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「キャリアビジョン」てなんだろう?

こんにちは!はじめまして!ひらみなおこです。

わたしは企業に勤めている平凡な会社員ですが、社会人になって世界で一番いやな書類を提出する時期があります。

それは「キャリアビジョン」。

今期にどんな目標を掲げ、行動に移し、そして達成するのか、期限までに提出しなければいけません。夏休みの宿題みたいなこういう提出物、みなさん、得意ですか?わたしは全然ダメなタイプです。

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キャリアってなんだろう?

キャリアってよく耳にしますが、そもそも「キャリア」ってなんでしょうか?言語オタクなので、まずは言葉の意味を調べてみました。

1 (生涯の)仕事, 職業, キャリア
2  経歴, 履歴, キャリア

どっちにもカタカナで書いてありますね!会社が考えている「キャリア」は1の方なのかもしれません。生涯なのかどうかはさておき、仕事を指していそうですね。
2だとしたら、経歴は過去の経験のことです。会社が求めるキャリアビジョンは過去のことではなくて、未来のことですから、やっぱり会社は1を求めていますね。

もう少し言語オタクっぷりを発揮して、キャリア(career)の語源であるのラテン語のcarrusの意味を英語で調べてみたら、「フランス人の車・4つの車輪を持った荷馬車」という意味が書いてあり、car、すなわち車の語源でもあるようです。

車や荷馬車から、仕事や経歴にはイメージが直結しませんね。一方で、以下のように説明してくださるサイトがありました。

キャリアの語源はラテン語の「carrus」だと言われており、意味は轍(わだち、車輪の跡)です。
(大阪教育大学サイト:https://osaka-kyoiku.ac.jp/campus/career/design.html

轍というのはこんなやつです。車が走った跡にできる筋です。

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車であり、轍であり、道に関係する言葉のようです。キャリア=轍なのだとしたら、自分の後ろにできるものなのではないでしょうか。英語の意味2の「経歴・履歴」という意味はこちらから来ていそうです。後ろにできるものに、ビジョン(=将来の展望)なんて矛盾してる。そんな風に思いませんか?もやもやします。

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ビジョンってなんだろう?

ではビジョンってなんでしょうか?目標とどう違うのでしょうか?

ビジョンって抽象的なもののように感じます。誰も未来のことはわからないから、「こうしたい・ありたい姿」だと思います。「理想」に近いのかもしれません。目標の方は、もう少し具体的で、計画や行動に落とし込んでいけそうです。

ビジョンと目標の違いを理解するために、自分の過去を振り返ってみました。2017年冬にイギリスの大学院で勉強するぞって決めて、2019年9月からイギリスに留学しました。留学に必要なのは、英語とお金です。必要な英語能力試験のレベルを突破するためになにを勉強をして、いつ英語試験を受けて、どれぐらいの時間を勉強に充てるのか計画を立て、それとは別に、貯金計画も立てて、それを実行に移しました。

この時のわたしの「大学院で勉強するぞ」は目標なんだと思います。この目標を達成するための手段が計画です。じゃぁ、ビジョンはなんでしょうか?
……ないんです。考えたけど、ないんです。

大学院で勉強したことを活かした業務に就きたいとか、ある仕事をするのに必要な知識を得たいとかそういう理由があって留学したわけではないんです。
「勉強したいから」
本当にこれに尽きます。「この分野のことを知りたい」という知的欲求は、ビジョンではありません。そう考えたら、あることに気づきました。

わたしは人生でビジョンを描いたことがない。

大人になってから「こうなりたい」という想いをずっと持ち続けることがなかったと思います。なぜなら、世界は驚くべき速さで変化していて、それに応じて、自分もどんどん変化し、進化していかないといけない、と考えているからです。「こうなりたい」と将来を決めてしまって、それにこだわりすぎていたら、逆に成長できないこともあるかもしれませんから。だから、「変化を恐れず柔軟に生きる」みたいなことが、自分が理想とするありたい姿と言えると思います。

そもそも3年後の自分の人生をどうしたいかも決めていないのに、会社の信念や所属部署の目標にリンクさせたキャリアビジョンを文字にするなんて、できるとは思えません。

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キャリアビジョンってなんだろう?

先ほど、キャリアって後ろにできる過去のことなんじゃないの?っていう疑問がわきました。言葉の意味だけで考えたら、後ろにある轍の将来の展望を考えるという矛盾に、もう意味がわかりません!ってなっちゃいました。

だけれども、働く中で自分が経験してきたことを振り返ってみたら、
どんなことをしてきたのか
なにを達成したのか
目標を達成するためになにをしたのか
仕事をする上で大事にしていることはなにか
やりがいがあったと思えることはなにか
どの経験が自分の成長のきっかけだったか
得意なことはなにか
逆に不得意なことはなにか
やればできるけど、好きじゃないこと
売上とか成果には関係なくても、やっていて楽しかったこと
など、働く自分の価値観を理解することができました。

これまでの自分を分析したら、自分が思う仕事上の「ありたい姿」へ近づくために、今の自分に足りないことがわかります。そしたら、自分はこれからなにをすればいいのか特定できるんじゃないでしょうか。特定できたら、計画を立てて、実行に移せばいい、という風に考えるようになりました。きっと、ありたい姿が具体的であればあるほど、より具体的な行動に落とし込めるのだろうと思います。

自分のキャリア=これまでの轍、を見つめて、
これからなにをするのか考える=ビジョンを描く
これが本来の「キャリアビジョン」なのかもしれません。

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いよいよ自分のキャリアビジョンを描く

しかし、この考えに到達する頃にはキャリアビジョンシートの提出期限は過ぎてしまっていました。困りに困って書いた3年後のわたしのキャリアビジョンは、2025年に日本で開催される予定の国際イベントに企業ブースで出展したい、というものです。
これはそもそも、わたしが思う「ビジョン」と考えるものではないですが、ビジョンなんか関係なく、2025年のイベントに参加したいというシンプルな希望を書きました。すると、なんだか頭も気持ちもスッキリしてきて、会社を納得させて、自分がやりたいことを会社のやりたいことにすればいいんじゃないかと思えてきました。

ブースを出す目的を明確にして、何を伝えるか、そのメリットはなにか、どこからお金を引っ張ってくるか、他の部署との協働、など、考えることはたくさんあります。そしたら、自分のキャリアビジョンなどという曖昧模糊としたことを考える必要がありません。

そういう、自分のキャリアについて、先を見越して大きな目で俯瞰して、ざっくりとしたことを考えるのが苦手なだけな気がしてきました。

ちょっと遅くなったけれど、キャリアビジョンの本質を考えたら、前向きに考えることができて、来年は書けそうな気がしてきました。ちょうど3年後だし、懲りずに来年も2025年のイベントに参加するって書こうと思います。


Text by ひらみなおこ(ふつうの会社員)

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