込んでしまいました。

イギリス留学にはTOEFLかアイエルツという英語の試験で、◯点以上というのが入学の条件になっています。アイエルツの方が向いてそうだったので、通勤の間にもBBCのアプリを聞いて、仕事の後は、ほぼ毎日駅前のスタバでアイエルツのための勉強をしていました。入学の条件を満たすスコアを取れるまでの1年半ほど、飲み会も断って、試験のための英語を勉強しました。

…と書くと、なんだか大変そうですよね。実際大変でしたけど、辛くはなかったんです。イギリスの大学院に行くという目標があった上での英語の勉強は、目標がはっきりしているので、英語の勉強をする目的なんて考える必要がなくて、やらないといけないことをやっていればいいんです。
ただ、ある程度のレベルになると「楽しく学ぶ」というのは無理なのかな、と思います。それでも「知らなかった単語を知る」というような、小さな成功体験の積み重ねがあるから継続できるのかもしれません。

英語の勉強を続けるコツってなんだろう

変に聞こえるかもしれないのですが、「英語を勉強することを目的として、英語を勉強すると続けられない」というのがわたしの答えです。
あなたは英語を使ってなにをしたいですか?その答えが英語の勉強を続けるエネルギーになるとわたしは信じています。

少し休んでいたのですが、わたしもそろそろ英語の勉強を再開しようと思います。なぜならまた英語を勉強したい理由ができたから。

英語が母国語でないわたしたちにとって、英語という言語は一生勉強することができる終わりなきコンテンツですからね。理由や目的がなければ、今のわたしみたいに休んでいてもいいし、やる気がなくても、続けてもいいと思います。

あなたが英語を勉強したい理由を考えてみませんか?

Text by ひらみなおこ(ふつうの会社員)


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